Aruba, a Hewlett Packard Enterprise company(以下、Aruba)は2月5日、日産自動車がArubaの無線LANソリューションを導入したと発表した。

日産自動車では、グローバルで統一したワイヤレス環境を長年運用してきたが、かねてより特定のベンダーへの依存が懸念されていた。グローバル本社における無線LANエリアの拡張に伴い、老朽化したAPの刷新が検討されることを契機に、新たな選択肢の模索を開始した。

要件には、最新の規格に対応していること、ゲストアカウントの発行をセルフサービス化できることに加え、運用開始までのリードタイムが短縮できること、複数の拠点を集中管理できることなどが挙げられた。

日産自動車では、グローバルIT本部でのテスト稼動と検証を経てArubaの導入を決定。ArubaのAPは、設置後に電波環境を自動調整して最適化する機能を備えており、設置までのリードタイムを短縮できるほか、複数のコントローラーを束ねて集中管理する環境を整備可能な点が評価されたという。

現在国内ではグローバル本社を手始めに日産自動車九州、八景島のカスタマーサービスセンター、相模原部品センター、座間事業所などに導入が進められ、3,000台以上設置されていた既存のAPのおよそ3分の2がArubaに置き換えられた。海外においても、ルノーの仏オフィスに数百台規模でArubaのAPを導入。AP(全てAP-205)と併せて、現場の状況を可視化するために「Aruba AirWave」、テスト的に導入された無線環境のアクセス制御には「Aruba ClearPass」が導入された。

日産自動車では、社内用、ゲスト用のほか、「WIMO(ワイモ)」と呼ばれるグループ向けのサービス用にそれぞれSSIDが用意される。WIMOはルノーの社員が日本へ出張した際、自身のスマートデバイスからインターネットに接続できるようにするサービス。認証が取れたIDをClearPassにより識別・制御できるため、スマートデバイスOSのみをインターネットに接続する運用が可能になる。

また、同社の役員が提携企業に異動する際は、異動先にRAP(Remote Access Point)と呼ばれるArubaのAP「AP-205H」を設置し、標準PCと組み合わせて活用することで、社外からでも日産自動車の環境に安全にアクセスできるとしている。

現在、横浜工場を中心にIoTにも対応する無線環境の整備を進めており、今後は他の拠点にも広げていく計画。またClearPassは、現状はテスト的に導入した無線環境の制御に活用しているが、今後は認証基盤として用途を拡大することを検討中だという。