毎日使うスマートフォンだけに、たまにはケースを変えてイメチェンを図るのもたのしいものです。ところが海外ではスマートフォンそのものの色が変わってしまうという製品が登場しました。Tecno Mobileの「CAMON 19 Pro Mondrian Edition」は、簡単な方法で背面の色を変えることができる世界初のスマートフォンなのです。

  • 色の変わるスマホ「CAMON 19 Pro Mondrian Edition」

Tecno Mobileは日本では知られていませんが、アフリカでは圧倒的な人気を誇っています。格安モデルを多く出している一方、最近ではハイスペックな製品も出しています。「CAMON 19 Pro Mondrian Edition」は通信方式こそ4G対応に留まりますが、カメラは6,400万画素+5,000万画素2倍望遠という高性能モデル。フロントカメラも3,200万画素を搭載します。しかしそれだけではなくボストン美術館(MFA:Museum of Fine Arts, Boston)とデザインで提携したファッショナブルなデザインのスマートフォンなのです。

  • 背面の色がホワイトからカラフルなタイル状に変わる

製品名になっているMondrianは、オランダ出身の抽象絵画家であるピート・モンドリアンの名前からつけられたもの。同氏のアートワークの代表であり赤や青、黄色などの原色を使ったタイルを並べた「コンポジションシリーズ」を見たことのある人もいるのではないでしょうか。

CAMON 19 Pro Mondrian Editionは背面をホワイト1色に仕上げ、そこに幾何学的な黒いラインが描かれています。シンプルでありながらもスタイリッシュなデザインと感じられるのではないでしょうか?

  • 幾何学的なラインが入ったホワイト仕上げの背面

この背面に光を当てると、なんと色が浮かび上がるのです。シンプルなデザインかアートワークに一瞬で変わる様はなかなか感動的です。これはぜひ透明ケースをつけて背面の色が変わるのを日々楽しみたいもの。なお太陽光だけではなく自宅の蛍光灯などの光を使っても色を変えることができるとのことです。

  • 光を当てると背面の色が変わり、モンドリアンの作品風のデザインになる

この技術は「太陽光描画」というもので、ポリクロマティック・フォトアイソマー(多色性光異性体技術)という技術を使っています。これは感光性分子結合を紫外線により切断・回復するというもので、もともと無色の分子基を発色させることができる革新的な技術とのこと。このような技術をアフリカや新興国向けにスマートフォンを出しているメーカーが採用するということも大きな驚きでしょう。

  • 「コンポジションシリーズ」のアートで飾った専用BOXで販売、ヘッドホンなども付属する

スマートフォンの背面の色を変える技術は実は過去にいくつか登場しています。vivoは2020年に電気を流すことで色が変わる「エレクトロクロミックガラス」を採用したコンセプトモデルを発表。ボタン操作で背面カラーを切り替えることができました。

  • vivoが採用したエレクトロクロミックガラスは電気でガラスの色を変える

そしてこの技術はOPPOが製品化を行い、2020年に背面の模様の色が変わる「Reno5 Pro+ Artist限定版」を発表。また2021年には日本のアニメキャラクター「名探偵コナン」とコラボした「Reno6 Pro+ 5G名探偵コナン限定版」を発売しました。このモデルは音声AIアシスタントに語りかけると背面のキャラクターの色がピンク・シルバー相互に変色するというなかなか凝った製品でした。

  • 音声で(実際は音声AIが通電させる)色が変わるReno6 Pro+ 5G名探偵コナン限定版

このようにスマートフォンの背面の色を変えるという技術は複数のメーカーが様々なアイディアを研究しているわけです。Tecno Mobileの今回の技術は燦々とした日差しが降り注ぐアフリカの消費者に受けるものになるかもしれませんね。アート作品としても優れているので先進国でもぜひ販売してほしいものです。

  • アフリカなど新興国で売られるようだが、先進国でも販売してほしい

今後はこの変色技術にライトを組み合わせることで、背面の表情を多彩に変えることのできるスマートフォンが出てくるかもしれません。ちょうど今話題になっている「Nothing Phone (1)」のように、背面にLEDライトを多数埋め込んだスマートフォンの内部にポリクロマティック・フォトアイソマー技術を加えれば、特定の通知があったときにスマートフォン背面の一部分を特定の色に変える、なんてこともできそうです。「背面を楽しむスマホ」がこれから増えるかもしれませんね。

  • Nothing Phone (1)に今回の技術を追加したら楽しいスマホになりそうだ