分析に使われている非構造化データは1%以下という現実

『ビジネスを成功させる「データの力」』をテーマに掲げた「Cloudera World Tokyo 2017」が、11月7日に都内で開催された。

基調講演に登壇した米Clouderaの最高マーケティング責任者(CMO)であるMick Hollison氏は、「不可能を可能にするデータの力」と題して、今日のクラウデラが目指す、データ分析プラットフォームの世界が示された。

米Cloudera 最高マーケティング責任者のMick Hollison氏

Microsoft、Google、Apple、Facebook、Amazonといった世界のトップIT企業のうち、10年前にフォーチュン10にランクインしていたのはMicrosoft1社だけであった。S&P500種株価指数において時価総額4%に過ぎなかったこれらの企業だが、いまや14%を占めるまでになっている。

こうした急成長の背景についてHollison氏は、次のように持論を述べた。

「つまりデータをうまく活用している企業が成功を収めていることだ。それはGoogleやFacebookのようなテックカンパニーに限らない。こうした企業からは、どんな企業でも多くを学ぶことができるはずだ。なぜならすべての企業はそれぞれの課題を抱えているはずであり、そうした課題の多くはデータから価値を引き出すことが十分にできていないことに起因しているからだ」

Hollison氏によると、意思決定に使用されている構造化データの比率は50%となっているのに対し、分析に使用される非構造化データについては実に1%以下でしかないという。また、許可を受けていないデータにアクセスしている従業員の比率は70%以上にもなるとともに、データの特定と準備のためにアナリストが費やす作業時間の比率は80%にもなってしまっている。

「非構造化データの活用というのは我々の得意としているところであり、データを不正から守ることやデータのコネクティビティの提供と合わせて現状の改善に大きく貢献できることだろう」とHollison氏は強調した。

AWSもAzureも、あらゆるデータを横串にして可視化

クラウデラでは大規模企業へのフォーカスを進めており、グローバルトップ10の銀行のうちの7社、同通信事業者が9社、同ヘルスケア企業6社、同テクノロジー企業8社など、企業間を横断するかたちで存在する1000社以上の顧客を抱えている。

そうした大規模企業のうち日本の代表的な顧客となるコマツの事例をHollison氏は紹介した。

「コマツは我々のプラットフォームを活用して、今まで考えられなかったようなかたちでコネクティビティを実現している素晴らしい顧客だ」とHollison氏は力説した。

データ活用に関しては、従来は多くの企業の間で間違った考え方が浸透していたという。それは「ひとつのデータタイプ」「ひとつの分析機能」を良しとしてしまい、しかも統合が困難であることを気にしなかったことだ。

「そうした誤った考え方に対し、クラウド環境に向け最適化された機械学習と分析プラットフォームを提供するのがクラウデラである。AWSであろうとAzureであろうと、データがどこにあったとしても横串に刺して一元的に見ることができる環境を我々は提供しているのだ」(Hollison氏)

データが置かれている場所を選ばない環境づくりに象徴されるように、今クラウデラは買収を次々と実行するなど慌ただしく変化を遂げている。

「クラウデラはマシーンラーニング・アナリティクス・プラットフォームとして世界に展開している。そこで大きな差別化要因となっているのがクラウドネイティブでクラウドであることだろう。

このような成功を収めることができるのも、イノベーションを実現するオープンソースコミュニティがったからこそだ。我々1社では到底不可能であったが、パートナーを含めてコミュニティの力があったからこそ、さらなる成長を目指して突き進むことができるのだ」──最後にHollison氏はこう力説して講演を終えた。