太陽光発電の土地売買トラブルはなぜ起きる?原因と回避方法を解説

土地活用

山地や林地の売却方法として、太陽光発電の用地として企業に売却するという方法があります。自然エネルギーの活用が注目されている昨今、山林のまま売却するよりもそのほうが良いのではないかとお考えの方も多いでしょう。

しかし、山林を太陽光発電の用地として売買をおこなうとトラブルの危険を伴う可能性があります。報道でも、太陽光発電用地を巡った売主と買主の争いが取り扱われているほどです。そういった事情を耳にして、相続などで手に入れた山林を太陽光発電用地として売却して良いものかとお悩みではありませんか?

本記事では、太陽光発電にかかわる土地売買についてどのようなトラブルが発生するのか、またその原因やトラブルを避けるためのポイントをご紹介します。後悔のない山林売却を成功させるための参考になさってください。

太陽光発電の土地売買で起こるトラブルとその原因

まずは太陽光発電にかかわる土地売買によってどのようなトラブルが発生するのか、その原因を合わせて解説します。主に次の2つのトラブルが挙げられます。

  • 売買契約を結んでも売却できない場合がある
  • 売買契約から引き渡しまでが長い

売買契約を結んでも売却できない場合がある

通常の不動産売却の場合、購入希望者と交渉が成立し、お互い合意のもと売買契約を締結することができれば精算をして引き渡しをすることができます。しかし、太陽光発電用地としての売買は売買契約を締結できて手付金が支払われたとしても、その後契約が白紙に戻ってしまうことも珍しくありません。

ただ、買い取る太陽光業者によっては、契約してすぐに引き渡しがおこなわれる即時買取を利用する場合もあり、すべての契約が振出しに戻る恐れがあるわけではありません。

契約後すぐに引き渡しがおこなわれないのは、太陽光発電としての利用許可がおりてから正式に取引が成立するシステムをとっているような業者の場合です。こういったシステムのことを停止条件付売買と言います。

太陽光発電用地の売買では、停止条件付売買をおこなうことが一般的です。このときの停止条件は主に「太陽光発電事業の許可が下りること」とされ、その許可が下りなければ契約は無効になってしまいます。

このように、せっかく手間や時間をかけて契約を結んでも、契約が無効になってしまいトラブルに発展してしまうケースがあるのです。

売買契約から引き渡しまでが長い

太陽光発電の売買契約が成立するまでには、早くても3~6ヶ月、長くて1年以上かかる場合もあるとされています。通常の不動産売却のようにすぐに引き渡しできるという勘違いからトラブルに発展するケースが多発しているのです。

なぜ売買契約までにそこまでの時間を要するのでしょうか。太陽光発電として用地を使用するためには、以下のような申請手続きをおこなう必要があります。

太陽光発電用地として転用するための申請 太陽光発電事業を始めるために必要な許可
  • 地目の転用申請
  • 伐採許可・林地開発許可
  • 開発許可
  • 経済産業省資源エネルギー庁への事業申請
  • 電力会社への事業申請

上記の事業申請には締結した売買契約が必要になるため、事業者にとっては先に買い取ってしまってから許可が得られないと損益が生まれることになります。そのため、停止条件付売買が多く選ばれるのです。

このような申請や許可はそれぞれ申請先や手順・必要書類が異なるため、多くの時間を要します。自治体や行政への申請など、結果が出るまで数か月の間売買が成立するかはっきりわからないというのは大きな不安点でしょう。

太陽光発電としての売却は最後の手段と考えよう

太陽光発電業者への売却は、許可に手間や時間を要したり、前述のようなトラブルに発展することもあります。山林地など、太陽光発電用地として売却できる土地にはほかにも利用価値があるかもしれません。太陽光発電用地として売却することを検討する前に、他の売却方法を探してみることもおすすめします。

土地売却先を検討するならまずは通常売却

まずは通常の不動産業者の仲介による売却を検討しましょう。山林地の場合、通常売却は基本的には次の手順でおこないます。

  1. 山林の現状を把握し情報を集める
  2. 不動産会社に査定を依頼する
  3. 媒介契約を結んで売却活動開始
  4. 購入希望者に引き渡す

査定の依頼は一括査定サイトを利用すると、優良や不動産業者を見つけやすく、山林の最新相場も簡単に把握することできます。

一方で太陽光発電用地として売却する場合、発電事業をおこなう事業者に購入を打診するか、土地を探している事業者から売却を持ち掛けられることが一般的です。

山林を売却することができるのは主に近隣の林業業者や高齢者向け施設の運用など、事業目的の業者がほとんどです。売却活動を進めていく過程で太陽光発電など、その他発電システム用地としての利用を目的に購入を希望する人が現れることもあるでしょう。

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売却価格は高いが時間とコストが必要

通常売却の方がおすすめであるとはいえ、不動産会社の仲介で売却するよりも、太陽光発電用地として売却するほうが高額売却になるケースが多いことも事実です。

一般的に原野や山林として売却した場合、地域によって異なりますが、1㎡あたり数百円~5,000円程度の売却価格になります。特に市街地から離れた奥地は価格が低く、1㎡あたりの価格は100円程度です。これには、山林や原野の需要が限られていることや、転用する場合に費用がかかることなどが由来しています。

一方で太陽光発電用地は坪単価5,000~10,000円程度が一般的と、通常売却よりも高額で売却できることがわかるでしょう。成約価格を考えると、太陽光発電用地として売却するほうが魅力的です。

しかし、前にも述べたように、太陽光発電用地を売却するには多くの時間を要します。たとえ売買契約を結んでいたとしても、正式に引き渡すまで所有権が移るわけではないので、結果を待つ間の固定資産税などの維持費は自分で負担する必要があります。

山林地の売却も短期間で済むようなものではありませんが、売却活動が長いだけであってその後引き渡しまでに何年も要するわけではありません。太陽光発電用地の売却は、購入希望者を探す売却期間のあと、許可が下りるかどうか待っている時間も必要になり、その間維持費がかかり続けるため負担が大きくなります。契約を結んでしまった以上、土地のクオリティを下げるわけにはいかないので、それまでよりも管理が大変になる恐れもあるでしょう。

通常売却や買取が難しいなら太陽光発電

太陽光発電用地として売却するには、時間やコストがかかることや、トラブルの恐れがあることをおわかりいただけたのではないでしょうか。しかし、土地の条件によっては通常の売却がどうしても難しい場合もあります。

通常売却の活動をおこなっても結果に結び付かないような場合、太陽光発電業者に売却するほうが良い可能性もあります。以下のような場合は太陽光発電用地としての売却を検討しても良いでしょう。

  • 市街地から離れた奥地の山林、原野の場合
  • 利用価値が低く買い手が見つからない
  • 不動産会社の査定価格が想定よりも低い
  • 時間がかかっても維持費を負担できる資金がある

このように、一般の需要には適さないような土地でも、太陽光発電など自然エネルギー発電事業には必要とされる可能性もあります。維持費を負担できるだけの財源があり、時間がかかることも了承できるのかをしっかり検討してから、太陽光発電事業に土地を役立てることも視野に入れましょう。

太陽光発電の土地売買におけるトラブル回避のコツ

それではいよいよ、実際に太陽光発電用地として売却する場合の手順や注意点を解説していきます。

太陽光発電事業に土地を役立てるのであれば、できる限りトラブルを避けていきたいところです。そこでまずはトラブルを回避するために気を付けたいポイントを3つご紹介します。

POINT! 契約に特約を入れる・転用確認を怠らない・太陽光発電に向いている土地か確認する
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

好条件の買主を逃さないように契約に特約を入れる

売買契約から引き渡しまでが長くなりがちな太陽光発電の用地売買には、停止条件付売買が用いられることが一般的です。この停止条件は通常発電業者側が「許可が得られなかった場合には契約を無効とする」と定めることが多いですが、売主側が条件を追加することもできます。

一度契約してしまうと、結果を待っている間にもっと良い条件で買い取ってくれる人や業者が現れたとしても契約を破棄することができず、悔しい思いをしてしまうことも多いです。契約解除には違約金が発生するなど、乗り換えようとすると売主にとって不利に働くこともあります。

そういったことがないよう、契約時に「高い金額での購入希望があった場合解約できる」「〇年経過したら解約できる」など、特約をつけておくことをおすすめします。優良な企業であれば、あまりに無理のある要求でない限り、企業側も受け入れてくれることでしょう。

農地転用ができるか事前に確認する

太陽光発電用地として利用できるのは、山地、林地、原野、宅地などで、田や畑など農地として登録されている土地は利用することができません。

農地の売却は他の農家など、既に農業に従事している人や業者に限られています。これは日本の農業人口が減り、農地がむやみに転用されないようにするために定められたもので、農地を他の目的の土地に転用するには、都道府県知事や指定市町村長の許可を得る必要があります。

太陽光発電業者に問い合わせる前に、まずは自分の土地の地目を法務局で確認し、所轄の地方農政局や自治体の担当部局、農業委員会などに転用できるか相談することが必要です。

農地の売却や転用の方法について詳細に紹介している記事はこちらです。

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太陽光発電に向いている土地の条件を事前に確認する

太陽光発電用地には向き不向きがあります。場合によっては通常売却や、その他の自然エネルギー発電用地として売り出すほうが良いこともありますので、ここでしっかりチェックしておきましょう。太陽光発電に向いている土地の条件は以下の通りです。

  • 日当たりが良い
  • 300坪以上の面積を有する
  • 近くに電柱がある
  • 傾斜がなく長方形に近い形の土地

各条件を詳細に見てみましょう。

日当たりが良い

太陽光発電には日当たりが必要不可欠です。日光を遮るものが周辺にないことや木々などを取り除くことができることはもちろんですが、日照時間の長さも重要です。できる限り多くの時間太陽光エネルギーを効率よく吸収できるような土地であれば、太陽光発電業者に高く評価されるでしょう。

300坪以上の面積

太陽光発電に必要なソーラーパネルは非常に大きく、それを何十枚も広げて設置するとなるとまとまった広い面積を有していなければなりません。具体的には平均的に300坪以上の土地を購入対象条件としている業者が多く、中には500坪以上に限っている業者もあります。

広く多くのパネルを設置できるほうがより効率よく発電することができるため、住宅用地には適さないような広大な土地にニーズが集まっています。

近くに電柱がある

なければ売却できないというわけではありませんが、電柱が近くにあるほうが売却がスムーズになる可能性があります。

太陽光エネルギーで発電した電気は、そのままでは利用することができません。電気を流通して販売するためには、電柱が必要不可欠です。近くにない場合は、業者の負担で電柱を設置することになるため、その費用が余計に掛かってしまいます。

そのため、売却時に既に電柱が設置されていると、設置の手間や費用が必要ないため、購入意欲が上がりやすいと言われています。

傾斜がなく長方形に近い形の土地

傾斜が激しい土地の場合、ソーラーパネルを設置する際に特別な基礎工事をおこなう必要が発生します。その費用や手間をかけないために、なるべく平らな土地が好まれています。それに加え、傾斜が大きい土地は土砂崩れなどのリスクも考えられるため敬遠される傾向にありますので気を付けましょう。

また、長方形のソーラーパネルを設置するためいびつな土地はあまり向いていません。長方形に近いような土地のほうが、無駄なくより多くのパネルを設置することができるためです。多少いびつであっても、長方形で傾斜のない面積が広くとれるのであれば売却の可能性が高まります。

太陽光発電事業者に売却するときの流れ

では最後に太陽光発電用地として土地を売却する際の手順について解説します。

  1. 太陽光発電事業者に査定依頼をする
  2. 現地査定後に買取価格が提示される
  3. 売却先の太陽光発電事業者を決める
  4. 売買契約を締結する
  5. 太陽光発電事業者が事業申請して許可を受ける
  6. 決済と土地の引き渡し

太陽光発電事業者との取引は以上のような流れになることが一般的です。それぞれのステップを詳しく解説します。

太陽光発電事業者に査定依頼をする

まずは査定依頼をしてその土地にどのくらいの価格がつくのかを知ることから始めましょう。この価格によって、通常売却をおこなうかどうか選択するのも手です。

このとき注意したいのが、1社に絞るのではなく、複数の太陽光発電業者に査定を依頼することです。1社の査定価格だけでは、競合がいないために買い叩かれてしまうなど、その価格が正しい評価のもとなされているか判断することができません。複数社を利用することでだいたいの相場を測ることもできます。

ほとんどの事業者は業者のホームページから査定依頼を受け付けていることが多いので、まずはウェブサイトで検索し、いくつかの業者のホームページを閲覧してみましょう。

現地査定後に買取価格が提示される

査定を依頼すると、伝えた土地情報をもとに概算査定がおこなわれます。概算の査定額や電話応対などを比較して数社に絞ったら、今度は現地調査の依頼をおこないます。概算査定はあくまで土地情報のみで査定した価格であるため、そこで一番高額だった会社を選ぶのではなく、数社残してしっかりと現地調査をしてもらうことをおすすめします。

現地調査では、十分な日当たりや日照時間があるか、土地の形や傾斜、景観法に触れないか、障害物の除去にかかる金額や電柱までの配線がどうおこなわれるかなど、さまざまな観点から土地が評価されます。それを経た後、正式な買取価格が提示されます。

売却先の太陽光発電事業者を決める

正式な買取価格が提示されたら、それをもとにどの業者と契約を結ぶか検討します。太陽光発電業者には、停止条件付売買をおこなうところ以外にも、即時買取をおこなう業者やその双方を取り扱う業者など様々あります。買取価格の高さだけではなく、売買契約の形態にも注意して選択しましょう。

売買契約を締結する

業者を選んだら売買契約を締結します。繰り返しになりますが、ここで引き渡しや精算がおこなわれるわけではないことに注意しましょう。

また、売買契約を締結する際、業者側から売主側に手付金が支払われます。手付金の取り扱いに関する項目や条件・特約も含め、契約時にはよく話し合いや読み合わせをおこなうことをおすすめします。

太陽光発電事業者が事業申請して許可を受ける

続いて売買契約をもとに太陽光発電事業者が各所に事業申請をおこないます。電力会社や経済産業省などさまざまな申請先に依頼するため数か月から数年かかる可能性があります。定期的に状況確認のため、業者と連絡を取っておくと安心です。

各所で事業申請の許可が得られると、業者から売主に連絡が入り、決済・引渡しへとステップを進めることになります。

決済と土地の引き渡し

最後に手付金を差し引いた残り代金が支払われ、土地の引き渡しがおこなわれます。どちらも同日におこなわれることがほとんどです。不備がないよう、事前に必要書類などを確認しておくと良いでしょう。

決済・引き渡しを終えたら、太陽光発電事業者が所有権移転登記をおこなって取引が完了します。

まとめ

太陽光発電の用地として売却することは、通常売却よりも高額で取引できたり、ニーズがない土地を活かすことができるなどメリットも多い取引です。しかし、その土地には向き不向きがあり、条件によっては売却が叶わなかったり、トラブルに発展してしまうケースもあるなど、注意すべき点が多い土地取引でもあります。

太陽光発電業者への売却は、あくまでも他の手段が取れない場合の最終手段として捉え、他の売却手段を検討してから取り掛かるほうがおすすめです。メリットだけでなく、デメリットも理解して売却を進めていきましょう。

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