激変期のストレージ業界、製品選びには注意も必要 - ガートナーが振り返る2016年

激変期のストレージ業界、製品選びには注意も必要 - ガートナーが振り返る2016年

[2016/12/29 08:00] ブックマーク ブックマーク

オールフラッシュへの投資が拡大、国内市場も急伸の余地

では、各社の戦略製品とは何なのか。

もちろんベンダーによって異なるが、現在各社が力を入れているのはやはりフラッシュストレージである。

フラッシュストレージ市場は今後拡大することが必至であるため、どこのベンダーも集中的にリソースを投入していくのは間違いない。現在は、HDDとSSDのハイブリッド製品も相応のシェアがあるが、今後はどこのベンダーもオールフラッシュ化に向かうことは確実と鈴木氏は見ている。

フラッシュストレージに関して、かつて心配された信頼性も、現在は大幅に改善されており心配はないようだ。フラッシュストレージには機械部が存在しないことから安定しやすく、HDDと比べてより壊れにくいという声も聞かれ始めているという。そうなれば現実のビジネス効果につながりにくい運用に割く時間が削減できるなど、ユーザー企業にとってのメリットは大きくなる。

「これからは全てのベンダーがより集中的にフラッシュストレージへ投資をするようになり、当初性能面のメリットを得る目的で普及していたフラッシュストレージが、今後徐々に運用面のメリットから導入されるケースが増えていくでしょう。容量が大きいファイルサーバーにも、フラッシュストレージを採用するケースも出始めています。記憶容量あたりの単価ではまだHDDに及びませんが、ユーザー側の運用時の手間まで含めて考えれば、トータルコストではすでにHDDを用いる製品よりもフラッシュストレージの方が効率的となる場合が今後増えていきます」

現在の国内におけるフラッシュストレージの割合は1割未満。対して海外はすでに約2割程度に及んでいる。それだけ見ても国内フラッシュストレージ市場は今後急伸する余地を残していると言えるだろう。

そうした背景もあってか、2016年は出遅れている日系ベンダーも巻き返しを見せ始めたという。

「国内市場に関して言えば、日系ベンダーの中でも、いよいよ日立と富士通が本気を出してきました。国外の市場でもどこまで海外ベンダーを追い上げることができるのか、注目したいと思います。ストレージ市場でベンダーが声高に主張する性能や機能、その一方で現実の性能や使い勝手、信頼性はどうなのか、ベンダー間競争の中ではこうした点が引き続き重要なポイントであり続けると見ています」

2017年、情報システム部門は原点に立ち返れ

そのほか、ストレージ関連の話題としては、ストレージのSaaS、いわゆるクラウドストレージ市場も盛り上がりを見せている。BoxやIBM、Microsoft、Google、Citrixなどのベンダーが熾烈な競争を繰り広げるこのカテゴリーは、エンタプライズ・ファイルシンク&シェア(EFSS)とも呼ばれる。

「クラウドを用いたファイル共有市場は着実に広がっており、サービスの品揃えもどんどんと高まっています。クラウドストレージの台頭は今後、インフラ担当者のやるべき事柄を大きく変えていくことでしょう」(鈴木氏)

このようにストレージ市場が更なる激変の時代を向かえるに当たり、多くのユーザー企業のIT担当者も戸惑うことになるのが容易に予想される。そこで鈴木氏は、まずは敢えて”そもそも論”へと立ち返ることを推奨する。

「原点に立ち還り、自分たちが目指すべきITインフラとはどのようなものなのかを改めて考えて欲しいのです。企業ごとに情報システム部門の役割は違えど、そもそものゴールは共通しているのではないでしょうか。それは、インフラを使う人たちに満足してもらうことであるはずです。より信頼性が高く、より安い製品を求めているのも、そのためでしょう。このゴールを目指すのなら、もっと”外側”へと目を向けて欲しいのです」

まず目を向けるべきなのが、情報システム部門の外側、つまりはユーザー部門である。各部門に対して積極的に声をかけ、利用状況や満足度を聞くことで、例えば「クラウドストレージが使いたい」といったニーズを把握できるはずだ。それらの声に耳を傾けていかなければ、ユーザーの満足度を向上させることなど不可能と言える。

「より速く、より快適にというニーズを叶えるのも、すべてユーザー部門の満足度につながっています。そうして自社のITインフラの未来を変えていけば、会社のビジネスそのものを変革することにもつながっていくはずです」(鈴木氏)

もう1つ、デジタルテクノロジーを活用して新しいビジネスデザインを創造する「デジタルビジネス」のトレンドがさらに強まるなか、そのテクノロジー知識をフルに活用して全社的なビジネスに貢献していくことが、情報システム部門のインフラ担当者には特に求められるようになる。そのためには、ITインフラに限らず、AI、ビッグデータ、IoT、モバイルなど、より幅広いテクノロジーに目を向けることが必要だ。

「それができれば、ストレージだけでなくインフラ全体、そしてIT全般、さらには企業全体をドライブしていけるようにもなるでしょう。視点を変えれば、インフラ担当者の新しい大きな役割に気付けるはずです。その良いタイミングとなるのが2017年。これを機に、自分のキャリアの将来像や情報システム部門の将来像についてじっくりと考えてみてはいかがでしょうか」と、鈴木氏は力を込めて語った。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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