資生堂ジャパンは7月1日、IoTスキンケアサービスブランド「Optune(オプチューン)」を同日より本格展開すると発表した。

同サービスは、専用アプリで計測した肌データや睡眠データ、あらかじめ登録した情報に基づく環境データなどを基に、クラウド上で肌の状態を分析し、独自のアルゴリズムによって抽出した最適な配合/量のスキンケア(美容液/乳液)を専用IoTマシンから提供するというもの。月額1万円(税別)のサブスクリプション制をとる。

Optuneの専用カートリッジ(左)と専用IoTマシン(中央)。スマホアプリ(右)操作でWi-Fiに接続する。対応機種/OSは、iPhone6s以降/iOS11以降

β版を経て大幅に抽出パターンを拡充

Optuneは、2018年3月より数量限定でβ版の発売を開始し、ユーザーからの意見を基にさまざまな改良を実施。本格展開にあたり、β版では1000通りだった抽出パターンは、8万通りへと大幅に拡充された。

また、花粉やPM2.5といった外的要因の取得データを追加したほか、睡眠状態から体内リズムの乱れを感知し、それによって引き起こされる1週間後の肌荒れを予測して防ぐアルゴリズムなどを追加している。

発表会に登壇した資生堂ジャパン 代表取締役社長 杉山繁和氏は、「仕事や家事、育児、趣味とやりたいことがたくさんある女性たちにぜひ、Optuneを使っていただきたい」と強調。

「スキンケアはOptuneに任せて、キャリア形成やパートナー/子供との時間、趣味の時間などに当てていただければと思います。スキンケアに大きな革新をもたらすのがOptuneです」(杉山氏)

資生堂ジャパン 代表取締役社長 杉山繁和氏

続いて登壇した同社 次世代事業開発部 ブランドマネージャー 川崎道文氏は、β版のユーザーから挙がった声として「毎日の肌の変化を意識する気持ちが芽生えた」「Optuneだけでスキンケアが終わるのはとてもいい」「手持ちのスキンケアの品数を減らせたのが嬉しい」といったコメントを紹介。

ターゲットは、「日々、肌が変化していると感じている方」「忙しくも充実した日々を送る30代から40代の女性」だと説明する。

資生堂ジャパン 次世代事業開発部 ブランドマネージャー 川崎道文氏

利用にあたっては、まずオプチューンサイトで会員登録し、定額プランに申し込んだ上で専用アプリをダウンロードする。ログインし、自分の居住地や肌データを登録すると、5本のスキンケアカートリッジが専用のマシンと共に自宅に届く。

使用時は、洗顔後、専用アプリで肌を撮影して肌状態を測定し、「今の気分」を選択。同じくアプリで測定された睡眠データと、気温や湿度、紫外線といった環境データを全てクラウド上に送信すると分析が行われる。

スマホのカメラで肌を撮影

アプリで「今の気分」を選択し、睡眠データや環境データと共にクラウド上に送信

その結果、8万以上のパターンから導き出されたスキンケア情報が専用マシンへ送信され、スキンケアが最適な配合バランスと量で吐出される仕組みだ。

ライトが光ったら手を差し入れると、スキンケアが吐出される

カートリッジの残量は自動で管理され、残量が少なくなると自動で配送される

アプリでは、過去の肌状態の推移や、どんな配合/量でスキンケアを抽出したかといったケア情報が記録されるほか、さまざまなお知らせ機能を搭載する。

CRMの在り方を変えるサブスクリプションの可能性

マーケティング面から見ると、Optuneはユーザーの使用状況を把握できる点が従来商品との大きな違いとなっている。

通常、商品の購入状況はPOSで把握できるが、購入した後のユーザーの行動についてはわからない。ある商品を買った人が自分で使用し続けているとは限らず、人にプレゼントしたかもしれないし、気に入らずに放置している可能性もある。

「これまでCRMは再購入や購入品種の追加を促すためのものでしたが、(Optuneでは)気持ち良く使い続けていただくためのCRMができると考えています。使用頻度が低い方や急に使わなくなった方、毎日使っている方と、お客さまの状況に応じて(アプリから)メッセージを送るなど、試行錯誤していきたい領域です」(川崎氏)

今回のタイミングで、専用マシンのファームウェアをリモートでアップデートする機能も追加された。これにより、「Optuneのサービス全体がアップデートし得る可能性が広がった」と川崎氏は意気込みを見せる。

「今後、Optuneはスキンケアに留まらず、ファンデーションやほかのカテゴリまで拡大するかもしれません。我々は、”BaaS(Beauty as a Service)”、美容のサービス化をリードしていきたいと考えています」(川崎氏)