Box 創業者・CEO アーロン・レヴィ氏

「この10年、企業がクラウドを活用する目的は、効率を上げ、アジリティ(俊敏性)を高めるためだった。次の10年はどうなるのか?ビジネスモデルそのものをトランスフォーメーションするためにクラウドを活用する必要がある」

こう話すのは、クラウドコラボレーションサービスを手がける「Box」の創業者でCEOのアーロン・レヴィ氏だ。東京・渋谷で行われた同社のイベント「Box World Tour 2016 Tokyo」でレヴィ氏が語ったクラウドの現状・未来についてレポートする。

国内でも多数の採用例

Box World Tourは毎年世界各地で行われているイベントで、日本における開催は2014年から3回目。今年も米国・シカゴを皮切りに、イギリスやカナダなどで開催された。2014年には700名だった東京の参加者も、今回は1900名と3倍近い数まで増えており、同社の勢いが伺える。

全世界の顧客企業数は6万2000社で、大企業から中堅中小企業、スタートアップまで幅広い規模、業種・業態を問わず導入が進んでいるという。米国では、GEやコカ・コーラといった大手はもちろん、「シェアリングエコノミー」で注目を集めるUberやAirbnbなども利用している。

日本においても採用例は増加しており、導入事例を公開している企業も少なくない。楽天や第一三共、早稲田大学、フジテレビ、セブン-イレブン、伊藤忠など、名だたる企業・組織の名前が並ぶ。

途中、共和党大統領候補のトランプ氏を「彼は米国の代表者じゃないから気にしないで」と話して笑いを取る場面も

楽天や第一三共など、さまざまな業種の大手企業が採用しているBox

3つのキーワードがビジネスを変える

Boxは単なるクラウドストレージではなく、さまざまな企業・組織・アプリケーションとの接点を作り出すプラットフォームだ。これまでのビジネスで社内に閉じていたコラボレーションを、社外とも容易に繋がれる、共有できるようにすることで、ビジネスの変革を促す。これが冒頭で触れた言葉「ビジネスそのものをトランスフォーメーションする」に繋がるわけだ。

レヴィ氏は、現在のITを取り巻く環境が「信じられないほど素晴らしい時期にある」と話す。これは4つのキーワード、「モバイル」「コラボレーション」「デジタルイノベーション」「セキュリティ」で大きな変革が起きているからだという。

Boxはさまざまなセキュリティベンダーと協業しているほか、コンプライアンス管理などでも企業ごとのポリシーに最適化できるような細かい設定を用意する

例えば、「モバイル」では、単純に「人々がスマートフォンを持つ時代になった」という話ではなく、全世界で2020年までに20億人がモバイルデバイスを利用するという”総モバイル化”の時代において、システム設計がデスクワーク前提であってはならないとレヴィ氏は説く。

「ソフトウェアは、いつでもどこでも仕事ができる環境でなくてはならない。どこでも社内データにアクセスでき、かつセキュアであることが担保される必要がある。こうした環境が構築できれば、ビジネスのすべてを変えられるはずだ」(レヴィ氏)

また、コラボレーションについてもデジタル環境の変化がビジネスへ影響を及ぼしているという。これは、かつてのビジネスが社内の事業部間コラボレーションなどの”閉じた世界”であったのに対して、社外の異業種・異業態とビジネスプレイスを共有することで、新たなビジネスに繋がるという指摘だ。

「すべてのビジネスがコラボレーションをベースに進められる時代になる。ファイアウォールの中でファイルを共有し、メールで議論し、という時代から、社外コミュニケーションをベースとする時代へ変わりつつある。どこでも、誰とでもビジネスできるよう、メールだけでなく、ファイルやコントラクト(契約)もオンラインでセキュアにできる時代になるはずだ」

Boxで変わるコラボレーションの在り方

「デジタルイノベーション」のキーワードについては、彼らの顧客であるUberやAirbnb、Netflixを持ち上げるためのようにも聞こえたが、彼らのような「既存ビジネスを新規にデジタルで置き換える存在」が、デジタル環境の進展によって出てきたと指摘する。

Uberはタクシーを保有しているわけでなく、Airbnbも貸部屋を保有しているわけではない。Netflixも、かつてはパッケージソフトで配布していたコンテンツをネット経由で配信することで中間者コストをなくした。

「Teslaなどにも言えることだが、彼らはデジタル体験を整えることで、これまでのビジネスを破壊した。今までのやり方を破壊できることは、信じられないほどエキサイティングだし、破壊できる可能性があるからこそ、私たちはITを愛しているんだ」

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