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数億円調達! ルート最適化を1年でビジネスにした名大発ベンチャーの原点

[2018/06/04 08:00]星原康一 ブックマーク ブックマーク

常駐先プロジェクトで正月に倒れる

――本格的に配送ルート最適化に取り組んだのがこの1年ということでしたが、最初の2年間はどんなことをしていたのでしょうか?

先ほども触れましたが、1年目は自分たちの最適化アルゴリズムを活用できるシーンを探っていました。農業や製造業などの企業も伺いましたが、残念ながら利益はゼロで終わりました。

昨年は、社会を経験したくて、いわゆる”IT土方”をやっていました。某大手企業のプロジェクトに3次下請けで入ったのですが、過労で元日に倒れてしまって。救急車で運ばれるという苦い経験をしました(笑)。

ただ、この出来事により改めて、自分たちの強みを生かして社会を変えていきたいという気持ちが強くなりましたね。迷いなく配送ルート最適化に専念できました。3年目は、柳浦先生に技術顧問に就いていただき、名古屋大学の全面バックアップももらって開発を進めています。

指定条件の意図を読みとれ

――物流業界の企業を回ってわかったことを教えてください。

業界全体に関して言うと、ECなどの普及により、配送ニーズは激増しているものの、ドライバーを確保できない状況が続いています。会社役員など、ドライバーとして雇用されていない方々も配達に行かなければならないほどです。

現在は、人件費削減、車両削減などと言える状況ではありません。限られたリソースで膨大な量の配達をどうすればこなせるのか、が問われています。今後はより顕著になるでしょうから、配送ルート最適化は不可欠と言えるでしょう。

とは言え、現場を知らずに開発しても、使われずに終わってしまうだけです。

例えば、コンビニエンスストアへの商品配達では、「11時半~13時のお昼時間帯は混雑するので搬入は避けてください」と店舗から頼まれることがあります。この条件を単純にソフトウェアで判定させると、29分は配達OKで、31分は配達NGということになりますが、店舗の意図はそういうことではないはずです。

このような条件の場合、私たちのサービスは、可能ならばなるべく早い時間に配送するように自動で組みますし、11時32分になってしまっても全体が最適化されるならば、そちらを選べる設計になっています。

皆さんも午前指定などの配達を指定することがあると思いますが、実はドライバーさんにはなかなかのプレッシャーになっているんです。11時50分着で組んだりすると、渋滞など、何かあったときに間に合わないので、ドライバーさんからはもっと早く回れるように変更してくれとお願いされるケースが多いです。

そうした表に現れない、人間らしい条件にも対応できるよう工夫してきました。

――配送ルート最適化の精度だけでなく、そういった柔軟性も備えているんですね。

ルート作成の際にはそのほかにも、荷量、渋滞予測、走行速度、縦横の揺れ幅、停車可能位置、ドライバーの特性、現地での待機時間、車両台数/ドライバー数、積載制限、勤務時間などの情報も考慮できます。

さまざまな制約、条件を考慮したルートを算出できる

渋滞予測に関しては、曜日や時間帯別に交通量の情報を持っていて、この区間の通過には8時台なら10分、9時台なら12分などと、現実に近い数値で算出可能です。

舗装の悪い道などを通ったときなどに生じる車体揺れのデータも取り込んでいきます。精密機械などの壊れやすいものや、お弁当などの崩れやすいものを運ぶときには、そこを通らないようルート選択します。

ドライバーの特性としては、例えば、茶髪ピアスの男性はNGという配達先があったりしますし、訪問介護では女性介護士指定というお客様もいらっしゃいます。そういった条件を満たしたうえでの全体最適が可能です。

以前は、在宅/不在の予測機能も取り入れていましたが、最近ではスマートメーターの導入が進んで、電気の利用状況などからリアルタイムに在宅/不在がわかるようになりつつあったり、宅配BOXのサービスの出現などもあったりします。もはや予測する時代ではないので、データ連携により判定する方針に切り替えました。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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