米NVIDIAが、Fermi世代GPUながら実売129ドルまで価格を下げてきた「NVIDIA GeForce GTS 450」を発表した。比較的カジュアルなユーザーがターゲットの普及モデルであり、NVIDIAのDirectX 11サポートGPUもようやく幅広いラインナップが揃ってきたという印象だ。これの実機を入手できたので、ひとまず簡単な性能プレビューをお届けしたい。
スペックをおさらい
GPUコアはFermiベースの「GF106」(コードネーム)。製造プロセスは40nmで、DirectX 11/Shader Model 5.0をサポート。SP(CUDAコア)数は192基、コアクロックは783MHz、シェーダクロックは1566MHz、テクスチャユニット数は32基、ROP数は16基、メモリタイプはGDDR5で動作クロックは902MHz(データレート3608MHz)、メモリ接続バスの帯域は128bitで、メモリ容量は1024MB。公称最大消費電力は106Wとされ、補助電源コネクタは6ピン×1。
参考までに、以下に従来モデルとの比較表を掲載しておく。
GTS 450 | GTX 460 768MB版 | GTX 460 1024MB版 | |
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コア名称 | GF106 | GF104 | GF104 |
製造プロセス | 40nm | 40nm | 40nm |
CUDA Core(SP) | 192基 | 336基 | 336基 |
Texture Unit | 32基 | 56基 | 56基 |
ROP | 16基 | 24基 | 32基 |
コアクロック | 783MHz | 675MHz | 675MHz |
シェーダクロック | 1566MHz | 1350MHz | 1350MHz |
メモリタイプ | GDDR5 1024MB | GDDR5 768MB | GDDR5 1024MB |
メモリ接続幅 | 128bit | 192bit | 256bit |
メモリクロック (データレート) | 902MHz (3608MHz) | 900MHz (3600MHz) | 900MHz (3600MHz) |
DirectX/ Shader Model | DX11/ SM5.0 | DX11/ SM5.0 | DX11/ SM5.0 |
最大消費電力 | 106W | 150W | 160W |
発表時参考価格 | 129ドル | 199ドル | 229ドル |
ベンチマーク
それでは、早速パフォーマンス確認に移りたい。まずは今回のテスト環境だが、以下の表にまとめた。
GPU | GTS 450 | GTX 460 768MB | GTS 250 | Radeon HD 5750 |
---|---|---|---|---|
Driver | GeForce Driver 260.52 | Cataryst 10.8 | ||
CPU | Phenom II X4 965 (省電力機能OFF) | |||
M/B | ASUS CROSSHAIR IV FORMURA (AMD 890FX) | |||
Memory | Corsair XMS3 DDR3 SDRAM 1333MHz CL9(2GB×2) | |||
HDD | Intel X25-M SSD 80GB | |||
OS | Windows 7 Ultimate 64bit |
メイン機材のGTS 450カードには、MSIの「N450GTS Cyclone 1GD5/OC」を利用した。このカード、デフォルトでメーカー純正のオーバークロック(コア850MHz/シェーダ1700MHz/メモリ1000MHz)が施されているので、オーバークロック状態そのまま(グラフでは「GTS450_OC」表記)と、設定ツールでリファレンス相当に調整した状態(グラフでは「GTS450」表記)での2パターン計測する。
ほかグラフィックスカードは、すぐ上のモデルである「GeForce GTX 460」(GDDR5メモリ768MB)と、アップグレード元になるであろう「GeForce GTS 250」(GDDR3メモリ512MB)、そして競合製品と考えられるAMDの「Radeon HD 5750」(GDDR5メモリ1024MB)を用意した。
性能は良くも悪くも価格相応
それほどインパクトのあるテスト結果が出ているわけではなく、そもそもテスト項目もミニマムで済ませているので、そんなに語っても仕方ないのだが、まぁ、「129ドル相当のGPUであった」としか言えない。DirectX 11のゲームタイトルは最新世代だけにハイエンド志向なタイトルが多く、CUDAを常用するユーザーと考えてもそもそもハイエンドユーザー中心である現状では、少なくとも2010年が既に後半に突入している今の時期に、1万円台前半で性能も値段相応のDirectX 11カードというのは、やや新鮮味に欠けるのかもしれない。
確かに競合のRadeonには優勢だし、GeForce GTS 250からアップグレードするのであれば意味もありそうに見えるのだが、GeForce GTX 460との性能差は大きい。GeForce GTS 450の性能が悪いわけでは決して無いのだが、ゲームで遊ぶ目的であれば、もう70ドルくらいはケチらず、GeForce GTX 460クラスを選ぶべきだろう。一応見所としては、オーバークロック耐性の限界が高そうという面白さは存在する。ただ、筆者としては、GeForce GTS 450にちょっとでも食指が動くようなユーザーがいたとして、そんなユーザーは実はGeForce GTX 460を選んだ方が幸せになれるんじゃないかと思う。まぁ、GeForce GTX 460が少し優秀過ぎたのかもしれない。