ジャストシステムは12月3日に記者会見を開催し、同社の日本語ワープロソフトの新版「一太郎2014 徹(てつ)」、上位版の「一太郎2014 徹 プレミアム」と「一太郎2014 徹 スーパープレミアム」を2014年2月7日より発売すると発表した。
日本語入力ソフトとして長い歴史のある一太郎は、2011年モデルから版の名前を漢字1字で表現するようになり、これまでの製品名は「一太郎2011 創(そう)」「同2012 承(しょう)」「同2013 玄(げん)」。今回発表された同製品に添えられた「徹」には、「徹底して最後までやり通す」「頑固な」といった意味が込められているという。
会見の冒頭、代表取締役社長の福良伴昭氏が登壇し、同社2013年上半期の営業利益は、株式上場してからの最高益を記録したことを報告。特にここ数年で開始した商品・サービスの売上が順調に伸びていることが業績好調につながっているという。
仕事用の文書作成も電子書籍の作成もこれ1本で
同製品の特徴は、扱える最大文字種が旧版の1万3000文字から5万8000文字と4倍以上に増えたこと。Unicode標準の中でさまざまな異体字を指定できる技術「IVS(Ideographic Variation Sequence)に対応し、戸籍統一文字や住基統一文字などさまざまな文字で表現できるフォント「IPAmj 明朝」を収録することで実現している。
異字体は、「文字パレット」にある一覧から選択することで入力できるほか、同梱する日本語入力システム「ATOK 2014」からも行える。ソフト間での互換性を重視し、同製品とWord 2013などのIVS対応アプリケーション間で相互に文字をコピー&ペーストをしても、文字の形が崩れることなく正しい字形を保つという。
また、凝った文書を簡単に作る機能を強化した。例えば、罫線表を作成するときに約350点のサンプルから目当てのものを選ぶだけで大半が完成し、後は見出しの行列や合計行、行数と列数などを設定するだけで済む。ワープロ用の「きまるスタイル」機能は、レポート、文庫本、冊子、ちらし、手紙など用途に合わせて380種類のスタイルを収録している。
さらに、従来から備わる電子書籍の作成機能も強化した。個人が一太郎を使って小説などの電子書籍を作り、電子書籍販売サービスを通じて電子書籍を販売するケースが増え、そうした利用者の声を受けて電子書籍機能を強化したという。強化点としては、奥付をEPUB形式で出力、固定型EPUBの目次設定の対応、一太郎で作成した本の表紙を画像として複製、Kindle/mobi形式での保存時に中間EPUBファイルを複製することなど。
そのほか、作成中の文書のバックアップ機能が強化された。複数のバックアップ履歴から任意の時点に戻すことができ、過去の文書との比較や参照に役立てられるという。PCの内蔵ハードディスクの容量を圧迫しないようにバックアップの回数やタイミングを設定したり、万一ハードディスクがクラッシュするトラブルに備え、バックアップ先を外付けHDDやクラウドに変更することができる。
機能が"プレミアム"な上位版
「一太郎2014 徹 プレミアム」は、一太郎2014 徹のパッケージ内容に加え、「字游工房フォント」「新明解国語辞典 for ATOK」「ジーニアス英和/和英辞典 for ATOK」「詠太4」「花子2014」「Shuriken 2014」「JUST PDF 3」が付属する。
新たに加わった字游工房フォントは10書体収録。具体的には、東京書籍と共同開発し、実際の教科書にも採用されている「游教科書体」を1書体、「游明朝体」を3書体、「游ゴシック」を3書体、「游明朝体五号かな」を3書体収録している。
「一太郎2014 徹 スーパープレミアム」は一太郎2014 徹のフラグシップモデル。一太郎2014 徹 プレミアムに搭載される全機能に加え「一太郎マウス型スキャナ」を同梱。このスキャナは、キングジムが発売するマウス型スキャナ「MSC10」をベースとし、本体に一太郎のロゴとブランドカラーの赤を採用したオリジナルモデルとなる。
価格は、一太郎2014 徹の通常版が2万円、一太郎2014 徹 プレミアムの通常版が2万5000円、一太郎2014 徹 スーパープレミアムの通常版が3万3000円(すべて税別)。どのタイプにも通常版に比べて価格が割り引かれる特別優待版、バージョンアップ版、アカデミック版もある。