顧客アナリティクスをいかに進めるか? ガートナーが示す3つのステップ

[2020/02/19 09:00]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

昨今、顧客アナリティクスに関心を持っている企業は多い。しかし、大きなテーマであるがゆえにどこから手をつけていいのかわからず、圧倒されてしまうケースが少なくないのだという。

2月13日、ガートナーはCX(Customer Experience)リーダーを対象に「カスタマー・エクスペリエンス&テクノロジ サミット」を開催した。本稿では、ガートナー シニア ディレクター アナリスト メリッサ・デイヴィス氏による講演「顧客アナリティクスについて知っておくべきこと」の内容を紹介する。

登壇したデイヴィス氏は冒頭、「顧客アナリティクスは『今すぐにやるべきこと』『その次にやるべきこと』『考えるべき検討事項』の3つに整理し、この3段階のロードマップに即して実践することが有効」だと語り、各ステップで具体的に何をやるべきかについて解説していった。

ガートナー シニア ディレクター アナリスト メリッサ・デイヴィス氏

今すぐにやるべきことは何か?

デイヴィス氏が最も優先順位が高いこととして挙げたのは、以下の3つだ。

1. 顧客データに対しての合理的なアプローチの選択

せっかくデータレイクを使っているのに、「ブラックホール」にしてしまい、活用の目的を見失っている企業が多い。その大きな原因の1つは、顧客を理解しようとするがあまり、顧客に関するありとあらゆるデータを収集しようとすることだ。「カスタマー360」は魅力的な考え方であるが、その意味するところは全てのデータを集めることではなく、「顧客ビューの一元化」である。確かに施策のパーソナライゼーションを行うには、最終的に顧客ビューを一元化することが望ましいが、初期の段階では3、4種類のデータで十分な場合も多い。「データは多ければ多いほど良い」という思い込みを捨て、その施策に必要なデータセットを検証することをデイヴィス氏は薦めた。

2. 顧客ライフステージの理解

B2CであれB2Bであれ、どんな業種の顧客にもライフステージがある。ライフステージ、あるいは世代の好みの理解は、パーソナライズしたインタラクションで役立つ。例えば、高齢者は電話でのコミュニケーションを好むが、若い世代はテキストメッセージでのコミュニケーションを好む。この違いを理解した上で、どんな手段でコミュニケーションを取るかはパーソナライゼーションで検討するべき要素の1つとなるはずだ。

3. 顧客満足度を高める要因の特定

顧客から自社へのフィードバックをもらう機会があるか。あっても自社の評価との間にギャップが生じていないか。往々にして顧客よりも自己評価のほうが高いケースがある。顧客満足度は後述する顧客の維持にも関わる。顧客の声(Voice of Customer)を集め、顧客が重視することをどれだけ自社ができているかを評価する仕組みを整備する必要がある。

次にやるべきことは何か?

続いて、デイヴィス氏は第2段階でやるべきこととして以下の4つを挙げた。

1. クロスチャネルのカスタマージャーニーの理解

Amazonのようなオンラインコマースが登場する前と比べ、顧客インタラクションは爆発的に増加した。しかもまだ増え続けている。カスタマージャーニーをトラッキングし、一貫性のあるコミュニケーションをすることが必要になるが、それはテクノロジーなしでは難しい。言い換えると、テクノロジーがあれば、複雑なカスタマージャーニーでもその時々で適切なインタラクションができるということになる。

2. 従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントを過小評価する企業は多いが、従業員体験と顧客体験は表裏一体の関係にある。そもそも何となく会社にいるような社員が真剣に顧客のことを考えられるだろうか。「報酬、トレーニング、福利厚生など、従業員が気持ち良く働くために何が重要かを調査し、改善を繰り返すことが長い目で見ると顧客体験価値の向上につながる」とデイヴィス氏は強調した。

3. 顧客維持への注力

サブスクリプションビジネスの台頭により、商品を売って終わりではなく、できるだけ長く使い続けてもらうことの重要性が高まりつつある。長く使い続けてもらえるサービスにするためには、どんな人が契約を止めてしまうのかを分析し、対策を講じなくてはならない。デイヴィス氏は効果的なリテンション施策の事例として、以下の3つを紹介した。

リテンション施策の3つの事例/出典:ガートナー(2020年2月)

4. AIの活用

人間の意思決定に機械の意思決定を組み合わせ、顧客体験価値の向上に役立てることができる。AIがさまざまなデータを自動的に分析し、人間に複数の選択肢を提案する拡張アナリティクスはこれからのテクノロジーだと言えよう。デイヴィス氏によれば、あるリース会社は審査業務に拡張アナリティクスを採用しており、潜在顧客を早く見つけ、コンバージョンを早期化することに役立てているという。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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