Amazon SQSを使ったSpringアプリケーション(2)

【連載】

AWSで作るクラウドネイティブアプリケーションの基本

【第29回】Amazon SQSを使ったSpringアプリケーション(2)

[2019/11/06 08:00]川畑 光平 ブックマーク ブックマーク

開発ソフトウェア

前回はAmazon SQSの概要やアプリケーションにSQSを組み込んだ構成のパターンを説明し、実際にコンソール上からキューを作成しました。今回は、下記のようにSQSへキューを送信するProducerアプリケーションを「Spring Cloud AWS」を使って実装していきます。

今回実装する処理のイメージ

本連載の第12回でも説明しましたが、Spring Cloud AWSはAWSのサービスに対してサポートを提供するものです。SQSに関しては、org.springframework.cloud.aws.messaging.core.QueueMessagingTemplateを使用したメッセージ送受信機能や、 org.springframework.cloud.aws.messaging.listener.annotation.SqsListenerを使用したメッセージポーリング機能を提供しています。

なお、実際に作成したアプリケーションはGitHub上にコミットしています。以降で紹介するソースコードでは、import文など本質的でない記述を省略している部分があるので、実行コードを作成する場合は、適宜GitHub上のソースコードも参照してください。

クラスの実装に入る前に

Spring Cloud AWSを使用するには、まず、Mavenプロジェクトのpom.xmlでspring-cloud-starter-awsのライブラリを定義します。加えて、SQSを利用するにはspring-cloud-starter-aws-messagingのライブラリを追加してください。

さらに、リクエストを受け付け、パラメータをSQSに送信する処理を実装するので、spring-boot-starter-webを追加し、モデルオブジェクトを簡素化するために、Lombokライブラリも追加します。

<dependencies>
  <dependency>
    <groupId>org.springframework.boot</groupId>
    <artifactId>spring-boot-starter-web</artifactId>
  </dependency>
  <dependency>
    <groupId>org.springframework.cloud</groupId>
    <artifactId>spring-cloud-starter-aws</artifactId>
  </dependency>
  <dependency>
    <groupId>org.springframework.cloud</groupId>
    <artifactId>spring-cloud-starter-aws-messaging</artifactId>
  </dependency>
  <dependency>
    <groupId>org.projectlombok</groupId>
    <artifactId>lombok</artifactId>
    <optional>true</optional>
  </dependency>
</dependencies>

それでは、Producerアプリケーションの実装に進みます。今回作成するProducerアプリケーションの構成は以下の通りです。

コンポーネント 説明 必須
WebApp SpringBootアプリケーションを実行する起動クラス
MvcConfig SpringMVCの設定を行うクラス
DomainConfig サービス・インフラストラクチャレイヤの設定を行うクラス
SqsConfig SQSへの接続に関する設定クラス
SampleRestController リクエストを受け取り、SampleRepositoryを呼び出して、JSONレスポンスを返却するController
SampleRepository QueueMessagingTemplateを使って、SQSへメッセージ送信を行うクラス
Sample SampleRepositoryの永続化データモデル

以降、各々のクラスについて解説を進めていきますが、事前に準備が必要です。

まず、AWSコンソールでアプリケーション用のユーザーを作成し、AWS公式ページ「設定ファイルと認証情報ファイル」を参考にユーザーホームフォルダに.awsディレクトリを作成してください。同ディレクトリに、「credential」というファイル名で、CSV形式の認証キーに記載しているユーザー認証情報を、以下の形式で保存します。

[default]
aws_access_key_id=XXXXXXXXXXXXXXXX
aws_secret_access_key=YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY

上記のクレデンシャルを持つユーザーは、SQSへの接続権限を持っている必要があります。以下のように、AWSコンソールで「IAM」サービスメニューから、ユーザーにSQSのアクセス権限を付与しておいてください。

SQSのアクセス権限を付与しておく

クラスの実装

それでは、クラスを実装していきましょう。まず最初に、SpringBoot起動クラスと各種設定クラスを作成します。

@SpringBootApplicaitonアノテーションが付与された起動クラスは、同一パッケージにある@Configurationアノテーションが付与された設定クラスと、設定クラス内で@ComponentScanされたパッケージにあるクラスを読み取ります。今回は、目的に応じて以下の3つに分類して設定クラスを作成します。

  • SpringMVCの設定クラス:MvcConfigクラス
  • サービス・インフラストラクチャレイヤ設定クラス:DomainConfigクラス
  • SQSの接続を行う設定クラス:SqsConfigクラス

設定クラスは必ずしも複数である必要はなく、1つにまとめても動作上問題ありません。ただし、クラス名と役割を対応付けて作成しておいたほうが、後々混乱することなく、クラス名から設定内容を識別できるのでベターでしょう。

package org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.config;

import org.springframework.boot.SpringApplication;
import org.springframework.boot.autoconfigure.SpringBootApplication;

@SpringBootApplication
public class WebApp {

    public static void main(String[] args) {
        SpringApplication.run(WebApp.class, args);
    }

}

今回リクエストを受け付けるControllerは、RestControllerとして作成します。そのため、同一パッケージに配置するMvcConfigクラスでは、org.springframework.web.servlet.config.annotation.WebMvcConfigurerを継承し、Controllerクラスのあるパッケージをコンポーネントスキャンする設定を加えておくだけでOKです。

package org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.config;

import org.springframework.context.annotation.ComponentScan;
import org.springframework.context.annotation.Configuration;
import org.springframework.web.servlet.config.annotation.WebMvcConfigurer;

@Configuration
@ComponentScan("org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.app.web")
public class MvcConfig implements WebMvcConfigurer {
}

SQSに対してメッセージを送信するコンポーネントは、メッセージを永続化するRepositoryとして実装します。DomainConfigでは、Repositoryの実装クラスのあるパッケージをコンポーネントスキャンする設定を加えておくだけでOKです。

package org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.config;

import org.springframework.context.annotation.ComponentScan;
import org.springframework.context.annotation.Configuration;

@Configuration
@ComponentScan("org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.domain")
public class DomainConfig {
}

次に、SQSへの接続情報を設定するSqsConfigですが、AmazonSDKで提供されているAmazonSQSAsyncを設定した、QueueMessagingTemplateクラスをBean定義します。また、AmazonSQSAsyncの内部で設定されるEndpointConfigurationには、前回作成したSQSキューがあるリージョンとエンドポイントを設定してBean定義しておきます。

package org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.config;

import com.amazonaws.client.builder.AwsClientBuilder;
import com.amazonaws.services.sqs.AmazonSQSAsync;

import org.springframework.beans.factory.annotation.Autowired;
import org.springframework.beans.factory.annotation.Value;
import org.springframework.cloud.aws.messaging.core.QueueMessagingTemplate;
import org.springframework.context.annotation.Bean;
import org.springframework.context.annotation.Configuration;

@Configuration
public class SqsConfig {

    @Value("${queue.endpoint}")
    private String queueEndpoint;
    @Value("${cloud.aws.region.static}")
    private String region;

    @Autowired
    AmazonSQSAsync amazonSQSAsync;

    @Bean
    public AwsClientBuilder.EndpointConfiguration endpointConfiguration(){
        return new AwsClientBuilder.EndpointConfiguration(queueEndpoint, region);
    }

    @Bean
    public QueueMessagingTemplate queueMessagingTemplate(){
        return new QueueMessagingTemplate(amazonSQSAsync);
    }

}

上記の設定では、第26回でも説明したように、Spring Cloud AWSがcom.amazonaws.auth.DefaultAWSCredentialsProviderChainを利用して、AWSの認証情報を取得します。アクセスキーなどは設定せずに、開発端末下だけで有効化されるapplication-dev.ymlで、cloud.aws.credentials.profileに空白を、instaceProfileに「false」を設定しておきましょう。

また、リージョンの自動検出をOFFにするよう、cloud.aws.region.autoに「false」を、今回アプリケーションが実行されるリージョンを「cloud.aws.region.static」に手動設定しておきます。

applicaiton-dev.yml

cloud:
  aws:
    credentials:
      profileName:
      instanceProfile: false
    region:
      auto: false
      static: ap-northeast-1

また、applicaiton.ymlでは、アプリケーションのスタック名自動検出の無効化とキューのエンドポイントを設定しておきます。

application.yml

cloud:
  aws:
    stack:
      auto: false
queue:
  endpoint: https://sqs.ap-northeast-1.amazonaws.com/

続いて、リクエストを受け付けるControllerを実装しましょう。

SQSへのメッセージ送信が実装されているSampleRepositoryをを呼び出し、文字列のJSONデータを返却する処理を実装します。

package org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.app.web;

import org.springframework.beans.factory.annotation.Autowired;
import org.springframework.web.bind.annotation.GetMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RequestMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RestController;

import org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.domain.model.Sample;
import org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.domain.repository.SampleRepository;

@RestController
@RequestMapping("api/v1")
public class SampleRestController {

    @Autowired
    SampleRepository sampleRepository;

    @GetMapping("/batch")
    public String batch(String message){
        sampleRepository.save(
          Sample.builder()
                  .message(message)
                  .build());
        return "Queue accepted.";
    }
}

最後に、実際にSQSキューへメッセージを送信するRepositoryクラスです。インジェクションしたQueueMessagingTemplate#convertAndSendメソッドを呼び出すだけですが、第1引数には前回作成したキューの名称を、第2引数にメッセージ本体となる文字列を設定します。

package org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.domain.repository;

import org.springframework.beans.factory.annotation.Autowired;
import org.springframework.cloud.aws.messaging.core.QueueMessagingTemplate;
import org.springframework.stereotype.Component;

import org.debugroom.mynavi.sample.aws.sqs.domain.model.Sample;

@Component
public class SampleRepositoryImpl implements SampleRepository{

    @Autowired
    QueueMessagingTemplate queueMessagingTemplate;

    @Override
    public void save(Sample sample) {
        queueMessagingTemplate.convertAndSend("MynaviSampleSqsQueue", sample.getMessage());
    }

}

起動クラスを実行してアプリケーションを起動し、コマンドラインなどからHTTPリクエストを送信してControllerを呼び出します。正常に完了すると、以下のようにControllerから完了メッセージが返却されます。

>curl http://localhost:8080/api/v1/batch?message=test
Queue accepted.

AWSコンソール上で、前回作成したキューを選択し、「キュー操作」から「メッセージの表示・削除」を選択すると、キューにメッセージが蓄積されていることが確認できます。

キューにメッセージが蓄積されていることが確認できる

これで、メッセージを送信するProducerアプリケーションが実装できました。次回は、このメッセージを受信するConsumerアプリケーションから実行されるBatch処理を、SpringBatchを使って作成します。

著者紹介


川畑 光平(KAWABATA Kohei) - NTTデータ 課長代理

金融機関システム業務アプリケーション開発・システム基盤担当を経て、現在はソフトウェア開発自動化関連の研究開発・推進に従事。

Red Hat Certified Engineer、Pivotal Certified Spring Professional、AWS Certified Solutions Architect Professional等の資格を持ち、アプリケーション基盤・クラウドなどさまざまな開発プロジェクト支援にも携わる。2019 APN AWS Top Engineers & Ambassadors選出。

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