世界のスマホ需要は先進国の一部で成長の鈍化が見られるものの、新興国や途上国ではまだまだ従来型の携帯電話=フィーチャーフォンからの乗換え需要が旺盛だ。調査会社ガートナーが発表した2013年第2四半期の携帯電話販売台数の調査結果からもその傾向を見ることができる。
スマホの販売台数がフィーチャーフォンを超える
ガートナーの調査によると、2013年第2四半期の全携帯電話販売台数は4億3500万台。前年同期比では3.6%の伸びと、成長はやや鈍化している。だが内訳はスマホの販売台数総数が2億2500万台と前年同期比46.5%と大幅に伸びており、携帯電話全体に占める割合も初めて50%を突破した。スマホの販売台数がフィーチャーフォンを上回ったのは同社の調査で初めての結果となったが、これはスマホ需要が先進国だけではなく世界中に広がっていることが大きな要因だ。
スマホの販売数の伸びの上位3地域別はアジア・パシフィック地域で前年74.1%、中南米が55.7%、東ヨーロッパが31.6%。東南アジアや中南米など平均所得の低い国でも成長が著しいのはスマホの平均単価が下落しているからだ。昨年同期は120ドル程度だったものが、今回の調査時は60ドルという超低価格の製品も登場。プリペイドユーザーでも手軽に買える安価な製品が増えている。
スマホの単価下落は販売台数シェアの数字にも表れている。今回もシェア1位はSamsungだが、ハイエンドのみならずエントリーモデルまでもくまなくラインナップする戦略が好調で、マーケットシェアは29.7%から31.7%へ上昇、販売数も7138台まで伸ばしている。一方ハイエンド製品のみに特化するAppleは、先進国需要の落ち着きと途上国での安価な製品との板ばさみにあい販売台数は約300万台の増に留まり、シェアは18.8%から14.2%へと下落させている。
この上位2社に対してハイエンド端末でやや引き離されているLGは、この夏発売のG2でこれから攻勢をかける予定だ。だが第2四半期は不調では無く販売数を倍増させシェアを5.2%まで回復させた。これはデュアルSIMスマホなどの中低価格モデルを充実させた結果だ。
そして今回、中国のLenovoがZTEを抜きスマホシェア4位へと躍進した。販売台数も1000万台の大台を超え、LGとの差を大きく縮めている。Lenovoの携帯電話全体の販売数は1095万台だが、このうちスマホは1067千万台と実にスマホの割合が97%にも及んでいる。Lenovoは中国だけでも1万円台のスマホを大量に販売しており、世界的なスマホブームの波に乗ってシェアを大きく伸ばしているのだ。
スマホの低価格化はさらに進む
ガートナーの報告を見ると、ZTE以下の「その他メーカー」の販売数は9021万台で、前年同期の6270万台から約4割の伸びを示している。この中にはSonyやHuaweiといった大手メーカーも含まれるが、新興国や途上国で製品を販売している中小のローカルメーカーも台数を伸ばしている。各メーカーのマーケットは自国だけ、もしくは自国と隣接する周辺国のみと狭いものの、メーカーの数は年々増えており国内での販売シェアは伸びる一方だ。
たとえばインドやフィリピンの家電店店頭では、Samsung製スマホの次に目立っているのが地元メーカーのスマホであることも多く、1万円以下の低価格モデルに多くの消費者が関心を寄せている。これら地元メーカースマホ中国製のOEM品も多いが、その中国では通信事業者が「1000元スマホ」すなわち1万円中半から2万円前半のスマホの販売を強化している。
すなわち中国メーカーは1万円台のスマホの開発競争を繰り広げており、その結果低価格なスマホが世界中に広がろうとしているのだ。しかも中国ではすでに1万円以下でクアッドコアCPU搭載のスマホも出てきている。大手メーカーの上位モデルと比較するとCPU速度や画面サイズ、カメラ画素数などで見劣りするものの、実用上は問題なく使えるレベルに仕上がっている。
エントリー製品だけではなく上位モデルもこのような低価格機が続々と新興国のみならず先進国でも売られるようになれば、スマホの低価格化に拍車がかかると同時にフィーチャーフォンからの乗換えも一気に進む。低価格スマホは今後世界のスマホ需要を大きく牽引していくだろう。