シュナイダーエレクトリックは4月19日、都内で2021年の事業戦略説明会を開催した。同社では、インダストリー事業部、セキュアパワー事業部、パワーシステム事業部の3つのセグメントで事業を展開し、それぞれの事業部における戦略を説明した。

サステナビリティと効率性を支援するパートナーに

冒頭、シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏は「2020年はコロナ禍においても俊敏に対応し、オペレーションを止めることなく、レジリエントに回復し、2020年上半期は厳しかったが、下半期は対応してプラス成長できた。当社はサステナビリティと効率性を実現するための手段としてデジタライゼーションを強力に推進し、ミッションはサステナビリティと効率性を実現するためのデジタルパートナーになることだ」と話す。

シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏

シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏

昨今の潮流として同氏は「デジタル化」と「電化」を挙げており、デジタル化はIoTやビッグデータ、AIなどが指数関数的な勢いで拡大し、デジタルの恩恵をビジネスに取り込むことでサステナビリティと効率性を達成するための破壊的な想像をビジネスで実現していくという。また、電化について世界各国は電気自動車(EV)への切り替えを期間設定する国が相次いだほか、多様なエネルギー源の電化を試みている。

白幡氏は「われわれの見る未来は、デジタルと電化が進むことで社会において電力をスマートに効率的に使用し、クリーンで環境にやさしいソリューションを提供することを目指している。また、新型コロナウイルスは本来取り組まなければならない問題を加速させ、当社では数年前からインフラ、プラント、設備などをリモートで遠隔から人がいない状況でオペレーションを可能とするIoTプラットフォーム『Ecostruxure』を提供している」と力を込める。

Ecostruxure

ビル、データセンター、工場・プラント、公共インフラにEcostruxureを提供している

同社の戦略をもとに、日本に取り巻く状況について同氏は「少子高齢化」「国土強靭化」「脱炭素」の3つのトレンドを挙げており、デジタル化の重要性はかつてなく高まっていると指摘。

こうした、日本の課題に向けて日本法人では「匠・技術の伝承とリモート監視を可能にするソリューション」「IT設備におけるレジリエントな運用を支えるアプリケーションとサービス」「電力分散化とレジリエンスを支えるソリューションとパートナーシップ」「脱炭素化を目指す企業を支援するサービスとプラットフォーム」の4つに取り組む。

匠・技術の伝承とリモート監視を可能にするソリューションは、工場やプラントの設備保守などにおける作業支援をARを介して行う「Ecostruxure Augmented Operator Advisor」、世界各拠点に出荷した同社の装置をクラウドベースで常時遠隔監視するサブスクリプションモデルのプラットフォーム「Ecostruxure Machine Advisor」を紹介。

レジリエントな運用を支えるアプリケーションとサービスに関しては、クラウドベースのITインフラ管理ソリューション「Ecostruxure IT Advisor」、ITインフラ設備を同社のエキスパートが24時間365日遠隔監視するサービス「Ecostruxure Asset Advisor」、クラウド経由でインフラ設備の稼働状況や環境情報、セキュリティ情報などのデータを収集し、監視や管理をリモートで行うことができる「Ecostruxure IT Expert」が担う。

電力分散化とレジリエンスを支えるソリューションとパートナーシップでは「Ecostruxure Microgrid」の各種ソリューションで対応。具体的には、電力の発電や蓄電などを効率的に行うソリューションを提供する。

脱炭素化を目指す企業を支援するサービスとプラットフォームについては、Energy & Sustainability Service事業を2021年下半期から日本でもスタート。これにより、電力の購買の仕方や電力の効率化、サステナビリティ戦略の3つを柱に、すべてを統合的にアプローチするサービスの提供を可能にするという。

白幡氏は「具体的なソリューションとサービスの提供により、サステナビリティとデジタル化を推進する日本企業のパートナーを目指す」と締めくくった。