先輩社長のススメで自ら決算処理までやってみることに
起業するということは、経営者になることでもあります。そして、開発やネットワークなど、ITに関わる技術を生業にするのであれば、今まで通り技術についても学び続けなくてはいけないでしょう。では、実際に会社を興すとなると、どんなことが必要になるのでしょうか?
まず、最重要でありながら大変なのが会計だと思います。これは法人として起業される場合はもちろん、個人事業主として独立される場合も必要な知識です。順調に儲かって、会計士の方に会計を任せられれば一番良いのですが、その場合も経営者が会計の仕組みや決算書が読める程度の知識を持っていないと、経営状況を正しく把握できずに大事な場面で適切な判断ができないということが起きうるでしょう。
個人事業主だった頃、お世話になっていた会社の社長さんに会計処理を自分の手で行うよう勧められました。その社長さんは、会社が設立10年以上経っても自身で会計ソフトを使って決算処理までされていたのです。
私は基本的にズボラな性格でゼロから少しずつ覚えなかったら、「会計が何たるか」を実践で知る機会を失ってしまいそうだと思ったので、すぐに某社の会計ソフトを購入して、経費清算から決算処理までやってみることにしました。
会計処理を自分でやり始めたことを周囲に話すと、「すごいね、会計も自分でやってるの?!」、「簿記の知識があるんですね!」などと言われましたが、その答えは「いいえ! とんでもございません」でした(笑)。
幸いソフトウェアを作る仕事をしているため、ソフトウェアの勘所はわかるものの、会計知識が足りないために「これは何の合計?」、「どうしてこうなる?」と最初は疑問の連続でした。会計入門書から読み始め、会計ソフトのノウハウ本や勘定仕分けを逆引きできる本など、さまざまな書物を読み漁った結果、何となく会計というものが見え始めたので、会計ソフトで領収書の入力などを行っていくことにしました。
申告後の税務署からの電話にビックリしたけれど……
会計ソフトを用いて記録を継続していくと、段々と会計の全体像が見えてきました。これにより、「あといくら稼がないと目標値まで行かないなぁ、そのためにはあと○ヶ月で新規案件を少なくとも○つは獲得しないと~」というような感じで、ビジネスに対する目標も具体的になってきます(当然、焦りも出てくるのですが)。
やはり一番大変だったのは決算の時でした。すべてのデータの入力が終わったら、必要な書類を作成しなくてはいけません。ソフトによっては自動で作成してくれますが、これ(収益モデル)がまたよくできていて、毎年バージョンアップのメッセージが表示されます(笑) 。特に法改正があった翌年などは、「バージョンアップしないと今年の書類の形式に対応できません」といった、すぐにでもバージョンアップをしなければならないと思わせる"危機感にあふれた"メッセージが出ます……(本当に賢い)。
何とか税務署に提出するための書類を作成し終わったら、eTaxという電子申告システムで確定申告をします。電子申告システムは、混雑した税務署に足を運ぶことなく申告ができ、慣れると非常に便利なシステムなのですが、こちらも慣れるまでは格闘しました。
そんなこんなで無事に申告も終わり、申告したことさえも忘れ始めた頃に税務署から電話がかかってきたりします。
――も、もしや……マルサ!!?――と思いましたが、確定の申告の数字に間違いがあったのでした(笑)。
税務署員 「あの~、ここの数字がおかしいと思うんですけど」
私 「スミマセン! すぐに直します」
最初は何を摘発されるんだろうかとビクビクしていましたが、自分で会計をやっていることを正直に伝え、「申し訳ありませんが、よくわからないので教えていただけますか?」と疑問点は質問することにしました。特に1年目は頻繁に税務署から電話を受けましたが、その都度親切にいろいろなことを教えてもらいました。
会計を自分でやるようになってから3年経った今も相変わらず素人の域を出ない私ですが、最初の年に比べると、少しは理解が深まってきたと思っています。
次回も引き続き、独立時に必要となるスキルについてお話ししたいと思います。
ネコとシゴトとワタシ
今回はとうとう我が家に愛猫が来た時のお話です。我が家では猫と生活するのが初めてだったので、事前に勉強をしました。トイレトレーニング(指定の場所をトイレにさせるトレーニング)は大変かなと予想していたのですが、1回で覚えましたし(犬よりも猫は簡単だそうです)、爪研ぎも教えた場所でしかしなくなりました。
しかし唯一困ったのは食べ物でした! 猫用ミルクもカリカリ(ドライキャットフードのこと)もニオイを嗅ぐだけで食べてくれず、カリカリをお湯でふやかしたり砕いたりと試行錯誤の連続でした。ようやく食べてくれるようになったかと思うと今度は本当に何でも食べ始めてしまいました。
朝起きたら、食パン1斤が中身だけ食べられてトンネルが掘られていたこともありました。乾燥剤もシャカシャカする音が楽しいのかガジガジしてしまうし、納豆やキムチも食卓に置いておくと、とりあえず味見してしまうのです。特に和菓子が大好きで置いたままにしておくと勝手に開けてペロリと完食という事件もありました。
乾燥剤やキムチはもちろんのこと、和菓子の砂糖や食パンのバターなどは猫に与えてはいけないので、猫が口に入れて危険なモノはすべて手の届かない高いところへ隠さなくてはいけなくなりました。ズボラな私にはこれが意外と大変で(笑)。「これからずっとこの状態が続くのかしら……」と当時は心配していましたが、3歳になった今は目の前に食事が並んでいても涼しい顔で座っています。ただ今でも和菓子だけは大好きなようで、私が食べているのを見ると2本足で立ち上がり、私の手に両手でしがみついて「1口くれよ! 1口!」攻撃が始まります(もちろん、あげませんよ)。
執筆者プロフィール
藤城さつき(Satsuki Fujishiro)株式会社タンジェリン代表取締役。
在宅勤務に重点を置き、全国各地の技術者やデザイナー(在籍250名以上)を臨機応変にチーム編成しながら、豊富な質と量の技術力を提供する。今のところ、在宅勤務に対する障害・偏見は多いが、今の日本人にとって絶対に必要なワークスタイルの1つと信じて日々邁進中。
一方、会社員時代に設立した、コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方についても日々模索中。旦那1頭と兄弟猫2頭の4頭家族。