マイクロソフトは、26日から3日間に渡り、横浜・みなとみらいのパシフィコ横浜において、IT技術者向けテクニカルカンファレンス「Microsoft Tech・Ed Japan 2009」を開催。開催初日のオープニングキーノートで、米マイクロソフト コーポレート バイスプレジデント Office製品担当の沼本健氏が、日本法人として初めて、公式の場で「Microsoft Office 2010」をデモストレーションした。

日本で初めて「Microsoft Office 2010」が公開された、Microsoft Tech・Ed会場パシフィコ横浜

米マイクロソフト 沼本健バイスプレジデント

沼本コーポレートバイスプレジデントは、製品カテゴリー担当としては、初の日本人コーポレートバイスプレジデントであり、通商産業省(現経済産業省)勤務を経て、97年9月に米マイクロソフトに入社。Officeスイート製品ならびにOffice Live、Live@eduのプロダクトマネジメントおよびマーケティングの指揮をとっている。

冒頭、7月から始まった同社新年度(2010年度)に、Office 2010、Visio 2010、Project 2010、Sharepoint 2010、Exchange Server 2010といった「2010」シリーズが相次いで発売されることを示し、現在、Office 2010をはじめ、多くの製品がテクニカルプレビューの段階にあるとした。

「2010」製品群が相次いで投入されることになる

これら2010シリーズに共通した製品化のビジョンを、「ユーザーエクスペリエンス」「ITの選択肢と価値」「ビジネスプラットフォーム」の3点から説明した。

Office 2010の製品ビジョン

「ユーザーエクスペリエンス」では、チーム型の仕事が増え、複雑なワークスタイルが広がっていることを指摘。「共同作業に適した機能を強化し、同時に、PC、携帯電話、ブラウザをまたがって利用でき、生産性を高めることができるツールに進化した。デバイスを選ばず、場所にとらわれず、最高水準の効率性を実現できるツール」と位置づけた。

また「ITの選択肢と価値」では、「無理に画一的な利用環境に限定せず、ユーザー設置型(オンプレミス)でも、オンラインサービスでも、さらにハイブリッドの環境でも利用できるようにした」としたほか、「ビジネスプラットフォーム」では、「個々の製品を統合したプラットフォームを実現したほか、基幹システムの情報も利用できるようなプラットフォームを実現する」と説明した。

Office 2010では共同作業などで威力を発揮する機能を搭載した

特に、Office 2010のユーザーエクスペリエンスについては詳しく説明し、「よりより共同作業」「アイディアの実現」「どこにいても使えるOffice」という観点から、Office 2010のメリットを訴求した。

PowerPointの作業において複数のユーザーが共同で作業を行うといった使い方や、電子メールでミーティングを設定する場合にも、メールのタイトルから関係者を自動的に選択したり、Exchange Server 2010と連動することで、相手の現在の環境を管理して、不在の場合にはその時点では送信しないといった設定が可能になるという。リアルタイムでの共同作業、電子メールの管理・内容保護などといった機能を強化することで、共同作業に最適化したツールへと進化させたというわけだ。

Outlookでは不要なメールや同じタイトルのメールを一括で管理する機能を強化

ボイスメールもテキストで表示し、公共の場で音声を再生せずにも確認できる

メールヒント機能。メーリングリストに大量の人が登録されている場合、そのまま送信していいのかなどを確認できる

PowerPointのデータは、PowerPointのアプリケーションを持たないPCでもFirefoxのブラヴザ上で表示でき、さらに、iPhoneでも表示してみせた

また、PowerPoint 2010において、動画を活用できるようにするなどのマルチメディアのサポート強化のほか、好評なリボンUIの継続的な採用、Excel 2010のセル内にグラフを表示するなど、様々な観点からデータを可視化する機能を搭載することなどで、アイディアの実現を支援。さらに、PowerPoint 2010を搭載したPCでの利用だけでなく、アプリケーションを搭載していないPCでも、インターネットエクスプローラのほか、Firefox、Safariといったブラウザ上でのPowerPointデータの閲覧および一部修正作業などが可能であるほか、iPhoneをはじめとするスマートフォンや、ブラウザを動作できる携帯電話でもデータを閲覧できるようにし、PC、携帯電話、ブラウザといった異なるデバイスを連携した利用環境を実現。どこにいても使えるOfficeを提供できるとした。

PowerPoint 2010では、動画も扱える。動画編集作業も可能

Excel 2010では、折れ線グラフなども数字とともに表示できる

スライサーツールを活用することで、必要な情報だけを切り出して表示できる

ExcelではインメモリBI機能の活用などにより、1億件のデータもハンドリングできる

また、沼本コーポレートバイスプレジテントは、「Office 2010は、コンシューマ向けには、Windows Liveを通じて提供し、企業向けにはマイクロソフトオンラインサービスを通じて提供する。また、ボリュームライセンスにおいては、オンプレミスの形でユーザーのサーバーサイトからの配信も可能になる。現在、4億人のWindows Liveユーザーがおり、9000万人のOfficeのボリュームライセンスユーザーがいる。Office 2010が発売と同時に、5億人のユーザーがOfficeをWebアプリケーションとして利用できることになる」とした。