【連載】

山口健太のモバイルデバイスNEXT

【第15回】KDDIに聞くHP Elite x3(端末編)

[2016/09/30 08:00]山口健太 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

日本HPが9月に発売を開始した「HP Elite x3」は、発売済みのWindows 10 Mobileデバイスの中で最高スペックを誇るフラグシップモデルだ。約6インチの大画面や、Qualcomm製のハイエンドCPU「Snapdragon 820」の採用は、マイクロソフトのLumiaシリーズをも上回る。

HP Elite x3

このHP Elite x3を法人市場で展開するにあたって、日本HPとパートナーシップを結び、取り組みを進めてきたのがKDDIだ。なぜWindows 10 Mobileデバイスを取り扱うのか、KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画副本部長兼クラウドサービス企画部長の藤井 彰人氏と商品・CS統括本部 商品技術部 無線通信2グループの西岡 勲氏に話を聞いた。

有線ContinuumやMSクラウドとの親和性が決め手に

KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画副本部長兼クラウドサービス企画部長 藤井 彰人氏

法人向けにWindows 10 Mobileを取り扱うに至った背景として、藤井氏は「法人がスマホを導入する際、モバイル環境とクラウド環境をセットで整理するケースが増えてきた」ことを明かす。

それでも「なぜWindowsなのか」という疑問符がつくが、「たとえばGmailを中心に使うなら、Androidが最も使いやすい。同様にWindowsにも『法人向けクラウド』との親和性の高さがある」と藤井氏。Office 365やSkype for Businessと組み合わせた「PCとスマホの一気通貫した世界を構築できる」(藤井氏)ことが、情報システム部門による管理性の高さなどから支持を得られると判断したようだ。

「自分のMicrosoftアカウントでWindows 10 Mobileにログインすれば、Outlookやカレンダー、リモートデスクトップなどの環境がすぐに整った。個別に設定する手間が省ける」(藤井氏)

KDDIは法人向けのモバイルプラットフォームとしてWindows 10 Mobileに当初から関心を持っており、特に外部ディスプレイに画面を出力することでPCのように使える「Continuum for Phones」に注目してきたという。日本では無線接続によるContinuum対応機種が先行してきたが、「無線ではなく、有線接続で快適に使えることが重要だ」と藤井氏は指摘する。

無線によるContinuumは、映像の圧縮・転送で遅延が生じてしまう。PowerPointのスライド表示や動画再生といった用途では即応性が求めらずにタイムラグは気にならないが、「文字の入力中にわずかな遅延があると、生産性が落ちてしまう」(藤井氏)という常用時の問題点がある。

これを解決できる有線接続のContinuumは、「ノートドック」などを活用して既存PCからの置き換えも目指せる。実際に藤井氏も「外回りの合間に短時間滞在するタッチダウンオフィスのような場合、HP Elite x3を全員に持たせながら、ノートドックはその半数だけ導入する、といった方法もある」(藤井氏)という導入シナリオを語っており、「Windowsだからこそ」の製品力を営業に活かす構えだ。

HP Elite x3は有線接続によるContinuumに対応する

HP Elite x3を接続してContinuumを利用できる「ノートドック」

VoLTEの音質も改善、特徴的な周辺機器も活用

HP Elite x3の特徴の一つには、KDDIのVoLTEやキャリアアグリゲーションに対応している点が挙げられる。その理由について西岡氏は、「HPがこの製品を開発する初期段階から、パートナーとして話をしてきた」と明かす。同一キャリアの端末を導入することが多い法人環境では、高音質で聞き取りやすいVoLTEの需要が高い。この点でもHP Elite x3では、他機種とVoLTEの音質を聞き比べながら改善するなど、HPの多大な協力を得られたという。

一方で、これだけ力のこもった製品ながら、価格設定にもぬかりはなく、コストパフォーマンスが高い。法人市場でも高い影響力を持つiPhoneだが、セキュリティ管理の容易さなどとトレードオフで、高単価に頭を痛める法人ユーザーも少なくない。一方でHP Elite x3は、7万7800円(税別)を実現しており「競合機よりも一段高いスペックで、この価格を実現できた」と藤井氏も胸を張る。

しかし、Windowsスマートフォンの一番のネックは、やはりアプリの少なさだろう。個人向けアプリはもちろん、ビジネスシーンで便利なアプリも不足している感は否めない。これについて西岡氏は、マイクロソフトの開発者向けカンファレンス「build」における「開発者の空気感」が、決して悪いものではないと話す。

「アプリの少なさはマイクロソフトも課題に感じているようだが、ニワトリとタマゴの関係にある。だが、最近になってさまざまな携帯キャリアがWindows 10 Mobileに注力するようになったことで、アプリベンダーの関心も高まっていくのではないか」(西岡氏)

Windows 10 Mobileというプラットフォームの将来性についても、世界的なシェアの下落や、Lumiaシリーズの終焉の噂が絶えない状況ながら、「マイクロソフトもモバイルのロードマップを持っており、次のサイクルの話も聞いている。デバイスについても、自社からOEMへと世界を広げていくのではないか」(西岡氏)との見方を示していた。

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