ビジネスにおいて重要なポイントの1つは、同じ目的に向かって進む「チーム」をどうつくり上げていくかということだ。役職による上下関係が生まれる会社という組織では、時として部下の信頼を失ったり、やる気を失わせたりしてしまうこともある。「勝てる組織」をつくるには、どうすればいいのだろうか。そのヒントは、徹底したチームプレーで勝利を目指すスポーツの世界にありそうだ。
12月8日、幕張メッセで開催された年次カンファレンス「Cybozu Days 2018」では、”常勝集団”とまで呼ばれる帝京大学ラグビー部をつくり上げた帝京大学スポーツ医科学センター教授 岩出雅之氏が登壇。「常勝集団のプリンシパル - 組織作りとリーダーシップ」と題した講演が行われた。
時代の変化に対応できるカルチャーの醸成
組織づくりにおいて岩出氏がまず指摘するのは、「教育はトップダウン型からボトムアップ型に変わらないといけない」ということだ。すでにスポーツ界も教育界も主役は指導者から選手に移っており、トップダウンで優れたチームがつくれる時代ではなくなっているというのである。
さらに現代は「VUCA(変更・不確実・複雑・曖昧)」という4文字で表現されるように予測困難な時代であり、試合も予想通りに進むことはほとんどないという。そんな状況下において、帝京大学ラグビー部が9連覇を成し遂げることができたのは、予測できない事態でも対応できるようなカルチャーを岩出氏が醸成してきたからだ。
こうしたカルチャーの育成を岩出氏は果実に例えて説明する。
「良い結果(果実)は誰もが欲しい。そのためには、『樹』と『土壌』と『根っこ』が必要です。この土壌こそが、カルチャーなんです」
カルチャーを育てるために岩出氏は3つの項目をマインドセットとして設定している。それが「ゴールセット(目標)」「なぜ?(理由)」「どのように(方法)」だ。
岩出氏は、いつも学生に「なぜ?」と理由を問いかけるようにしているという。行動の理由をしっかりと考えさせることで、目標設定がぶれないようにするためだ。特に組織においては細かいプロセスが常に発生し、それをやり抜くことで責任が生まれ、成長につながっていく。しかし、”何のためにそれをやるのか”という理由がはっきりしていなければ、途中で意義を見失ってしまうこともあるというわけだ。
もっとも、学生の成長を促すのに強引に引っ張ってもうまくいかないというのは冒頭で岩出氏が説明した通りである。
現代においては、学生――会社なら若手社員――が「自ら成長する力」をどう育成していくのかが重要となる。この力をチーム構成員が身に付けることで、チームは「自律型組織」となり得るのだ。
岩出氏がユニークなのは、スポーツの世界にありがちな「体育会系」のやり方を根底から覆した点である。
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