シャオミから犬型のロボット「CyberDog 2」が発表されました。本物の犬のような外観のロボットは、ソニーが以前発売していた「aibo」を思わせます。しかしシャオミの犬型ロボットはaiboを超える用途が考えられています。

  • シャオミの犬型ロボット「CyberDog 2」

CyberDog 2の大きさは、立っているときが全長562mm、幅は339mm、高さは481mmと結構な大柄で、中型犬くらいのサイズ。質量も約8.9kgあります。aiboは305x180x293mm、2.2㎏なので、その差は明確でしょう。CyberDog 2は抱きかかえて持ち運べるような大きさではありません。

  • 大きさは実際の犬と変わらない

aiboはAIを搭載し、カメラを通して人間を認識できます。また4本足走行も可能です。購入者とコミュニケーションを図りながら成長する子犬のような存在であり、ソニーはaiboを「自律型エンタテインメントロボット」、つまりエンターテイメントカテゴリの製品としています。一方、CyberDog 2は自律型ロボットそのものであり、AIはもちろんGPSやジャイロセンサー、カメラなどを内蔵し周囲の状況を見ながら自動で歩行できます。ロボット開発企業として知られるボストンダイナミクスなどが開発している自律型ロボットの進化した形と言えます。

  • CyberDog 2はロボットそのものだ

シャオミのロボットは今から2年前、2021年8月に初代となる「CyberDog」の発表から始まっています。CyberDogの見た目は多くの企業が開発している四本足歩行型ロボットと類似しており、無骨なデザインは街中で見かけても違和感を覚える外観でした。とはいえ歩行性能や本体の軽量化などを考えるとこの類のロボットのデザインはどれも同じようなものになってしまうのでしょう。

  • 初代のCyberDogは無骨なデザインだった

2022年8月には人型ロボットとなる「CyberOne」を発表。身長177cm、体重52kgで人間と同じ動きのできる本格的なロボットです。さらにカメラを通じて人間の感情を認識するAI機能を搭載するなど、人型ロボットを実用的な製品へと一歩進めました。

  • 人型ロボット「CyberOne」

そして3台目のロボット製品が今回発表された「CyberDog 2」となるわけです。ロボットをより実物の犬に近づけた外観に注目が集まりますが、CyberDog 2の進化ポイントは内部のメカニズムにあります。CyberDog 2にはシャオミが開発した小型のモーター「CyberGear」が12個搭載されています。腕や足の関節はこのCyberGearのおかげでスムーズに動くのです。

  • CyberDog 2の動きをスムーズにするモーター、CyberGear

CyberGearは自社開発の温度監視システムと保護アルゴリズムを搭載することでモーターの回転に信頼性を与えてくれるとのこと。連続使用中に温度が極端に上がったときもギアの破損を防ぐよう保護回路が働くようになっているわけです。CyberDog 2はAI機能なども搭載していますが、優れたソフトウェアを動かす以前に、歩行ロボットとして手足の動きが潤滑にできなくてはなりません。CyberGearこそがCyberDog 2の最も重要な部品であるわけです。シャオミはこのCyberGearだけの単体販売も499元(約1万円)で行い、様々なロボット開発企業での導入に期待を寄せています。

  • スムーズに動く高精度な小型のギアだ

CyberDog 2もプラットフォームはオープンソース化されており、購入者が自由にプログラム開発にあたれます。シャオミの製品紹介ページではaiboのような人に寄りそう犬型ロボットとしてのデモが提示されていますが、カメラを使った監視ロボット、小型の荷物を搭載する運搬ロボットなど、様々な応用も考えられます。たとえば博物館や美術館で来場者の荷物を乗せ、内部を案内する「ナビゲーションロボット」もすぐに開発できそうです。

  • 自由な開発が可能なロボットだ

CyberDog 2の価格は1万2,999元、約26万円です。最近の折りたたみスマートフォンなど高価格スマートフォンと変わらない値段で四本足で歩行できる自律型ロボットが買えるのです。一般人が購入してそのまま使うにはまだハードルの高い製品ですが、大学の研究所のみならず高校や中学で購入し、学生たちのプログラムやロボット開発用途に使うのにも最適な製品と言えるでしょう。シャオミのロボット開発は「ポスト・スマホ」を見据えているだけではなく、世界のロボット産業の発展を支援しようとしているのです。

  • シャオミがロボット産業の発展を支援する