「SAFe」とは(その3)- SAFeの階層構造とConfiguration

【連載】

SAFeでつくる「DXに強い組織」~企業の課題を解決する13のアプローチ~

【第4回】「SAFe」とは(その3)- SAFeの階層構造とConfiguration

[2020/06/08 08:00]近藤陽介 ブックマーク ブックマーク

前回、前々回ではSAFeの概要をお伝えしましたが、今回からは4回に渡り、SAFeの組織構造とロール、イベント、成果物に着目して、SAFeの詳細を紐解いていきます。各回は以下のようなテーマでお届けする予定です。

  • 第4回:SAFeの階層構造とConfiguration
  • 第5回:SAFeのロール
  • 第6回:SAFeの成果物・ツール
  • 第7回:SAFeのイベントとPIプランニング

まずは流し読みをして全体像のイメージをつかんでいただき、個別の課題解決アプローチのなかで不明な用語が出てきたら、第2~7回を適宜参照いただければと思います。

では早速、今回のテーマ「SAFeの階層構造とConfiguration」について説明していきましょう。

階層構造 - 3つのレベルとその概要

SAFeの組織構造は、最大で3つのレベルで構成されます。全体像(Big Picture)と各レベルの名称/役割は、以下の通りです。

SAFe 5.0のBig Picture(Full SAFe Configuration)/出典:米Scaled Agileの公式サイト

名称 役割
エッセンシャルレベル
5~12チームのアジャイルチームが方向性の統一/連携/同期を行いながら、「プロダクト」の開発とリリースを行います。「アジャイルリリーストレイン(ART)」という体制を取ります(ARTについては次回説明します)
ラージソリューションレベル
複数のARTを連携/同期させて、「プロダクト」より大規模で複雑な「ソリューション」の開発とリリースを行う責任を担います。「アジャイルリリーストレイン(ART)」間でのプロダクトの調整、共通する技術/アーキテクチャの方針決め、サプライヤーとの連携などを行います。「ソリューショントレイン」という体制を取ります(ソリューショントレインについては次回説明します)
ポートフォリオレベル
組織の運営に携わるレベルで、ビジネス上の責任を持つ役員や管理職が関わります。全社の戦略やビジネス目標に基づき、組織の戦略とビジネス目標(KPI)を立てた上で、それを実現するための予算配分、ビジネス計画立案を行います。また、ビジネスの遂行を、ラージソリューションレベルやエッセンシャルレベルに、意思決定権とともに委託し、それを支援します。ビジネス目標の達成状況を評価し、必要に応じて組織戦略を見直します

Configuration - 4種類のレイヤーの組み合わせ

SAFeは、適用する組織の規模や目的に応じて、3つのレベルを組み合わせて使います。これを「Configuration」と呼び、SAFeでは4種類のConfigurationが定義されています。

各Configurationの目的や特徴は以下の通りです。

Configuration (○:含む、×:含まない)
Essential SAFe Large SolutionSAFe Portfolio SAFe Full SAFe
概要 最も基本的なConfigurationで、単一のART、通常50~125名で構成されます 複数のARTを構成し、複数の技術分野が関わる場合や戦略的にARTを分けて管理したい場合などに適用します Essential SAFeに財務的な観点を加え、リーンアジャイルな企業を編成したい場合に用います 最も包括的なConfigurationであり、大規模なリーンアジャイル企業を編成したい場合に適用します
ポートフォリオレベル × ×
ラージソリューションレベル × ×
エッセンシャルレベル

SAFeの公式導入手順(Implementation Roadmap)では、最初は単一ARTのEssential SAFeでの開始を推奨しており、それに向けた組織整備の手順を示しています。また、Essential SAFeを導入した後、Large SolutionやPortfolio SAFeに拡張し、その後Full SAFeを適用するといったように、段階的に適用する組織の規模や範囲を拡大することが可能です。

* * *

今回は、SAFeの階層構造を理解していただくため、組織構造のレベルとConfigurationについてお伝えしました。SAFeには複数のConfigurationが用意されており、組織の目的や成長度合いに応じて、適宜Configurationを見直して適切な組織構造に変えていけることがご理解いただけたと思います。

次回は、各レベルの役割に応じて、どのようなロールが定義されているのかご紹介します。

著者紹介


近藤陽介 (KONDOH Yohsuke) - NTTデータ システム技術本部 デジタル技術部
Agileプロフェッショナルセンタ

総合的な顧客体験・サービスの創出のための「方法論」、それに必要な技術・ツール・環境をすぐに利用できるようにする「クラウド基盤」、そして、それらを十分に活用するための「組織全体にわたる人財育成やプロセス改善のコンサルティング」を提供することでDXを支援するデジタル技術部に所属。

業務では、このうちの「コンサルティング」において、大規模アジャイルフレームワーク「Scaled Agile Framework(SAFe)」などを活用し、DXを実現しようとする企業が抱える課題を解決するためのアプローチを共に考え、お客様の組織/プロセスの変革を支援している。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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