アーバーネットワークスは9月6日、米Arbor Networksが運営するサイバーセキュリティ調査機関ASERT(Arbor Security Enieneering & Responce Team)を日本に展開すると発表した。ASERTが米国以外に設置されるのは初めてのことで、機関名称は「ASERT Japan」となる。

名誉アドバイザーとして、サイバーディフェンス研究所の名和利男氏が就任。既存のASERTの手法を踏襲しつつ、日本向けにカスタマイズしていく。

発表会には、名和氏のほか、米Arbor Networks APACバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ジェフ・バール氏、同ASERT マネージャー カール・ソルク氏などが登壇し、今後予想されるサイバー攻撃への対策や2020年の東京オリンピックで予想される脅威などについて解説がなされた。

4年後の東京五輪に向けた「準備」

Arbor Networks APACバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ジェフ・バール氏 ASERT Japanの名誉アドバイザーに就任した、サイバーディフェンス研究所 名和利男氏

米Arbor Networks APACバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ジェフ・バール氏

ASERT Japanの名誉アドバイザーに就任した、サイバーディフェンス研究所 名和利男氏

リオ五輪の興奮も冷めやらぬ今、サイバー攻撃者たちはすでに2020年開催予定の東京五輪を見据えている。

発表会冒頭、登壇したバール氏は「4年後に向けて、日本をターゲットにしたサイバー攻撃は増加することが予想されます。ただし、攻撃者たちに単独で立ち向かわねばならないわけではありません」と切り出した。

氏は、「この戦いは、技術で仕掛けられた戦争ですが、技術だけで戦って勝てるものではありません。人と情報を駆使して戦っていく必要があります」と語り、「ASERTの『T』は、Technology(技術)ではなく、Team(チーム)のT」であることを強調。「セキュリティの問題の元にあるのは、人間です。それを解決するにはやはり人間の力が必要になります」と説明する。技術だけで何とかなることならば、これだけ技術が進化した今、もう解決されているはずだというのだ。

ただし、巧妙な手口で攻撃を目論むサイバー攻撃者に対抗するには、年単位の準備期間が必要となる。

「(東京で五輪が開催される)2020年を前に、ASERT Japanの開設を発表できることを光栄に思う」と語り、今回、ASERT Japanの名誉顧問に就任した名和氏にバトンを渡した。

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