米国で7日から開幕する世界最大の家電ショー「International CES 2010」で、Sonyは3D対応テレビや新しいデジタルカメラなどの新製品を発表した。

3Dでリーダーを目指すソニー

今回の最大の目玉は、3D対応BRAVIAの発表だ。映画「Avator」のヒットを始め、3Dが少しずつ市民権を得るようになってきている中、3D視聴環境を家庭にも波及させるため、3D対応テレビの登場は大きな意味を持つ。

CES 2010でソニーは、3D対応テレビとして「BRAVIA LX900/HX900/HX800シリーズ」を発表。LX900が40~60インチ、HX900は46/52インチ、HX800は40~52インチが用意され、いずれも今年夏の発売予定だ。

3D対応テレビを紹介するSonyの社長兼COO・Stan Glasgow氏

イベントの冒頭に登場したTaylor Swift

新たに「Monolithic(1枚岩の)」と呼ばれるデザインを採用した3D対応テレビ

進化したMotion Flowテクノロジーで、より滑らかな動きを表現できるという

プレスイベントでは、カントリー歌手のTaylor Swiftが生演奏を披露し、それを3D映像で流すというデモも行われ、Stringer氏もそれを見て3Dをアピール。同氏は特に、「3Dを先行して牽引していきたい」と話し、3Dに注力していく姿勢を見せる。

そのため、単にテレビを提供するだけでなく、3Dコンテンツの提供も積極的に行う。Sony Picturesからは映画「Cloudy with a Chance of Meatballs」を配給し、カリフォルニア州Culver Cityに3Dテクノロジーセンターも開設する。

Sony Picturesが制作する3D映画「Cloudy with a Chance of Meatballs」

Sony Picturesは3Dの研究所も設立して対応を強化していく

Sony Musicは、カントリー歌手Kenny Chesneyのライブ映像を3Dで視聴できる「KENNY CHESNEY SUMMER IN 3D」を提供。グループを上げて3Dに取り組んでいく姿勢を見せる。ゲームに関しても、PlayStation 3がファームウェアアップデートで3Dに対応し、3Dゲームが遊べるようになるのも、大きなポイントだろう。

それだけでなく、ソニーの3D対応カメラを使って、今夏南アフリカで行われるサッカー・W杯を3Dで撮影するほか、ゴルフのPGAツアーも同様に3D映像化する。これらの映像は、スポーツ専門チャンネルESPNが、夏に「ESPN 3D」を開設して放映する。今年中に85のイベントを放映するそうだ。

ソニーの3D対応カメラ

ESPNと協力し、3D専用チャンネルを立ち上げる

コンテンツに関しては、Blu-ray Discに3D映像を記録する規格が昨年末に成立しており、BDビデオでも3D映像が提供されるようになるため、3D映像が増加することが予想され、ソニーではコンテンツの制作から視聴環境の提供まで、トータルで3Dをサポートし、3D環境のリーダーを目指していく考えだ。

3D対応テレビでは、有機ELテレビの3D対応も開発中

GPS対応デジカメなどの新カメラとSDカード対応

デジタルカメラでは、サイバーショットシリーズの「DSC-HX5V」「DSC-TX7」などを発表。特にHX5Vは、裏面照射型CMOSの「Exmor R」を搭載し、35mm判換算25~250mmの光学10倍ズームGレンズを搭載しながらコンパクトなボディを実現。さらに、GPSを内蔵した点が大きな特徴だ。

サイバーショットの新製品

光学10倍ズームを搭載したDSC-HX5V(左)とタッチパネル採用のDSC-TX7。いずれもExmor Rを採用する

GPSを内蔵したことで、現在地を測位して画像のEXIF内に記録し、PC上でGoogle EarthやiPhotoといったソフトを使えば、撮影場所を地図で表示できる様になる。電子コンパスも内蔵するので、撮影した方角も把握できる。

GPS内蔵によって画像を撮影した場所を地図上で表示できる

またDSC-TX7は、薄型コンパクトの3.5型Xtra Fineタッチパネル液晶に25mmスタートの光学4倍ズームレンズを採用。自動で被写体を見つけて撮影してくれるアクセサリー「Party Shot」にも対応する。

この2モデルの大きな特徴は、コンパクトデジタルカメラでは初めてという1080iのAVCHDフルHD動画の撮影に対応した点だ。従来よりもファイルサイズは小さく、高画質な動画が撮影できるようになる。

さらに、今回ソニーでは新技術も投入。それが「Transfer Jet」への対応だ。Transfer Jetは、近接通信専用の無線規格で、高速にファイルを転送できるのが特徴となっており、カメラや家電メーカーなどが参加して作られた標準規格だ。この2モデルでTransfer Jetがサポートされており、デモでは対応カメラを近づけて簡単な操作をするだけで、高解像度の画像が数秒で転送されていた。

Transfer Jetによる画像転送のデモ。3枚の画像が数秒で転送されていた。画面中央はゲストでプロカメラマンのNigel Barker氏

今後、新たなカメラやデジタルフォトフレーム、VAIOなどでTransfer Jetをサポートしていく意向だという

Transfer Jetは今後、デジタルフォトフレームやPCといった製品にも展開し、撮影後にカメラを置くだけで画像が転送される、という環境が実現する。

もう1つの大きな発表が、この2モデルがSDカードに対応するというものだ。ソニーはメモリカードとしてメモリースティックを推進していたが、今回の2モデルではSDカードスロットも備えるデュアルスロット構成になった。さらに、ソニーブランドのSDカードもリリース。2~32GBのSD/SDHCカードを提供する。SDカードは、今回発表されたビデオカメラでも対応するそうだ。

ソニーがいよいよSDカードをサポート。SDカードも販売する

そのビデオカメラでは、フルHDの動画が撮影できる業務用のHANDYCAM、広角のGレンズを搭載したモデルなどのラインナップを強化。さらに、手軽に映像を撮影するためのモデルとして、「bloggie」ブランドのカメラも投入する。

豊富なラインナップを投入するビデオカメラ

手軽に利用できるフルHDビデオカメラ「bloggie」ブランド

2モデルがあり、1モデルは縦持ちのシンプルなデザイン。もう1モデルは、上部のレンズが回転して自由なスタイルで撮影できるモデルとなっており、手軽に映像をブログなどにアップロードできるというのが特徴だという。

ソニーは今回、テレビでは3D、カメラではGPSとTransfer Jetという新機軸を投入。「make.believe」をテーマに掲げ、消費者とのつながりを強化し、今後のマーケットリーダーとなっていく強い意志を示している。

3Dを牽引していくことを目指す