今年も5月7日~9日(米国時間)の3日間にわたり、年次カンファレンス『Google I/O 2019』が開催された。同イベントはGoogleが毎年開催する開発者向けのカンファレンスで、これからのテクノロジーの未来を探る重要な場として注目を集めている。
はたして今年のGoogle I/Oではどんな新技術が発表されたのか。6月19日に開催された第118回ITSearch+スペシャルセミナーには、GoogleのDeveloper Relationsチームで主にDesign SprintやMaterial Design周りのコミュニケーションを担当する鈴木拓生氏が登壇。現地で得た生の情報を基に、Google I/O 2019の主なトピックスについて解説を行った。
全ての人々のために役立つGoogleへ
Google I/Oは、2008年から毎年Googleが米国で開催している開発者向けカンファレンスだ。もともとはGoogleマップの開発者の集まりからスタートし、現在は世界中から開発者が集う一大イベントとなっている。
今年のGoogle I/Oのキーワードとして鈴木氏が挙げるのが「Building a more helpful Google for everyone(全ての人々のためにより役立つGoogleへ)」という言葉だ。これは、基調講演で同社CEOのスンダー・ピチャイ氏が発したメッセージでもある。
なかでも特に大切なのは「for everyone(全ての人々のために)」と「helpful(役立つ)」という部分だと鈴木氏は強調する。
「『Helpful』とはKnowledgeやSuccess、Health、Happinessなどを得るために、テクノロジーで生活をより良くしていくということ。そして『For everyone』とは、出身や年齢性別を問わず、全ての人々の役に立つということです」
For everyoneを実現するために、アクセシビリティやプライバシーの尊重に関しても注力しているという。例えば、機械学習を活用して話すことが困難な人をサポートする「Project Euphonia」や、デバイスで再生される動画の音声にほぼリアルタイムで字幕を付ける「Live Caption」は、聴覚や発話に障がいを持つ人々を強力にサポートする開発中のテクノロジーとして発表された。
プライバシーに関しては、GoogleマップやYoutubeを例に挙げ、「より便利にしていく一方で、プライバシーへの配慮も必要。そこで、検索履歴を残さない設定や、古い履歴データを自動的に削除できるモードなどを追加する予定」(鈴木氏)と説明する。
また、Google検索自体もより良い体験にしていく。具体的には、ユーザーの検索に対して検索結果の一覧を出すのではなく、検索内容によっては、検索結果画面にAR技術などを用いた情報を表示することを考えているという。
例えば、「ホオジロザメ」で検索している場合、ユーザーはおそらく大きさや見た目などを知りたいだろうことから、AR機能を使ってホオジロザメを表示する。他方、料理名で検索している場合は作り方を知りたいケースが多いため、レシピがわかる動画を表示する……といった具合だ。
さらに、Webサイトにハウツー系の情報を掲載する際のマークアップが用意された。料理やDIYなど、手順を伴うような内容をサイトに記載する場合、指定の方法でこのマークアップを記述しておくと、検索結果に手順のステップを表示できるという。スマートディスプレイを利用している場合は音声操作でページの切り替えも可能とのことで、料理のように水周りでの作業が多く、デバイスの操作がしづらいシーンでは特に重宝しそうだ。
こうしたプロダクトの随所で存在感を示すのが、AIを活用した「Googleアシスタント」である。登場してから35カ月が経過した現在、対応言語は初期の8言語から30言語へ、対応地域は14地域から80地域へと順調に拡大しているという。
AIも引き続き推進
2017年のGoogle I/Oで「AIファースト」を掲げたGoogleは、もちろんAI開発にも引き続き注力している。Googleが提供する機械学習ツールは、大きくAndroid/iOS向けの機械学習SDK「ML Kit」、AIプラットフォーム「Google Cloud」、機械学習フレームワーク「TensorFlow」の3つに分かれており、さまざまな改良やアップデートが加えられた。
なかでもプライバシーへの配慮が反映されているのが、ML Kitへ追加された機能「ML Kit On Device Translation」だ。Google翻訳と同等の機能を提供するが、データをサーバに送信することなく、端末上で全て完結する点が特徴となっている。
そのほかにも、機械学習でHelpfulを実現していくための取り組みとして、医療への活用例や衛星写真を基に地形から水の流れを分析し、洪水の発生を予測してアラートを上げる実験プロジェクトなどを紹介。「カンファレンスでは、機械学習やAIを難しく考えるのではなく、『世の中をいかにより便利にするか』というメッセージが多かった」(鈴木氏)と振り返った。
