生産年齢人口の減少が進む昨今、いずれの業界においても人手不足が懸念されている。そこで期待を集めるのがRPA(Robotic Process Automation)だ。AIの活用により、主にバックオフィス業務を代行するRPAは「デジタルレイバー」などとも呼ばれ、生産力向上の鍵を握るとされている。

パーソルプロセス&テクノロジーは11月21日、このRPAの概要や市場動向、同社での取り組みなどについて記者説明会を開催した。

RPAには何ができるのか?

TVのニュースや新聞では盛んに「働き方改革」が取り上げられ、業務改善やITによる効率化に取り組む企業も増えているが、それでも長時間労働が解消されないのはなぜなのか。その要因の1つに、業務改善やIT導入の対象になる業務の多くが、煩雑かつ属人化されており、多少の効率化では大きく改善されないことが挙げられる。

こうした課題の解決策となり得るのがRPAである。「ロボティック」という言葉から機械式のロボットがイメージされがちだが、実体はソフトウェアだ。複数人で手分けして行っているようなデータの入力や集計・加工、検索・照会といった定型業務の操作をRPAに記録することで、既存のシステムを変更することなく、業務を自動化することができる。

得意領域は、例えば「Webからの入力情報を表計算ソフトに入力して、結果を別のフォームに入力する」といったような、意思決定が不要かつ複数のアプリケーションをまたいで行うタイプの事務作業だ。正確かつ迅速に処理を行うことができ、休憩する必要もない。変更への柔軟性が高く、業務の一部分だけ導入するといったことも可能で、コスト面のハードルが低い。

パーソルプロセス&テクノロジー プロセスエンジニアリング部 ゼネラルマネジャー 小林徹氏は「まだ始まったばかりのRPAですが、今、大きな注目を集めています」と説明する。

パーソルプロセス&テクノロジー プロセスエンジニアリング部 ゼネラルマネジャー 小林徹氏

RPAのもたらすインパクトとしては、人手不足解消とコスト削減が大きく取り上げられることが多い。だが、実際にRPAを導入した場合、真に大きなインパクトとなるのは「標準化による品質の向上」と、「新しいビジネスチャンスの創造」だ。

「当社グループで行っている派遣サービスでは、Webサイトでスタッフが仮登録した際、登録があった瞬間に対応できれば本登録の可能性が高まるのですが、そうしたサイトは10サイトほどあるので、人間が常に監視し続けることはできません。しかし、ロボットならば複数のサイトを巡回し続けることが可能です。仮登録があった瞬間にショートメールを送信し、アラートを上げることですぐに対応でき、本登録数が向上した事例があります。このように、人間ではできなかったことができるようになることで、新しいビジネスにつなげるような使い方をする企業も増えています」