米Microsoftの買収発表により、国内でも改めて大きな注目を集めているLinkedIn。「ビジネスプロフェッショナル向けSNS」を標榜する同サービスは、人材採用や営業の業務を根本から変えるポテンシャルを秘めている。

6月8~10日に東京国際フォーラムで開催された人事、総務、経営向けイベント「ヒューマンキャピタル 2016」(主催: 日本経済新聞社、日経BP社)では、リンクトイン・ジャパン 日本オフィス代表代行 杉本 隆一郎 氏が『ビジネスSNSが仕掛けるHRイノベーション ~これからの採用・教育、そしてキャリア形成』と題する講演を行い、国内ではそれほど知られていないLinkedInの優れた機能を解説した。

本稿ではその模様を簡単に紹介しよう。

転職サービスではなく、あくまでビジネスプロフェッショナル向けSNS

リンクトイン・ジャパン 日本オフィス代表代行 杉本 隆一郎 氏

世界で4億人以上が利用するビジネスSNS「リンクトイン(LinkedIn)」。2011年10月に日本語サービスが提供され、国内では約150万超のユーザーが利用している。求人機能やヘッドハンターからの連絡があることなどから、転職サービスのようなイメージを持たれているが、転職に特化したサービスではなく、あくまで「ビジネスプロフェッショナル向けSNS」(杉本氏)だ。

ユーザーとして利用する場合、LinkedInの特徴は、大きく3つある。

1つ目は、ビジネスプロフェッショナルとしての「自己紹介」ができること。仕事の経験やスキルを記載しておき、ビジネス上の公開プロフィールとして利用できる。

2つ目は、ビジネス上の「つながり」を管理できること。商談や取引で知りあった人のコンタクトを管理し、情報をアップデートしていくことができる。

3つ目はビジネスに関する「情報収集」。会社の公式ページやニュースフィード、インフルエンサーからさまざまな情報を得ることができる。

「人とのつながりを作り情報を得るための日常的なビジネスツールとして利用されています。実際にユーザーアンケートを行ったところ、全体の8割は転職を考えておらず、ビジネスSNSとしての利用を目的にしていました」

ユーザーの登録情報

企業が利用するメリット - 採用だけでなく、広告、営業でも

一方で企業が利用するメリットも多い。

まずは「採用」だ。LinkedInに登録する4億人以上の会員から必要な人材を検索し、採用のアプローチができる。

続いてターゲットを絞った「広告」。企業や役職などの条件を絞り込み、個人や法人に商材を効果的に訴求できる。

そして「営業」。登録する会員の中から、ネットワークを活用し、新規顧客に効率よくアプローチできる。

これらのうち日本でソリューションとして提供しているのは採用と広告の2つで、営業についてはこれから本格的にスタートさせる予定だ。

コンシューマ向けSNSでは、広告、営業といった行為はどちらかと言えば避けられる傾向がある。だが、ビジネスSNSとして利用が前提となっているLinkedInでは、むしろこうしたサービスがユーザーのメリットにつながることが多い。実際、採用や広告、営業での効果が高いことがLinkedInの強みになっている。

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