本稿では、「レッツ! Windows 7」と題して、Windows 7の便利な機能を中心に、初心者が判断に悩む設定や、気付きにくい場所に設けられた設定を解説していきます。Windows 7から初めてコンピュータに触る方はもちろん、Windows XP/Vistaからアップグレードした方も是非ご覧ください。また、読者からの質問をお待ちしておりますので、本稿末にあるWebサイトからの投稿をお願い致します。今回はWindows 7 Professionalエディション以上で使用できる仮想環境「Windows XP Mode」を使ってUSBデバイスをコントロールしてみます。

レッツ! Windows 7 - デスクトップ編(1)
レッツ! Windows 7 - デスクトップ編(2)
レッツ! Windows 7 - デスクトップ編(3)
レッツ! Windows 7 - 電源管理編(1)
レッツ! Windows 7 - 電源管理編(2)
レッツ! Windows 7 - 電源管理編(3)
レッツ! Windows 7 - ユーザーインタフェース編(1)
レッツ! Windows 7 - ユーザーインタフェース編(2)
レッツ! Windows 7 - Windows Update編(1)
レッツ! Windows 7 - ユーザーインタフェース編(3)
レッツ! Windows 7 - ユーザーインタフェース編(4)
レッツ! Windows 7 - デバイス編(1)
レッツ! Windows 7 - ホームグループ編(1)
レッツ! Windows 7 - ユーザーインタフェース編(5)
レッツ! Windows 7 - Windows XP Mode編(1)

Windows XP ModeでUSBデバイスを使用する

前回述べたように、Windows XP Modeは、Virtual PC 2007をベースに改良を加えたWindows Virtual PCとWindows XPの仮想イメージをセットにしたものです。RDP(Remote Desktop Protocol)を用いた描画やリソース共有機能が加わりましたが、エンドユーザー的に注目したいのがUSBデバイスのサポート。Windows 7 Professionalエディション以上に提供されるWindows XP Modeは、本来Windows XPユーザーがWindows 7へスマートに移行するために、Windows 7で正しく動作しないハードウェアやソフトウェアを仮想環境モードで動作させるために存在します。

そこで欠かせないのがUSBデバイスのサポート。1996年にUSB 1.0が制定されてから普及の一途をたどり、多くのデバイスはインタフェースをシリアルポートなどからUSBに切り替えました。そのため、Windows XPとの互換性を維持するために用意されたWindows Virtual PCでも、USBサポートが必要になったのでしょう。

Windows XP ModeでUSBデバイスを使用するには、ホストOSとなるWindows 7のコンピュータにUSBデバイスを接続します。Windows 7では、多くのハードウェア用デバイスドライバがWindows Update経由で導入できるため、特に難しい操作は必要ありません(図01~03)。

図01 ホストOS(Windows 7)のコンピュータにUSBデバイスを接続しますと、デバイスドライバのインストールが自動的に始まります

図02 通常はWindows Update経由で行なわれるため、ユーザーの手を煩わせることはありません。ただし、お使いのUSBデバイスによってはメーカー製デバイスドライバが必要なこともあります

図03 ホストOS(Windows 7)にデバイスドライバが正しく導入されました

Windows Virtual PCでUSBデバイスを使用するには、<USB>メニューから操作を行ないます。Windows XP Modeの場合、事前に有効になっていますので、気にする必要はありませんが、USBデバイスのサポートは、Windows Virtual PCの統合機能必要ですので、他のWindows OSをゲストOSとしてインストールした場合は注意してください。

さて、<USB>メニューを開きますと、ホストOSに接続中でゲストOS(Windows Virtual PC内の仮想OS)でも使用可能なUSBデバイスが表示されます。ここからゲストOSに接続するデバイスをクリックしましょう。するとゲストOS側でデバイスドライバの認識が行なわれますので、「新しいハードウェアの検出ウィザード」の指示に従って進めれば、USBデバイスが使用可能になります(図04~10)。

図04 Windows Virtual PCの<USB>メニューから、ゲストOSに接続するUSBデバイスをクリックします

図05 ホストOS側では「USB仮想スタブドライバー」が自動的にインストールされます

図06 ゲストOS側でUSBデバイスが認識されます。そのまま先にお進みください

図07 ゲストOSの「新しいハードウェアの検出ウィザード」が起動し、デバイスドライバの検索方法を選択します。<はい、今回のみ~>もしくは<はい、今すぐ~>のいずれからを選択してから<次へ>ボタンをクリックしてください

図08 ローカルディスクの選択をうながされたら、<ソフトウェアを自動的に~>をクリックして選択してから<次へ>ボタンをクリックします

図09 Windows Updateからデバイスドライバのダウンロードが行なわれ、自動的に適切なデバイスドライバのインストールが行なわれます

図10 これでホストOSに接続したUSBデバイスが、ゲストOS上で使用可能になります

Windows 7で認識しないUSBデバイスを使用する

ここで気になるのが、Windows 7で認識しないUSBデバイスが使用できるのか、という点。結論から述べれば使用可能です。今回の検証環境はホストOSであるWindows 7は64ビット版。ゲストOSはWindows Virtual PCは64ビット版OSをサポートしていませんので、もちろん32ビット版ですが、バージョンが異なる場合でも使用できます(図11)。

図11 古いUSBデバイスの場合、Windows 7で認識しないことはよくあること。画面のようにWindows Update経由によるデバイスドライバの認識が失敗しました

今回はデバイスドライバの提供がWindows XPまでの古いUSBデバイスを使用しましたが、難なく認識されました。この接続ロジックを実現しているのが、ホストOS側に自動インストールされる「USB仮想スタブドライバー」の存在。日常的に聞き慣れないスタブ(Stub)とは、他動詞なら"○○にぶつける"という意味で用いられる単語。コンピュータにおいては、デバイスドライバ内の各関数呼び出しを、別のコンピュータ上にある同じデバイスドライバの関数呼び出しとして転送し、接続したデバイスへのアクセスを提供するロジックなどを指します。

Windows Virtual PCの場合も、ホストOSに接続したUSBデバイスとゲストOSのUSBデバイスドライバ間を、「USB仮想スタブドライバー」が取り持つことで、Windows 7で認識しないUSBデバイスがゲストOSで使用可能となるのです。

具体的な手順は、先ほどと同じようにUSBデバイスをWindows Virtual PCに認識させますと、ゲストOSで「新しいハードウェアの検出ウィザード」が起動します。あらかじめ用意したデバイスドライバを選択することで、ゲストOSによるUSBデバイスのインストールが行なわれますので、従来と同じ手順で操作しましょう(図12~20)。

図12 この状態でWindows Virtual PCの<USB>メニューから、ゲストOSに接続するUSBデバイスをクリックします

図13 ゲストOSの「新しいハードウェアの検出ウィザード」が起動したら、<一覧または~>をクリックし、選択して<次へ>ボタンをクリックします

図14 次のダイアログで<検索しないで、インストールする~>をクリックして、<次へ>ボタンをクリックします

図15 ハードウェアの種類を選択する場面では、<すべてのデバイスを表示>をクリックして選択してから<次へ>ボタンをクリックします

図16 デバイスドライバの選択画面では、<ディスク使用>ボタンをクリックすると起動するダイアログからデバイスドライバを選択して<OK>ボタンをクリックします

図17 画面のように適切なデバイスドライバが列挙されたら、そのまま<次へ>ボタンをクリックします

図18 デバイスドライバの組み込みを確認するダイアログが表示されたら、<続行>ボタンをクリックします

図19a これでデバイスドライバがゲストOSにインストールされました

図19b 

図20 ご覧のようにデバイスマネージャでも正しく認識されています

仮想アプリケーションモードからUSBデバイスを操作する

最後は仮想アプリケーションモードから、USBデバイスを使用する方法を解説しましょう。仮想アプリケーションモードは仮想マシンモードのように、メニューバーが用意されていません。そのため代用するのがタスクボタン。同ボタンを右クリックすると表示されるジャンプリストは各モードで動作が異なり、仮想アプリケーションモードのジャンプリストにある「タスク」は<USBデバイスの管理>に切り替わります(図21)。

図21 仮想アプリケーションモード使用時は、タスクボタンを右クリックして表示されるジャンプリストから、<USBデバイスの管理>を選択します

同項目をクリックすると同名のダイアログが起動しますので、そこからホストOSに接続したUSBデバイスの接続/取り外しを選択してください。Windows XP上で安定動作するグラフィックソフトウェアと、Windows Vista以降にサポート終了となったUSB接続型のスキャナなどを組み合わせて使うと利便性が向上することでしょう(図22~23)。

図22 「USBデバイスの管理」ダイアログが起動したら、一覧から接続するUSBデバイスを選択して<接続>ボタンをクリックします

図23 これでUSBデバイスがゲストOSに接続されました。取り外すときは対象となるUSBデバイスを選択して<リリース>ボタンをクリックします

阿久津良和(Cactus)