【連載】

実践! iPhoneアプリ開発

【第8回】RSSリーダの作り方 (4) - libxmlでパースする

[2009/04/17 12:40]木下誠 ブックマーク ブックマーク

開発ソフトウェア

前回はXMLパースライブラリの検討をして、libxmlを採用する事にした。今回は、実際にlibxmlを組み込んで、パースを行ってみよう。

libxmlのプロジェクトへの追加

まずプロジェクトにlibxmlを加える必要がある。

ここまででプロジェクトに追加されている外部のライブラリは、フレームワーク形式のものだった。UIKit.frameworkや、Foundation.frameworkなどだ。これらのファイルは、SDKフォルダの下の、Sysytem/Library/Frameworksに入れられている。SDKフォルダは、/Developer/Platforms/iPhoneOS.platform/Developer/SDKsにある。

これに対して、libxmlのようなUNIX由来のライブラリは、別のフォルダの中にある。SDKフォルダの下の、usr/libだ。インクルードファイルは、usr/includeになる。

この中にlibxmlのためのファイルがある。iPhoneSDK2.2では、libxml2.2.dylibがインストールされている。このファイルへのシンボリックリンクであるlibxml2.dylibが用意されているので、こちらをプロジェクトに追加しよう。

プロジェクトへの追加は簡単で、libxml2.dylibファイルを、Finderからドラッグ&ドロップで追加してやればいい。または、[プロジェクト]→[プロジェクトに追加...]メニューからファイルを選択する。

インクルードパスの追加も必要である。こちらは、ターゲットの情報画面から行う。ビルドの設定項目に「ヘッダ検索パス」があるので、ここにlibxml2のためのインクルードパスを追加しよう。SDKフォルダの下の、usr/include/libxml2になる。

これで、libxmlを使う準備が整った。

libxmlのSAXハンドラ

今回は、パフォーマンスとメモリのフットプリントを考慮して、libxmlのSAXパーサを使う。SAXパーサでは、パースをしながらXMLの要素や属性を発見し、それをアプリケーションに通知してくれる。このために、ハンドラを登録しておく必要がある。

libxmlのSAXハンドラは、xmlSAXHandlerという構造体で定義されている。この構造体では、30ほどのハンドラが定義されている。これらを全部登録する必要はない。アプリケーションの中で、必要なものだけ使えばいいのだ。ここでは、要素の開始、要素の終わり、テキスト、を通知するハンドラを登録しよう。多くの場合、これだけでも十分だろう。

これらのハンドラは、それぞれstartElementNsSAX2Func、endElementNsSAX2Func、charactersSAXFuncという型になっている。次のような定義になっている。

List 1.

typedef void (*startElementNsSAX2Func) (
                void *ctx,
                const xmlChar *localname,
                const xmlChar *prefix,
                const xmlChar *URI,
                int nb_namespaces,
                const xmlChar **namespaces,
                int nb_attributes,
                int nb_defaulted,
                const xmlChar **attributes);

typedef void (*endElementNsSAX2Func) (
                void *ctx,
                const xmlChar *localname,
                const xmlChar *prefix,
                const xmlChar *URI);

typedef void (*charactersSAXFunc) (
                void *ctx,
                const xmlChar *ch,
                int len);

要素の開始の通知の際には、名前空間なども渡されるのが分かるだろう。

これらの第一引数に、ctxというものがあるのに注目してほしい。これは、ユーザが任意に指定できるデータとなる。Cocoaアプリでは、ここに、このXMLパーサをハンドリングするオブジェクトのアドレスを入れておくと便利だ。なぜなら、ハンドラ自体はC言語のコールバックなので、C関数となる。この中で処理をするのはなにかと不便なので、オブジェクトを使って、そちらのメソッドに処理を投げてしまうようにすればいい。

DownloadOperationに組み込む

では、このlibxmlを組み込んでみよう。前回までにDownloadOperationという、フィードをダウンロードするためのクラスを作成した。これに組み込んでみる。

まずこのクラスに、SAXパーサのためのインスタンス変数を追加しよう。これは、xmlParserCtxtPtrという型になる。

List 2.

#import <Foundation/Foundation.h>
#import <libxml/tree.h>

@interface DownloadOperation : NSOperation
{
    NSURLRequest*       _request;
    NSURLConnection*    _connection;
    xmlParserCtxtPtr    _parserContext;
    BOOL                _isExecuting, _isFinished;
}

// Initialize
- (id)initWithRequest:(NSURLRequest*)request;

@end

まず、#import文でlibxml/tree.hヘッダファイルを読み込んでおく。そして、xmlParserCtxtPtr型の変数を宣言する。前回まであった、ダウンロードしたデータを保存しておくための_data変数は、ダウンロード中に逐次パースを行うため、必要なくなったので削除した。

次に、SAXハンドラを紹介しよう。

List 3.

static void startElementHandler(
        void* ctx, 
        const xmlChar* localname, 
        const xmlChar* prefix, 
        const xmlChar* URI, 
        int nb_namespaces, 
        const xmlChar** namespaces, 
        int nb_attributes, 
        int nb_defaulted, 
        const xmlChar** attributes)
{
    [(DownloadOperation*)ctx 
            startElementLocalName:localname 
            prefix:prefix URI:URI 
            nb_namespaces:nb_namespaces 
            namespaces:namespaces 
            nb_attributes:nb_attributes 
            nb_defaulted:nb_defaulted 
            attributes:attributes];
}

このように、ハンドラが呼び出された直後にDownloadOperationのメソッドを呼び出して、処理をそちらに渡すようにしている。

フィードのダウンロードを始めるときは、先にパーサを作成する。パーサの作る関数はいくつかあるが、ここではダウンロドーしたデータを逐次追加できるようにしたいので、xmlCreatePushParserCtxtを使おう。

List 4.

- (void)start
{
    // ダウンロードを開始する
    if (![self isCancelled]) {
        // XMLパーサを作成する
        _parserContext = xmlCreatePushParserCtxt(&_saxHandlerStruct, self, NULL, 0, NULL);
        ...

ダウンロードが始まりデータが得られたら、順次データを追加していく。これには、xmlParseChunkを使えばいい。

List 5.

- (void)connection:(NSURLConnection*)connection
        didReceiveData:(NSData*)data
{
    // データを追加する
    xmlParseChunk(_parserContext, (const char*)[data bytes], [data length], 0);
}

これがlibxmlを組み込んだDownloadOperationクラスだ。NSXMLParserを使うものと比べて、高いパフォーマンスと、少ないメモリフットプリントを実現できているはずだ。

次回は、RSSデータを取り出して、アプリケーションを仕上げていこう。

ここまでのソースコード: RSS-2.zip

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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