10月22日にオンライン開催されたマイナビニューススペシャルセミナー「New Normal時代のHRの在り方~より高いエンゲージメントを~」。HRTechを実践する専門家やベンダーが集結した同セミナーでは、スターツリー 代表取締役/ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 副代表理事 山田隆史氏が登壇し、「ニューノーマルにおけるピープルアナリティクスを活用したHR改革」と題した事例講演を行った。

なぜ今、「ピープルアナリティクス」と「HR Tech」なのか?

今、「ピープルアナリティクス」が注目を集めている。ピープルアナリティクスとは、従業員の行動データや人材マネジメントにまつわるさまざまなデータを収集/解析し、人材戦略の一環として職場の生産性やパフォーマンス、従業員満足度を高めるための手法である。ピープルアナリティクスの導入によって得られる効果としては、「意思決定の精度向上」や、「効率化/工数削減」、「従業員のエンゲージメント/EX向上」などが挙げられる。

山田氏は、「ピープルアナリティクスの価値は、従業員をマネジメントし、人事変革を通して経営に貢献できることにある。その費用対効果はかなり高く、行動分析などはスポーツ分野でも当たり前に使われるようになってきている」と説く。

山田隆史氏

スターツリー 代表取締役/ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 副代表理事 山田隆史氏

こうした情勢のなか、国内においてもさまざまなピープルアナリティクス/HR Tech関連のイベントが開かれており、いわゆる”HR Techベンダー”も増えている。

「第四次産業革命による技術の進展や、働き方改革/少子高齢化といった雇用環境の変化に伴い、2015年頃からデータ解析/テクノロジー活用による諸問題の解決に注目が集まり始めました。そしてWithコロナ、さらにはAfterコロナを見据える時代となった今、テレワークやデジタル化の普及によって、人材マネジメントの在り方も大きく変化しつつあります。企業の競争力を高める上でも、ピープルアナリティクスやHR Techの活用が必須になっていると言えるでしょう」(山田氏)

ピープルアナリティクスの活用領域と可能性

企業の人事活動をめぐっては、常にさまざまな問題が存在しているのは言うまでもない。それらは組織の風通しの悪さであったり、チームのサイロ化であったりといった組織の問題から、働きすぎによるバーンアウトなど従業員自身に関する問題まで幅広い。こうした問題解決にもピープルアナリティクスは有効だという。

山田氏は「人事のあらゆる領域に課題とデータが存在し、ピープルアナリティクスによって解決を図ることができる」と説明し、具体的な領域の例として「採用」「育成/研修」「配属」「評価」「健康管理」「リテンション」などを挙げた。

ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会が実施した調査によると、ピープルアナリティクスの実証実験に取り組み済み、もしくは現在まさに取り組んでいる企業の割合は42%にも及んでいるという。その取り組み内容を見ると、採用/配置/リテンション周りで特に活況のようだ。

山田氏は「ピープルアナリティクスを効果的に実践するには、データの一元化や持ち方、予算取りにおける”経営の巻き込み”が課題となる」と説明し、実際の分析事例を紹介していった。