「マルキュー」の愛称でおなじみ、SHIBUYA109が変わりつつある。ロゴの刷新や館内リニューアルだけでなく、ブランドサイトもリニューアルし、新たな購買体験を提供しているのだ。
その背景にあるのは、急激に変化する若者たちのトレンドだ。デジタルネイティブ世代は何を好み、どんな方法で買い物を行うのか。調査から見えてきたのは、若者たちの意外な行動原理だった――。
7月4日、SHIBUYA109事業を運営するSHIBUYA109エンタテイメントからオムニチャネル事業部 MDプランニング部長を務める澤邊亮氏がITSearch+セミナーに登壇。「SHIBUYA109 独自のマーケティングとデジタル戦略- 急激に変化した10・20代のトレンド」と題し、現代の若者の姿と、そこに適したデジタルマーケティング施策について語った。
SHIBUYA109 lab.の調査で明らかになった「若者の実態」
澤邊氏はSC(ショッピングセンター)の現場運営と本社部門に携わった後、SHIBUYA109公式通販の運営や109ニュースの立ち上げを手掛けてきた。現在はSHIBUYA109の総支配人を務め、EC運営やオムニチャネルの推進などを担う。
そんな澤邊氏は講演冒頭、SHIBUYA109のビジョンを「若い世代の夢の実現をサポートすることで、若者に感動や共感を与え、その夢を渋谷から世界へ発信していくこと」だと説明。マーケティングを軸に置き、そこからMD、ブランディング、クロスメディア、イノベーションへとつなげていくビジネスモデルを紹介した。
SHIBUYA109のメイン顧客は言うまでもなく10~20代の若者だ。創業からの40年間、常に時代の最先端で若者を惹きつけてきたSHIBUYA109だが、実は2年ほど前までマーケティングの専門部署は存在しなかったのだという。
「2018年5月に弊社は若者に特化したマーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立しました。ミッションは若者と同じ目線で物事をとらえ、企業と若者の架け橋になることです」
同ラボは設立以来、独自のネットワークを生かしてグループインタビューやアンケート調査を実施し、アラウンド20世代(15~24歳)の男女の実態や価値観を中心にマーケティングデータを収集。SHIBUYA109の運営に生かすほか、今後は若者をターゲットにしている企業への情報提供も予定している。こうした調査を外注するのではなく、自社で行っているのが特徴だ。
環境の変化に伴う価値観の変化
その調査結果からは意外な事実も明らかになったという。澤邊氏は会場に向け、「今、若者が好きなファッションブランド1位は、どこのブランドだと思いますか?」と質問を投げかけた。若者向けのさまざまなブランドが思い浮かぶが、正解はそのどれでもない。
「実は『特になし』という回答が1位なんです。この傾向はこの2年ほど、ずっと変わりません」
ちなみに2位以降には「GU」や「FOREVER 21」「H&M」といったファストファッションブランドが続く。ここからわかることは、「若者のファッションブランドに対するこだわりが薄くなっている」ということだ。しかし、なぜそうなったのか。
澤邊氏はその理由として「若者を取り巻く環境や価値観、自己表現方法が変化した」ことを挙げる。
「1990年と比べて、現在はファッションの”消化率”が大きく下がっています。つまり、洋服が売れ残っているのです。さらにファストファッションの台頭により、おしゃれな洋服が安く手に入るようになって価格崩壊も起きています」
情報収集の方法も昔とは違う。昔の若者はTVや雑誌から情報を得て服を買っていたが、今はインターネットが大きな情報源となっている。SNSやスマホの普及によって、インターネットから情報を得るだけでなく、自ら発信することも容易になった。
若者が参加するコミュニティも大幅に増えている。学校や職場といったリアル社会だけでなく、SNSなどのデジタルコミュニティにも所属するようになったからだ。そして、若者にとってはSNSもまたリアルな世界の1つである。デジタルネイティブ世代にとって、「デジタルかリアルか」の区別は存在しない。
SNSアカウントを使い分けることも珍しくない。1人が所属するコミュニティの数は昔とは比べ物にならないほど増えており、自己表現の方法もどんどん多様化しつつあるのだ。
その結果、「自分らしさの変化」という現象が起きたと澤邊氏は分析する。
「昔は『この服を着ている私』こそが”私らしさ”でした。しかし、今や自己表現方法は服だけではありません。『この音楽を聴いている私』『こんなご飯を食べている私』、それら全てが”私らしさ”の要素になっているのです」
SNSで自分の生活を発信するのが当たり前になったことで、「周囲から自分がどう見られているか」が自分らしさの基準になっているのである。
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