いまやマスクをして出かけることが当たり前となりましたが、人と会ったときにマスク越しでは相手の表情がわかりにくくなってしまいました。笑顔の返答も目の表情だけでは相手に伝わりにくく、いらぬ誤解を与えてしまうことがあるかもしれません。
イタリアのCLICは顔の表情の見えるマスクを開発しました。イタリアらしくデザインに凝った製品であるだけではなく、マスクをつけたままでも日常生活が送れるような機能性も持たせています。またプロモデルはマスクの状態監視や紫外線による殺菌、スマートフォンのワイヤレスヘッドホン機能などを内蔵しています。
CLICのマスクはフィルターを交換式としマスクの内部に配置しています。マスク正面にフィルターが不要になったことで、代わりに透明の交換式カバーを取り付けました。耳の部分も開口部を大きくあけ、マスクの保持は耳ではなく頭の後ろにまわすベルトで行います。そのため耳が痛くなることもありませんし、眼鏡をしている人もマスクを使えます。
本体と透明カバー部分はそれぞれ複数のカラバリがあるので、同じ色でそろえたり好みの色を組みあわせたり、TPOに応じて色を変えることができます。機能性を高めた製品であるだけではなく、ファッション性も強く意識した製品なのです。
マスク正面の透明カバーは内側に曇り止め加工がされているため、会話をしても曇ることがなく顔や口の表情がそのまま見えるとのこと。さらにモデルはカバー部分がマグネットで装着されているため、前に引き上げマスクを顔にはめたままドリンク類を飲めます。カフェでコーヒーを飲むときにマスクをテーブルの上に置いたり、ポケットにしまうのも不要です。
さてプロモデルは他にも多くの機能が追加されています。小型のマイクとスピーカーが内蔵されており、Bluetoothヘッドセットとして使うことができるのです。CLICマスクは耳の部分が開いているため市販のヘッドセットを使えますが、マスクを顔につけるだけでそのまま通話できるので便利ですね。
またマスクの充電は充電ケーブルか専用の充電台を使います。充電台は紫外線殺菌機能も搭載しており、CLICマスクをセットしてからカバーをかけると、その内部が紫外線で光りマスクを殺菌してくれるのです。アルコール消毒液などでふき取る手間もなく、充電と殺菌を同時にできるとなれば充電を忘れてしまうこともないでしょう。
さらにマスクの使用状況をスマートフォンアプリで確認することも可能です。マスクの利用時間、フィルターの利用状況、心拍数や呼吸状況も測定できるとのこと。そしてそれらのデータから総合的な安全状況を数値で示してくれます。他にもマスクが部屋の中で見当たらなくなったときは「Find my mask」機能でマスクの位置を知らせてくれます。
他にはマスクの周囲の大気情報やCOVID-19に感染する確率もアプリで表示できるとのこと。詳細は現時点では不明ですが、待機状態は外のCLICマスク利用者の環境をシェアするものかもしれません。このあたりの情報がアプリで見られるようになれば、出かける先の移動ルート選定にも役に立ちます。
CLICマスクはクラウドファンディングで資金調達を行い目標金額の約4倍の出資を受けました。標準モデルはフィルター3枚が付属し98ユーロ(約1万2,200円)、プロモデルはフィルター3枚と透明カバー2つが付属し250ユーロ(約3万1,200円)。マスクとしては高いかもしれないですが、使い捨てではないことから環境にも優しいと言えます。CLICマスク2万枚は、使い捨てマスクのプラスチック2億トンの排出を削減できるそうです。
マスクがいらない時代が再び来る日がいつになるかはわかりません。毎日顔に着け、人に見せるものでもあるマスク。これからは機能性やデザインを考えた製品が増えてくるに違いないでしょう。