スマートフォンからの通知に追われる日々から逃れたい、あるいは基本機能だけに絞ったシンプルな端末が使いたい、そんな人のために開発された「Mudita Kompakt」を2025年3月にバルセロナで開催されたMWC 2025で見てきました。現在Kickstartarで支援受付中、2025年4月に出荷予定です。

  • Mudita Kompakt

Mudita Kompaktはモノクロ電子ペーパーディスプレイを採用する小型のスマートフォンです。ディスプレイサイズは4.3インチで本体はかなり小ぶりな大きさです。バッテリーは3,000mAhと容量は少ないものの、カラーの大型ディスプレイを搭載していないので日常利用には十分でしょう。カメラは800万画素とこちらも控えめな性能です。通信方式は4G対応で、対応周波数別にグローバル版と北米版の2つのモデルが用意されます。

  • シリコンカバーを付けた状態の背面

チップセットはメディアテックのMT6761V/WBAというもので、メモリ3GB、ストレージ32GBとスマートフォンの性能としてはエントリークラス。とはいえ、後述しますがプリインストールアプリを使うだけに設計されているので問題なく動作するでしょう。実際に操作してみましたが全体的な動作は若干遅さを感じるものの、電子ペーパーの画面表示であることからむしろ「こんなものだな」と納得できました。

  • スマートフォンとしての性能はエントリークラスだ

OSはAndroidですがAOSPでGoogleサービスが搭載されていません。そのため個人的なデータがGoogleサービスに共用されてしまうこともありません。プリインストールアプリは通話、メッセージ、アラーム、電卓、カレンダー、カメラ、チェス、電子ブックリーダー、地図、瞑想、音楽、ノート、天気。日常生活をサポートするオーガナイザーとして使うことが考えられています。なお、アプリストアもないため、基本的にはアプリの追加もできない構造になっています。

  • オーガナイザー系のアプリが入っている

対応言語は英語、ポルトガル語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、オランダ語、スペイン語、ポーランド語のみ。現時点ではヨーロッパとアメリカをターゲットとした製品になっています。Kickstartarで資金が集まり、その後の販売も好調なら、いずれは日本語などアジア圏の言語へも対応するかもしれません。

  • 欧米圏の言語のみに対応する

カメラのプレビュー画面はモノクロですが、撮影された写真や動画はもちろんカラーです。SNS系のアプリが入っておらず、メールアプリも無いため、他の人とシェアする場合はMMSを使うかBluetoothで共有する、といった方法になります。プレビューがモノクロであることを考えると、シェアよりも自分のメモ用途にカメラを使うのがよさそうです。

  • カメラのプレビューはモノクロだ

さて、Mudita Kompaktには他のスマートフォンにはない特殊なスイッチを側面に備えています。ミニマリスト向けともいえるこのスイッチは、スマートフォンの無線機能を完全に切断できます。

  • 左側面にあるスイッチ

スイッチを入れて「Offline+」モードにすると、4G/3G/2Gの通信機能とマイクが物理的に完全にOFFになます。何かのアプリがバックグラウンドで通信してしまったり、話し声を拾ってしまう恐れも無くなるのです。さらにソフトウェア的にカメラ、Bluetooth、Wi-FiもOFFになります。このモードにすれば通知や電話着信もありませんから落ち着いて電子ブックリーダーで読書を楽しむこともできるわけです。

  • 無線とマイクが完全OFFになる

Mudita Kompaktの本体価格は439ユーロ(約7万1,000円)ですが、Kickstarterでは299ユーロ(約4万8,000円)などアーリーバード割引が行われています。本体カラーはホワイトで、カバーはグリーン、ブルー、ブラックの3種類(各15ユーロ、約2,430円)。他にはスクリーンプロテクターが7ユーロ(約1,130円)です。PC向けの接続ソフトがあるので、写真や電子書籍のコピーやバックアップもPCから簡単に行えます。

  • 本体カラーはシンプルなグリーン

Muditaは他にも電子ペーパーを使ったデジタル時計「Harmony 2 Alarm Clock」(159ユーロ、約2万6,000円)、またアナログの時計「Bell 2 Alarm Clock」(78ユーロ、約1万3,000円)も販売しています。デジタルデトックスを求めている人は、Muditaの今後の製品にも注目したいものです。

  • ミニマリスト向けの製品を他にも出している