ハイブリッドクラウド利用の「スタイルマップ」

この連載でも何度か紹介していますが、ハイブリッドクラウド研究会ではハイブリッドクラウドの活用シーンをまとめた「ハイブリッドクラウドガイドライン」を公開しています。全105ページの力作となっておりますので、ぜひご覧になっていただければと思います。

このガイドラインのなかで一番特徴的な部分は、ハイブリッドクラウドの活用シーンを「スタイル」としてまとめ、それらの関連性を「スタイルマップ」として表現している部分です。

ハイブリッドクラウドの活用シーンまとめたスタイルの関連性

上記の図では、右に行けば行くほどクラウドの利用が可能な状況を表しています。また、中央の「クラウドネイティブなアーキテクチャの採用」よりも上のスタイルは、仮想マシンを中心とした「レガシーシステム」です。一方、下のスタイルはコンテナやPaaSなどを活用した「クラウドネイティブシステム」に相当します。

これを踏まえ、ガイドライン公開後に実施したハイブリッドクラウド研究会の第1回勉強会に参加いただいた方に「組織では主にどのスタイルを利用しているか?」という質問をした結果が以下です。

組織で主に利用しているスタイルについて聞いた結果

上記のように回答は0%となっているところもありますが各スタイルに分散する結果となりました。もちろん、勉強会に参加いただくような方からの回答ですので、より多くの方に質問するとさらにオンプレミス(左上側)に偏った回答結果になるとは思います。それでも、きちんと回答が分散していることから、研究会で考えたスタイル分類は意味があるものになっているという自信を持てる結果となりました。

やはり、「クラウドネイティブなアーキテクチャ」の採用に移行できている組織はまだまだ少ないということがはっきりした今、研究会としても、そこを深掘りしていきたいと思っています。同時に、仮想マシンを中心とした従来のアーキテクチャのなかでハイブリッドクラウドを活用している組織も多いことから、その部分にも改めてフォーカスを当てていきたいと思います。

第2回勉強会を1月24日に開催!

これらを踏まえて、第2回の勉強会を2019年1月24日の午後14時から実施します。

第2回勉強会では、エンドユーザーとして実際にハイブリッドクラウド環境を利用しているレコチョクの藤川氏に登壇いただき、どのようにハイブリッドクラウド環境を構築/運用しているのか、またそのなかでどのようなメリット/デメリットがあったのかを忖度無しで赤裸々に語っていただきます。エンドユーザーの生の声を聞きたい方は、ぜひご注目下さい。

HCCJPは事務局が日本マイクロソフトであり、これまでの取り組み内容はMicrosoftソリューションに比重が偏りがちでしたが、実際の環境ではマルチベンダーで複数のクラウドを利用する形態も一般的です。今後は、研究会としても積極的にマルチに取り組んでいきます。

今回の勉強会では、ヴイエムウェア 大原氏に登壇いただき、VMwareのクラウド戦略やビジョン、AWSとの連携も含めて説明いただきます。また、日本ヒューレット・パッカード 小川氏にはMicrosoft、VMwareを含めた「自社にあったハイブリッドクラウドの選び方」を解説いただきます。

さらに、すでにHCCJPにて作成および公開済みの「ハイブリッドクラウドガイドライン」より解説とデモンストレーションも行います。Azure Files と Azure File Sync を用いたファイル サーバーのスモール スタートとハイブリッド化についての解説はアバナード 小賀坂氏から、Azure Stack Hybrid DevOpsのデモンストレーションは筆者が行う予定です。

そして、第1回勉強会で好評だったQ&Aおよびディスカッションセッションは、今回も60分の時間をとって実施します。直接質問するのはもちろん、匿名のWebリアルタイムアンケートシステムを使って口頭では聞きにくい”エグい”質問も気楽にできます。第1回勉強会では30件以上の質問が飛び出し、大変賑わいました。今回はエンドユーザー企業の観点、VMware、AWSなどの観点も加わり、さらに盛り上がることは間違いありません。聞き手に回りがちな方も今回はぜひ、積極的にディスカッションに参加いただければと思います。

セミナー実施後には希望者にて懇親会も実施します。同じ悩みを抱える他社の担当者や各メーカーのキーマン、Microsoft MVPなどとお酒を飲みながら気軽に会話できる貴重な機会ですのでこちらも奮ってご参加ください。

参加申し込みは、connpassのページ「ハイブリッドクラウド研究会(HCCJP) 第2回勉強会」で受け付けています。皆様のご参加をお待ちしております。

著者紹介

日本ビジネスシステムズ株式会社
胡田 昌彦(Ebisuda Masahiko)

Windowsインフラ系を中心に数名から数万人規模までの様々な企業向けシステムの設計、構築、運用に携わる。2014年よりMicrosoft MVP for Windows Expert-IT Pro, System Center and Datacenter Management, Cloud and Datacenter Management を連続受賞中。著書に「Windowsインフラ管理者入門」。Twitterアカウントは@ebi。3児の父。