2017年5月16日にHTCは新製品「U11」を発表した。HTCのスマートフォンはここ数年苦戦が強いられているが、このU11は久しぶりにHTCのイノベーションを感じられた、期待の星ともいえる製品に仕上がっている。従来のHTCのイメージを打ち破る新機能も搭載しており、日本での発売が楽しみなモデルである。
HTC U11はその外観から他社スマートフォンとは大きく異なる印象を与えてくれる。フロント側のデザインは一見するとオーソドックスに見えるが、側面へ繋がるエッジ部分はゆるやかなカーブを描いており、まるで水が自然に流れているかのようなイメージだ。そしてこの本体を裏返すと、その印象は大きく強まる。
HTC U11の本体デザインは「Liquid Surface」。まさに液体が流れる様をそのままイメージしている。前面側はもちろんのこと、背面側もガラスに覆われており、そのガラス面は側面の金属素材とシームレスにつながっている。異なる素材が一体となっているため握りやすく、手のひらの感触も心地よい。横幅は75.9ミリあるが、ホールド感は悪くない。
そしてこの背面はガラスの内側に複数のコーティングを施し、5つのカラーバリエーションを提供している。一見すると単色に見えるが、サブカラーをくわえることで別の角度から見ると異なる表情を見せてくれるのだ。曲面ガラスの表面仕上げと相まって、HTC U11の背面は持つ角度や光の当たり具合によって複雑な色模様が現れるのである。
本体カラーの名称も単純に「黒」や「白」ではなく、それぞれ「Sapphire Blue」「Brilliant Black」「Amazing Silver」「Solar Red」「Ice White」という名前が付けられている。中でも最も目立つ色合いのSolar Redは、HTCの端末によく使われた単色の赤ではない。ゴールドを混ぜた色合いのため、太陽の情熱的な強さを表しているかのような不思議な色合いの赤となっている。見方によっては金色が強く見えるため、ゴージャスな色合いの端末を好む人にお勧めだ。
またBrilliant Blackも良く見ると黒一色ではなく、緑が隠し色として隠れている。そのためより味わいのある黒い色となっているのだ。そしてAmazing Silverは青色を多く加えたことで、銀色と青色の中間色と言う、独特の色合いを出している。深みのある青のSapphire Blue、氷をイメージさせるIce Whiteと合わせ、HTC U11の色合いは他のメーカーの製品には見られない。日々持ち運ぶだけではなく、一度購入したら1、2年は買い替えないのがスマートフォンだ。毎日のように違う表情を見せてくれるHTC U11は、買ったあともユーザーを飽きさせることはないだろう。
スマートフォンを購入した人の多くがカバーを付けるだろうが、HTC U11はカバー無しでそのまま使いたくなるような色の仕上げとなっているのである。とはいえカバーを付けなくては傷がついてしまわないかと心配になる人も多いだろう。そのためか製品パッケージには透明なクリアケースが付属している。
このケースは本体全体を覆うのではなく、側面側が開いた形になっている。これはHTC U11の別の特徴のために、あえてこのような形状になっているのだ。HTC U11は本体の側面に感圧センサーを内蔵。本体を握ることでアプリの起動などが行える「Edge Sense」と呼ぶ機能を搭載した。
スマートフォンを操作するとき、画面のロックを解除してアプリアイコンをタップする操作は日常的に行われている。だが使いたいアプリを一発で起動したい時もあるだろう。冬場に手袋をしている時などは、指先を出して操作するのも煩わしい。だがEdge Senseを使えば、HTC U11の本体を握るだけで特定のアプリを起動したり、本体の操作を行うことができるのである。
SNSをよくやる人はLINEなどを登録すればいいし、写真好きな人はカメラを登録しておくといいだろう。しかも握り具合は「軽く握る」「長く握る」の2つから選べる。ビジネスにスマートフォンをよく使う人は「軽く握るとメール」「長く握るとカレンダー」としておけば、スマートフォンをポケットから出して即座にメールや予定のチェックができるというわけだ。
新しいハードウェア機能の搭載は、Android OSのバージョンアップへの対応などで躊躇するメーカーも多い。だがHTCはスマートフォンの使いやすさを追求するために、このEdge Senseを搭載したのである。スマートフォンの操作が年々煩雑になっているなかで、握るだけで操作できるこの機能は多くのユーザーに受け入れられそうだ。
美しいデザインに使いやすさを融合したHTC U11は、他社とは大きく差別化された、新しいHTCの顔となる製品としてグローバルに投入される。日本も含め、世界中のHTCファンのみならずこの夏注目の1台となるだろう。