開発者やシステム管理者などであれば日常的に利用するコマンドプロンプトですが、中には全く使わないという方や、苦手という方も少なくありません。確かに、マウスで簡単に操作できるGUIに比べ、コマンドの操作は直観的ではありません。しかし、大量のファイルの名前を変更したり、大量のフォルダを一定の命名規則で新規作成するといった作業を考えるとGUIでは非常に面倒になります。こうした作業を行ってくれるフリーソフトも存在しますが、仕事用のコンピュータであれば定められたソフトウェア以外、インストールが禁止されていることも珍しくないでしょう。

コマンドプロンプトを使えば、こうした面倒な作業や、日常的に行っている作業の一部分を自動化できる可能性があります。ファイル操作やアプリケーションの起動といったコマンドは、Windowsにデフォルトでインストールされている機能であり、加えて複雑なプログラミング言語を覚えることなく、簡単なテキストで処理できます。

コマンドプロンプト

コマンドプロンプトとは、ユーザーがシステムを操作するために使われるソフトウェアのことです。本来の意味は、コマンドの入力を待機している状態に表示される記号のことを表しますが、現在のWindowsでは、コマンドを入力するソフトウェアそのものをコマンドプロンプトと呼んでいます。

コンソール、コマンドライン、コマンドインタプリタ、またはコマンドシェルと呼ばれることもあります。コマンドプロンプトの実体は、Cmd.exe という名前の実行ファイルで、このソフトウェアがコマンドを認識し、ユーザーが入力したコマンドの要求に従って処理を実行してくれます。一般的なプログラミング言語とは違い、アプリケーション開発を目的としたものではなく、システムの制御を目的に作られています。よって、シンプルな一行のコマンド単位で操作でき、システム管理者や上級ユーザーなど、プログラマ以外にも使われています。

コマンドプロンプトを起動するには「スタート」→「アクセサリ」→「コマンド プロンプト」を選択してください。図 01 のような、コマンド入力用のウィンドウが表示されます。

図01 コマンドプロンプト起動画面

コマンドプロンプトは、まさにコマンドを入力するためのソフトウェアです。よって、ボタンやメニューバーなど、一般的なWindowsアプリケーションが備えているコントロールを持ちません。基本的にマウスは使わず、すべてキーボードからのコマンド入力でのみ、操作します。ただし、文字の範囲指定などではマウスを使えます。

画面に表示されている"C:\Users\Leon>"という行が、コマンド入力待ち(すなわちコマンドプロンプト)を表しています。ここにコマンドを入力して、システムを操作します。

コマンドプロンプトを閉じるには、通常のアプリケーションと同じようにウィンドウの「×」ボタンを押して終了できますが、せっかくなのでコマンドを入力して終了させてみましょう。exitと入力してEnterキーを押してください。

図02 画面から抜けるには「exit」を用いる

ウィンドウが消え、コマンドプロンプトが終了したはずです。

コマンド一覧

コマンドプロンプトを使ってシステムを操作するには、exitコマンドのように、定められたコマンドを入力する必要があります。コマンドプロンプトは、コマンドが入力されるまで待機し、何らかのコマンドを入力されると処理を実行します。そして、処理が終了すると次のコマンドが入力されるのを再び待機します。これを繰り返すため、コマンドプロンプトを通したシステムとの対話は常に入力→処理→結果→入力という流れになります。

コマンドプロンプトに入力できる文字は、事前に用意されているコマンドか、または実行可能なプログラムのいずれかです。exitのような用意されたコマンドが入力された場合は、そのコマンドに従って処理が実行されます。EXEなどの実行可能ファイルの名前を指定した場合は、対象のプログラムを起動します。そのいずれでもない、認識できないコマンドが入力されるとエラーを表す文字が出力されます。

図03 コマンドに無い命令はエラーが表示される

入力可能なコマンドの一覧は help コマンドから取得できます。helpと入力してEnterキーを押してください。コマンドは、大文字と小文字を区別しません。exitコマンドは、EXITでもExitでもeXItでも同じです。

図04 helpコマンドを用いるとコマンドの一覧が表示される

コマンドの情報はオンラインにもありますが、コマンド入力時に思い出せないコマンドを調べるときなどに便利です。コマンドプロンプトの中でコマンドについて調べることができるため、別のアプリケーションに画面を切り替える必要がありません。