自宅で本格生ビールを! 会員基盤を強化につなげる「KIRIN Home Tap」

【連載】

キリン流 デジタルマーケティングの仕掛け方

【第7回】自宅で本格生ビールを! 会員基盤を強化につなげる「KIRIN Home Tap」

[2017/12/07 08:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

マーケティング

連載目次

工場直送の生ビールを家庭の専用サーバーで楽しめるという、ビール好きにとっては夢のようなサービス「KIRIN Home Tap(ホームタップ)」が今年6月、全国展開開始となりインターネット上で話題になった。

キリンメールニュース、公式SNS、自社ECサイト「DRINX」会員などのオウンドメディアを中心に告知を行い、あまり大々的なプロモーションは行わなかったというが、当初の想定を大幅に超える申し込みがあったという。現在は新規の申し込みを一旦休止し、来年に向けてサーバーとビールの提供体制を整えている。

家庭用ビールサーバーの構想はもともと5~6年前からあり、2015年にテスト的に一部地域で先行展開されていた。今年6月より本格始動したホームタップの企画開発を担当するキリン デジタルマーケティング部 平田廣介氏に、開発の背景や今後の展望についてお話を伺った。

キリン デジタルマーケティング部の平田 廣介氏

ライフスタイルのなかに新鮮な美味しさを堪能できるビールを

ホームタップは、会員制の定期購入サービスとして提供される。利用料金は月額6900円(税抜)。基本料金2900円とビール代4000円(1L×2本セット×2回)がこれに含まれる。なお、期間内にビールを追加で注文する場合は、1L×2本セットが2000円(税抜)で提供される。

ホームタップ。1Lのビールが2本ずつ月2回、鮮度を保った状態で工場から直送される。

飲食店で提供される生ビールの価格を考えると少し割高感があるが、平田氏によると「週末に家族で普段とはちょっと違う食卓や時間を楽しみたい方や、子育てや介護中で思うように外出ができない方など、ビールの味にこだわりがある方はもちろん、ライフスタイルにこだわりがある方にご好評いただいています」とのことだ。キリンの調査では、8割以上のユーザーがホームタップに満足しているという結果も得られている。

ホームタップ向けビールには、通年商品である「一番搾りプレミアム」のほか、会員だけが飲むことのできる季節限定ビールも用意されている。ビールの劣化の原因となる酸素を遮断する特殊技術が採用された専用のペットボトルに封入され、工場から家庭まで冷蔵状態で届くことがこのサービスの売りの一つだ。

保冷機能のあるサーバーにペットボトルごとビールを設置すると、開封後48時間程度は新鮮なビールの美味しさを楽しむことができる。専用に開発されたビアラインによって作り出される、きめ細かくクリーミーな泡も美味しさのポイントとなる。

また、家庭に馴染むような、取り扱いが簡単でスタイリッシュなビールサーバーを実現するため、メンテナンス性やデザイン性にもこだわった。

飲食店などの業務用ビールサーバーは専用の機器を使った洗浄が必要だが、ホームタップではビアラインを水洗いするだけで済む。また台所や食卓に置いてあっても不自然でなく、飽きのこないデザインとなっている。

「長く使っていただくためには、なるべくシンプルに使えるようにする必要があります。サーバーの機材開発が一番苦労した点ですね」と平田氏は振り返っている。

ホームタップの内部。「家飲みの後に掃除はしたくない」という意見を反映し、日々のメンテナンスはチューブの洗浄だけで済む設計

キリンのロイヤリティを上げていくために

もともとキリンのオウンドメディアであるECサイト「DRINX」でビールを中心としたコンテンツ開発を担当していたという平田氏。「お客様との長く深いつながりをつくるきっかけとなるサービスや仕組みが必要であると考えた」ことが、ホームタップのビジネスモデルに繋がっている。

顧客に広くリーチして店頭で購入してもらうマス型の商品が圧倒的に多いキリンだが、「DRINX」はオウンドメディアとして、ECで商品を売るだけでなく、情報コンテンツの提供やイベントの実施などで、キリンのロイヤリティをあげていくことに主眼を置いている。

「ホームタップはまさに、それを実現する商品です。初年度はオウンドメディアで接点のあるメールニュース会員などキリンとのつながりが深い方を中心にホームタップのご案内をしました。今後は、初年度にアプローチできていない新たなお客様の会員化を進めるとともに、顧客生涯価値(LTV)という視点を重点指標としておき、会員向けのサービスやコンテンツを拡充していき、継続的に利用いただけるように取組を強化していきたいと考えています」(平田氏)

ホームタップの取り組みにより月額レンタルという会員制サービスの基盤を強化していくことで、他商品への展開や、会員の意見を取り入れたビール開発などさらなる可能性も考えられる。平田氏は、「長期スパンで考えていく必要があります」としている。

一方で、ホームタップの課題は、実際に利用してみないと商品の良さを理解するのが難しいという点だろう。サービスの供給体制が整った後は、会員獲得に向けて、ホームタップ体験の場をどのように設計していくかということも考えていく必要がある。

現在、18年の新規会員受付の準備中だという。「自宅で生ビール」はどこまで普及するか。今後の展開に注目したい。

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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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