こんにちは、阿久津です。2009年も残すところ、あと一日。今年はWindows 7の登場により、コンピュータに関わる業界が右往左往した一年でした。そこで、Windows 7を軸とした2009年を振り返ってみようと思います。

本連載でもたびたび触れてきましたが、Windows 7が公式に発表されたのは、2008年10月。Microsoftがロサンゼルスで開催したPDC 2008(Professional Developers Conference 2008)。各メディアで報じられたように、多くの読者はもちろん各界の注目を集めましたが、驚かされたのは早期に行なわれたパブリックベータテスト。これまでの同社なら、一部のベーターテスターにだけ公開し、開発を進めていくのが常でしたが、Windows 7の完成度は同社内でも予想以上に高く、Windows Vista不振も相まって、販売戦略を前倒しにしたのでしょう。

蛇足ですが、Internet ExplorerやMicrosoft Officeといったアプリケーションなら、これまでも一般向けベータテストが行なわれてきましたが、筆者の記憶が正しければ、Windows OSのベータテストを一般向けに行なったことはありません。先頃行なわれたMicrosoft Office 2010ベータプログラムのように、同社の品質管理は少しずつ変化しているように見受けられます。

話をWindows 7のベータテストに戻しましょう。1月中旬には、ベータ版を一般向けに公開し、実際にWindows 7を試せる機会とあって、多くのユーザーがダウンロードサイトに殺到しました。当初Microsoftは、ベータ版のダウンロード数として250万件の上限を設けていましたが、ダウンロードサーバが過負荷で落ちてしまうほどの人気で、最終的には上限撤廃、提供期限も2月上旬まで延期されることに。

続いて行なわれたのが、5月上旬のRC版(Release Candidate: 製品候補版)公開。実は開発者向け有料サービスであるMSDNおよびTechNet会員には、4月末から公開されていましたが、一般向けは5月5日(日本は7日)でした。Windows XP Modeが初めて使用可能になったのも、本ビルドから。RC版はその名のとおり、製品版の一歩手前に位置するもので、新たな機能の搭載を終え、残すはバグフィックスのみというビルドです。

筆者もこの頃からメインで使用するノートPCに、Windows VistaとWindows 7のデュアルブート環境を作り、日々Windows 7を使うようになりました。この頃の雑感は「今から備えるWindows 7」で書かせて頂いたので割愛しますが、コンピュータ関係者と会うたび、Windows 7の話題で持ちきりだったことを記憶しています。

そして、Windows 7が登場したのが10月の22日。前述のTechNetでは8月末から公開されましたので、一足先にデスクトップやノートPCのOSをWindows 7に移行させ、環境構築を行なっていました。各所で述べているように、Windows 7はWindows Vistaをベースに開発されたOSですので、互換性はWindows Vistaとほぼ同等ですが、互換性エンジンの改良により若干上回りました。そのためWindows Vistaユーザーであれば特段悩まされる場面もなく、スムーズに環境移行できた方も多いのではないでしょうか。

確かに完全なチューニングを終えたWindows XPから、そのままWindows 7に移行するメリットは大きくないため、現在もWindows XPを使い続けている方もおられることでしょう。だが、新デバイスを使いたい、もしくは使う必要を迫られている場合、Windows XPでは役不足な面が出てきます。このようなケースは今後加速化するため、本連載をご覧の読者には、Windows 7への早い移行をお勧めしたいと思います。

さて、これで終わるのは少々物足りないことでしょう。今年最後のチューニングは、いつもお送りしている比較的難易度が高いものではなく、誰でも簡単に行なえるチューニングをお送りします。今回のテーマは、タスクバーにごみ箱アイコンをピン止めするというもの。一見しますと、デスクトップにある「ごみ箱」のショートカットファイルを作成し、そのままピン止めした方がスムーズです。しかし、同ショートカットアイコンのコンテキストメニューには<タスクバーに表示する>がありません(図01)。

図01: 本物の「ごみ箱」を元にしたショートカットファイルの場合、コンテキストメニューに<ごみ箱を空にする>が追加されます

一方、タスクバーに並ぶアイコンを格納する「%APPDATA% \ Microsoft \ Internet Explorer \ Quick Launch \ User Pinned \ TaskBar」フォルダに同ショートカットファイルを置き、再ログオンしても正しく動作しません。これはExplorer.exeのショートカットファイルとバッティングしているためでしょう。その証拠ではありませんが、同ショートカットファイルをタスクバーにドラッグ&ドロップしますと、エクスプローラのジャンプリストに登録されてしまいます(図02)。

図02: 同ショートカットファイルをタスクバーにドラッグ&ドロップしても、エクスプローラの1アイテムと認識され、ジャンプリストに登録されます

筆者の拙い経験では、別途ショートカットファイルを作成し、コンテキストメニューから追加するのが、一番簡単かつ確実な方法でしたので、以下にその手順を紹介します。

1.デスクトップの何もないところを右クリックし、メニューから<新規作成>→<ショートカット>と選択します。
2.「ショートカットの作成」ダイアログが起動したら、テキストボックスに「%SystemRoot%\explorer.exe shell:RecycleBinFolder」と入力して<次へ>ボタンをクリックします。
3.次のテキストボックスには「ごみ箱」と入力し、<完了>ボタンをクリックします。
4.ステップ01~03で作成したショートカットファイルを右クリックし、メニューから<プロパティ>をクリックします。
5.プロパティダイアログが起動したら、<アイコンの変更>ボタンをクリックします。
6.テキストボックスに「%SystemRoot%\system32\imageres.dll」と入力して[Enter]キーを押しますと、Windows 7用アイコンが表示されます。
7.表示された内容から、ごみ箱アイコンを選択して<OK>ボタンをクリックします。
8.設定を終えたら<OK>ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。
9.そしてショートカットファイルを右クリックし、メニューから<タスクバーに表示する>をクリックします。

以上でチューニング終了です(図03~図10)。

図03: デスクトップの何もないところを右クリックし、メニューから<新規作成>→<ショートカット>と順番にクリックします

図04: ウィザードが起動したら、テキストボックスに「%SystemRoot%\explorer.exe shell:RecycleBinFolder」と入力して<次へ>ボタンをクリックします

図05: 次のテキストボックスにはショートカット名となる「ごみ箱」を入力し、<完了>ボタンをクリックします

図06: 作成したショートカットファイルを右クリックし、メニューから<プロパティ>をクリックします

図07: <ショートカット>タブを開き、<アイコンの変更>ボタンをクリックします

図08: テキストボックスに「%SystemRoot%\system32\imageres.dll」と入力して[Enter]キーを押しますと、Windows 7用アイコンが表示されますので、一覧から「ごみ箱」をクリックして選択したら、<OK>ボタンをクリックします

図09: 最後に<OK>ボタンをクリックしてダイアログを閉じます

図10: ショートカットファイルを右クリックし、メニューから<タスクバーに表示する>をクリックします

ただし本ショートカットファイルは、本物の「ごみ箱」から作成したショートカットファイルと異なり、コンテキストメニューにごみ箱用項目が表示されません。そのため、ごみ箱に対する操作を行なうには、アイコンをクリックしてエクスプローラを起動させた後、ツールバーにある<ごみ箱を空にする>をクリックしてください。

若干不便なように感じられますが、そもそもごみ箱を空にする操作は、さほど多くありません。また、デスクトップ上のアイコンをすべて非表示にすることで、すっきりとしたデスクトップ環境を実現できるメリットは大きいでしょう。デスクトップをワークスペースとしてお使いの方は是非お試しください(図11~14)。

図11: デスクトップの何もないところを右クリックし、メニューにある<個人設定>をクリックします

図12: 「個人設定」が起動したら、ナビゲーションウィンドウにある<デスクトップアイコンの変更>をクリックします

図13: 「デスクトップアイコン」セクションにある各項目をクリックしてチェックを外し、<OK>ボタンをクリックします

図14: これでデスクトップ上からアイコンがなくなりました。ごみ箱を使用する際は、同アイコンをクリックしてエクスプローラを起動させ、ツールバーにある<ごみ箱を空にする><すべての項目を元に戻す>をクリックしてください

それでは、また来年お会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)