また新しいスマートフォンメーカーが日本に上陸します。アジアで人気のメーカー、OPPO(オッポ)です。実は世界シェア4位という隠れたベストセラーメーカーでもあるOPPO。いったいどんな会社なのでしょう?

  • 日本で発売されるOPPO R11s

OPPOは中国の広東省をベースとするスマートフォンメーカーです。元々は音響関連製品を開発しており、2000年代初期はMP3プレーヤーを多く出していました。しかし携帯電話部門を独立させ、2008年からフィーチャーフォンを手掛けます。そのころからヤマハの音源チップを使うなど、音楽に強い携帯電話を多数送り出してきました。「OPPO=音楽製品」。中国ではそんなイメージがあったのです。ソニーがウォークマンで若者文化に強いという印象を与えたように、OPPOの名前は10代や20代の若い世代に浸透していきました。

  • 初期のころのOPPOのフィーチャーフォン

その後中国でもスマートフォンブームが始まり、2011年に初のスマートフォン「Find」を発売します。イメージキャラクターはあのレオナルド・ディカプリオで、何かを探し求め街中をさまようシーンが印象的な短編映画のようなTV CMも大きな話題となりました。Findは横スライド式のキーボードも備えており、ビジネスにも使える高性能マシンという印象も与えました。

  • OPPO初のスマホはスライドキーボード付き

その後OPPOは本体形状の差別化に取り組んでいきました。2012年には当時世界最薄という、厚さ6.65ミリの「Finder」を発売。このころから中国メーカー各社は最薄化競争を繰り返し、複数社が毎月のように薄型モデルを出していきました。OPPOも2014年に5ミリを切る4.85ミリの「R5」を投入。世界がiPhone 6フィーバーに湧くころ、中国では最薄スマートフォンがブームになっていたのです。

  • 2012年の最薄スマホ、Finder

この薄型化とは別に、OPPOはカメラ機能の強化にも取り組みました。SNSの普及によりセルフィーユーザーも増え、フロントカメラ画質の高性能化も各社が取り組み始めたころです。ここでOPPOが出したアイディアは世間をあっと驚かせるものでした。2013年に発売した「N1」は、本体上部の1,300万画素カメラが206度回転し、メインとフロントのカメラを1つのカメラでカバーするというアイディア製品だったのです。

  • カメラが回転するN1

このN1はギミックも大きな話題となり、OPPOに「カメラスマホ」のイメージを植え付けます。このN1はサイズを小型化した「N1 mini」、カメラ画素数を1,600万画素に引き上げた「N3」と3つのモデル展開がされました。

  • N3はカメラ画質引き上げと布調の表面仕上げ

さて薄型競争も一段落し、OPPOが次に取り組んだのが「スマートフォンへの不満の改善です」。スマートフォンを日々使っていて困ること、その一番は電池切れでしょう。メーカー公称の利用時間に対し、実際にスマートフォンを使ってみると1日も電池が持たないことも多くあります。対応としては電池のサイズを大きくする、あるいはすぐに充電できる急速充電を採用するなどの方法があります。OPPOが取り組んだのは急速充電でした。

  • OPPOはVOOCを開発

スマートフォンの急速充電は、クアルコムが「Quick Charge」として2013年から商用化しています。しかしOPPOは同社のチップセットに頼らずに採用できる技術を自社開発しました。それが「VOOC」(Voltage Open Loop Multi-step Constant-Current Charging)です。5V4Aという高い電圧を使い、安全にスマートフォンを高速充電できます。2016年ころには「5分の充電、2時間通話」がOPPOのスマートフォンのアピールポイントとして大きく使われました。

  • 5分の充電、2時間通話がこのころのモデルのセールスポイント

なおVOOCはマイクロUSBと互換端子を使います。最新モデルの「R11s」がUSB Type-CではなくマイクロUSB端子を使うのもその理由から。またVOOCの利用には専用のケーブルと充電器を使います。市販されている汎用品のマイクロUSBケーブルや充電器も利用できますが、その際は充電速度は一般的なスマートフォンと同等になります。

  • VOOC対応ケーブルはマイクロUSB互換、コネクタは緑色

薄型でスタイリッシュなデザイン、カメラの強化、高速充電とOPPOのスマートフォンは年々使いやすく、大手メーカーにも負けない性能を持つ製品になっていきました。そして2016年に発売した「R9」「R9 Plus」は画期的な製品となり、OPPO人気を一気に高めたのです。R9のカメラ性能はメインが1,300万画素、フロントが1,600万画素。つまりフロントカメラの方が高画質になったわけです。ちなみに大画面モデルのR9 Plusは前後どちらも1,600万画素カメラですが、OPPOがアピールしたのはフロントカメラでした。

  • フロントカメラ強化のR11はFCバルセロナバージョンも登場

2017年には夏に「R11」と「R11 Plus」を発売。カメラはフロントが2,000万画素、メインが2,000万+1,600万画素のデュアルを搭載しています。Apple、サムスン、ファーウェイよりも高性能なフロントカメラに、デュアル仕様になったメインカメラ。OPPOは「カメラに強い」スマートフォンメーカーの地位を各国で確固たるものにしていったのです。そしてこの2モデルに、2018年の主流となる18:9サイズのワイドディスプレイを搭載したモデルが「R11s」「R11s Plus」となります。手ごろな価格と優れたカメラで日本市場を狙うOPPO、今後の展開が楽しみです。

  • 日本でのOPPOの展開に期待