こんにちは、阿久津です。先日SSDをメインノートPCに導入した話をさせて頂きましたが、あっという間にHDDへ逆戻り。ことのいきさつを聞いてください。ある日どうしてもシステムが応答せず、HDDを使っている感覚でコンピュータを強制終了させたところ、SSDが応答しなくなりました。SSDをノートPCから取り外し、デスクトップコンピュータにつないでみるとデバイス自身は認識しますが、ファイルシステムはNTFSではなくRAWモードに、Linux上でファイルシステム情報を書き換えてみましたが結果は散々。

仕方なくクイックフォーマットし、最初に作成したディスクイメージを書き戻してみましたが、書き込みエラー発生後にデバイスロスト。パーティションの切り分けなどファイルシステムを一から再構築し、フォーマットとチェックディスクを繰り返すことで、何とか復活しましたが、仕事で使うマシンに不安定なデバイスを取り付けるのも怖いため、復活させた時点でお蔵入りとしました。長年コンピュータを使ってきましたが、さすがに二週間程度でデバイスを破壊してしまう経験は、最初にHDDを使い始めたPC-98時代のSASI-HDD以来と少々凹(へこ)んでしまいました。

SSDからHDDに換装して数日経ちましたが、あらためてSSDの速さを思い知らされています。HDD固有の駆動音もせず、駆動基幹がないせいかバッテリの持ちも良いため、使い勝手の良さに満足していましたが、書き込み耐性の弱さなど消耗品的存在である部分は、やはり不安を覚えることも。元々もハードウェアに対してはコンサバティブな考えを持つ筆者ですが、HDDに換装せざるを得ない状態に陥って、SSDのメリットを享受できなくなった不満を覚えつつも、HDDに対する安心感に浸っています。

こんなことを吐露している筆者ですが、第三世代のSSDがリリースされれば、きっと購入していることでしょう。しかし次はバルク品ではなく、三年保証が付いたパッケージ版を選択したいと思います。

さて、Windows 7には標準でバックアップ機能が搭載されていますが、Home Premium以下のエディションでは、ネットワーク上の共有フォルダをバックアップ先として列挙されないなど、使用するエディションによってバックアップデータの保存箇所が制限されています。一見すると不便ですが、セキュリティ面をかんがみると安全性というメリットがあることにお気付きでしょうか(図01~02)。

図01: Windows 7 Home Premiumのバックアップ機能。ネットワーク上の共有フォルダをバックアップ先に指定できないため、書き込み可能な光学式ドライブや外付けUSB-HDDなどが必要となります

図02: Windows 7 Ultimateのバックアップ機能では、ネットワーク上の共有フォルダをサポートしているため、バックアップ先を自由に選択できます

そもそもバックアップとは、不具合が発生した際に重要なデータを容易に復元するために行なうものですが、データを複製する時点で情報漏えいの危険性が高まるというリスクをはらんでいます。先に挙げた共有フォルダや、光学メディアなどにバックアップデータを作成すると情報漏えいにつながりかねません。もちろん個人ユーザーであればここまで神経質になる必要はありませんが、企業や個人事業主のように仕事でコンピュータを使う場合は、偏執的になって損することはないでしょう。そこで今週はバックアップデータの作成先を制限して、セキュリティレベルを高めるレジストリチューニングをお送りします。

1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.レジストリエディタが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Policies \ Microsoft \ Windows \ Backup \ Clientまでキーをたどって開きます(存在しない場合は作成します)。
3.右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>と選択してください。
4.ステップ03で作成したDWORD値名を「DisableBackupToOptical」に変更し、同DWORD値をダブルクリックします。
5.ダイアログが起動したら、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックしてください。
6.レジストリエディタを終了し、コンピュータを再起動してください。

これでチューニング終了です(図03~08)。

図03: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図04: レジストリエディタが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoft \ Windowsまでキーをたどって開きます。Windowsキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>と選択して、Backupキーを作成してください

図05: 続いてBackupキーを選択した状態で<編集>メニューから<新規>→<キー>と選択して、Clientキーを作成します

図06: Clientキーを選択してから、右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>と選択し、名前を「DisableBackupToOptical」に変更します

図07: DWORD値「DisableBackupToOptical」をダブルクリックし、値のデータを「1」に書き換えてから<OK>ボタンをクリックします

図08: レジストリエディタを終了し、<スタート>メニューの電源ボタンから<再起動>を実行してください

コンピュータを何らかの理由で再起動できない場合は、「サービス」から「Windows Backup」を一度停止してください。それから「バックアップと復元」を起動し、「バックアップの設定」ウィザードを起動すれば、レジストリチューニングが有効になります(図09~12)。

図09: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「services.msc」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図10: サービスの一覧から「Windows Backup」を右クリックし、メニューから<停止>ボタンをクリックしてください

図11: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「sdclt.msc」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図12: 「バックアップと復元」が起動したら、<設定の変更>をクリックします

なお、一見するとレジストリチューニングが反映されていないように見えますが、作成したDWORD値に合致するデバイスを選択しますと、「このデバイスには、バックアップを保存することができません」というメッセージが表示され、ウィザードを先に進めることができなくなります。今回はCD/DVDに代表される光学メディアへのバックアップデータ作成を抑制しましたが、ローカルディスクを禁止するときはDWORD値「DisableBackupToDisk」、共有フォルダを禁止するときはDWORD値「DisableBackupToNetwork」のデータ値を「1」に変更してください(図13~14)。

図13: これでバックアップ先として選択できるデバイスが列挙されますが、CD/DVDドライブを選択する「バックアップを保存できません」というメッセージが表示され、ウィザードを先に進めることができなくなります

図14: メッセージ欄にある「詳細情報」をクリックしますと、システム制限が有効になったことを確認できます

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)