パイオニアが「スーパルート探索」で実施した大移植 - RED HAT FORUM TOKYO 2017

[2017/11/24 08:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

クラウド

クラウドを活用することで、従来のカーナビにはない柔軟なルート探索を実現したパイオニアの「サイバーナビ」。開発の裏では、車載アプリケーションをクラウドへ移植する作業があり、この過程でOpneShiftが大いに役立ったという。

「RED HAT FORUM TOKYO 2017」では、パイオニア 技術開発本部の谷川裕史氏と、日本情報通信 ソリューションビジネス本部の菱木竜也氏によりその詳細が明かされた。

両氏が登壇した講演『カロッツェリア スーパールート探索におけるコンテナ技術の活用』の内容をレポートする。

パイオニア 技術開発本部 技術統括部 情報サービス第1技術部1課 課長の谷川裕史氏

日本情報通信 ソリューションビジネス本部 ソフトウェアテクニカルセールス部 担当課長 菱木竜也氏

ちょうど良いルート選択を実現した「スーパールート探索」

パイオニアは2017年1月、カーナビシステム「サイバーナビ」の新機能としてスーパールート探索の提供を開始した。

従来のルート探索では、所要時間や料金を優先して候補を提示するため、「途中まで一般道で必要なときに高速に乗る」「少し道を戻るがこのICから乗ったほうが早い」「料金計算でETC割引は考慮してくれない」といった課題があった。

これに対し、スーパールート探索は、人それぞれのシチュエーションに合わせたルート選択を実現している。

では、具体的にどう変わるのか。

パイオニアの谷川氏は壇上で、スーパールート探索のデモとして、東京都の目黒雅叙園から神奈川県の宮ヶ瀬ダムまでをルート探索した結果を示してみせた。

まずは「首都高と中央自動車道を使って相模原ICから一般道を使うルート」があり、1時間34分、2960円で到着する。このほか、最も速いルートとして「首都高と東名高速道路を使い厚木ICから一般道を使うルート」があり、1時間23分、1650円で到着する。また、最も節約できるルートは「一般道だけを使うルート」で、2時間16分、0円で到着する。

これらの候補から選ぶなら、2つめの首都高と東名を使う「最速ルート」が良いように思える。しかし、15分程度遅くなってもよいのであれば、実はさらに料金が安いもう1つルートがある。「首都高を使わず、東名川崎ICまで一般道で行き厚木ICから再び一般道を使うルート」だ。

この場合、1時間38分、1040円で到着でき、最速ルートより遅くはなるが、610円と約40%料金を節約できるのだ。

「スーパールート探索では、東名と中央道ではどちらが速いか、圏央道は使うべきか、それぞれで料金はいくらかなどを考慮して効率のよいルートを提案します。今までのルート探索と違って、カーナビ本体の限られたデータで計算するのではなく、クウラド上に蓄積された膨大なデータとリアルタイム情報を使って高度なアルゴリズムで計算するためです」(谷川氏)

車載アプリのサーバ移植で開発効率化

これをもたらしたのが、サイバーナビによる機能と品質のクラウドサービス化だ。カーナビの機能をサーバ側で実現することで、車載機よりも高品質なルートを計算できるようになった。

また、サーバパワーをいかした高機能化、高性能化も可能になった。大規模計算リソースや大容量の保存領域、外部コンテンツサーバとの高速・大容量通信が可能だ。

クラウド側のインフラとしてはIBM Cloud(Bluemix IaaSのベアメタル)を利用し、Dockerコンテナ環境をOpenShiftで構築・管理している。

まず、従来のカーナビシステムで稼働していいたアプリケーション「NaviCore」をクラウドに移植してDocerコンテナ上のアプリケーションサーバで動作できるようにした。

また、フロントサーバや情報収集サーバなどもコンテナ化し、車載機側のアプリケーションや、クラウド上に蓄積するログデータ、地図データ、リアルタイムデータと連携させて、サービスを提供するという構成だ。車載機が増えた場合も、サーバ側でリソースをオールスケールさせて対応できる。

サイバーナビのシステム構成

「開発にあたっては、車載機のソースコードをできるだけそのまま流用し、開発環境から本番環境への移行期間を短縮したいと思っていました。開発言語がC++だったため、組み込みからサーバへの移植作業や本番移行が大きなリスクだったのです。また、アプリケーション開発とインフラ開発の依存性を排除したいとも思っていました。そのためには柔軟なリソース配分が可能な環境が必要でした」(谷川氏)

さらに、コスト低減や品質向上も課題だった。そのためには、本番サービスの保守は無停止運用で行うこと、不具合発生時の切り戻し作業を容易にすることを目指した。こうした要求に合う製品として採用されたのが、OpenShiftを使ったコンテナ環境だった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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