RPA導入のリスクとメリット - IT部門がとるべき「3つのアクション」とは?

[2018/11/22 08:00]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

業務アプリケーション

具体的になった副次効果と顕在化する野良ロボット問題

RPAソフトウェア導入のメリットは、一般的な自動化ツールのメリットと共通する。例えば、処理の高速化やコストの軽減などだ。導入が進み、直接的効果に加えて副次的な効果も見えてきた。利用者に任せた結果、利用者自身で業務自動化を進められるようになったこと、非IT部門のITリテラシーが高くなるきっかけが生まれたことだ。テクノロジーに詳しくない人が変化に適応できなければ、デジタルビジネスを推進することは難しい。その意味でRPAは「いい感じに使える」ツールだと阿部氏は評価する。

さらに社員の1日の過ごし方も変わる。例えば、法人営業は顧客訪問の前に準備を都度行うが、この作業を組織全体でまとめると膨大な量になる。自動化すれば、空いた時間をコミュニケーションの時間に変えることができ、案件数が増えた事例もあるという。

ただし、このような副次効果を導入前から想像して、達成状況を管理しようとするのは無理があると阿部氏は説く。そこそこのコストでそこそこに早く業務を実行できるようになるのがRPAの長所であり、もっと投資額を増やせるのであれば、別の方法も検討するべきというわけだ。

一方、導入が進み顕在化し始めたリスクはいわゆる「野良ロボット問題」である。利用部門が気軽に試せるからといって、社内のロボットの数を把握できないぐらい増えてしまうと、管理者不明の「野良ロボット」が出来上がる。最初のスモールスタートで成功したとしても、利用部門に全てを任せて本当に大丈夫なのかという疑問が浮かぶのは当然だ。また、利用部門からの自動化要求が増大し、その要求に応えすぎた結果、裏で動いているレガシーシステムの改修ができなくなるリスクがあることにも留意したい。

初期導入時点でも下図に示すようなリスクがあるが、さらに何でもかんでもロボットに任せていると、スクリプトのメンテナンスの負荷の増大に加え、ランニングコストやセキュリティリスクも増大することになる。

RPAソフトウェアのメリットとリスク/出典:ガートナー(2018年11月)

つまり、時間の経過に従い、ロボットの運用時間が長くなるほど、メリットを上回るリスクが顕在化する可能性があるのだ。すでにRPAを導入している企業は、このリスクに直面する可能性には注意する必要がある。このリスクを低減するには、メリットとリスクが逆転しないよう定期的に確認することとが望ましいという。

これからの全社展開に役立つ3つのアクションプラン

あまりリスクの部分ばかりを気にかけるとメリットを十分に手にすることが難しいが、使い続ける以上、バランスを確認して関係者と方針をすり合わせることが求められるとし、阿部氏はIT部門に向けて次の3つのアクションを提案した。

RPAによる自動化方針を定める

今後の成果を左右する導入の前に、短期の方針と長期の方針に分けて明確にするべきだと阿部氏は話す。それぞれに目的や改善レベルが変わるからだ。短期であれば、早期に結果を出すことに焦点を当てるべきであり、いきなり業務改革に着手する必要はない。初期であればIT部門がリーダーシップを取ることもできる。一方、長期ともなれば経営陣の関与が必須となる。

中核組織を立ち上げる

長期的視点から見るとRPAは業務自動化の手段の1つにすぎない。導入して軌道に乗るまでは関係者をまとめる何らかの組織が必要になる。利用部門をがんじがらめに縛ることではなく、知識の共有と拡散目的とした組織にすれば、スモールスタートからの健全な拡大方針を検討できるであろう。IT部門は、この中核組織の主要メンバーとしての役割が求められる。

コミュニケーション活動をリードする

中核組織に参画する組織の面々は、経営陣から利用部門まで多岐にわたる。経営陣に対しては、いたずらに浮かれさせることなく、またこれから迎える幻滅期にがっかりさせることもなく、その期待をうまくコントロールすることが求められる。IT部門には利用部門とのコミュニケーションを通して、中核組織の一翼を担いながら、全社的な戦略を立案/実行することが求められる。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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