こんにちは、阿久津です。Windowsは、各種ファイルにマウスオーバーすると、ファイルの内容を示すツールヒント(Tooltip)を表示する仕組みを長年用意してきました(図01~02)。

図01 ショートカットファイルにマウスオーバーしますと、元のファイルを示すパスが表示されます

図02 通常のフォルダーに対するツールヒントはサイズや格納したファイルなども示されます

ファイルやフォルダーを開かずとも大まかな情報を確認できるのが便利なこの機能は、ファイルタイプごとに指定した「Prop(プロパティ情報)」を用いて自由にカスタマイズできます。これらの情報は「Windows Properties」として定義されており、ツールヒントとして主に使うのは「System」周りでしょう。

例えば、「System.DateCreated」はファイルもしくはフォルダーが生成された作成日を示し、「System.Size」はファイルサイズをバイト単位で示す情報を提示できます。これらを文字列値「InfoTip」として、HKEY_CLASSES_ROOTキー下のファイルタイプごとに作成することで、ツールヒントの内容を自由に変更できます。

今回はショートカットファイルを対象にツールヒントの情報を増やすチューニングを紹介します。

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_CLASSES_ROOT\.lnk\ShellEx\{00021500-0000-0000-C000-000000000046}キーを削除します。
3. HKEY_CLASSES_ROOT\lnkfileキーを開きます。
4. 文字列値「InfoTip」を作成し、データを「prop:System.Comment;~」とPropデータを記述します。
5. レジストリエディターを終了させます。
6. エクスプローラーを再起動します。

これで操作が完了しました(図03~14)。

図03 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図04 レジストリエディターが起動したら、HKEY_CLASSES_ROOT.lnk\ShellExキーを開きます

図05 {00021500-0000-0000-C000-000000000046}キーを右クリックし、<削除>をクリックします

図06 確認をうながすメッセージが現れたら、<はい>ボタンをクリックします

図07 HKEY_CLASSES_ROOT\lnkfileキーを開きます

図08 右ペインの何もないところを右クリックし、<新規>→<文字列値>と順にクリックします

図09 値名を「新しい値 #1」から「InfoTip」に変更します

図10 文字列値「InfoTip」をダブルクリックし、データにPropの内容を記述して<OK>ボタンをクリックします。ここでは「prop:System.Comment;System.DateCreated; System.Link.TargetParsingPath; System.Image.Dimensions;System. Size;System.Media.Duration」としました

図11 <×>ボタンをクリックして、レジストリエディターを終了させます

図12 [Ctrl]+[Shift]キーを押しながらタスクバーを右クリックし、<エクスプローラーの終了>をクリックします

図13 [Ctrl]+[Shift]+[ESC]キーを押して「タスクマネージャー」を起動し、<ファイル>メニュー→<新しいタスクの実行>と順にクリックします

図14 テキストボックスに「explorer」と入力して<OK>ボタンをクリックします

早速結果を確認してみましょう。今回はPropとして「System.DateCreated」「System.Link.TargetParsingPath」「System.Image.Dimensions」「System.Size」「System.Media.Duration」を指定したため、下図のように作成日時、リンク先、画像サイズ(ピクセル単位)、ファイルサイズ、メディアファイルの容量が示されました(図15~16)。

図15 こちらがチューニング後のツールヒント。ご覧のように多くの情報が示されます

図16 メディアファイルのショートカットファイルに対してマウスオーバーしますと、曲や映像の長さが示されます

本チューニングは2つのポイントがあります。1つめはステップ2で行った{00021500-0000-0000-C000-000000000046}キーの削除。こちらはツールヒント拡張機能の登録を行う際に使用するGUIDですが、ステップ4の操作を有効にするため、事前に削除しなければなりません。後から戻す場合はバックアップを作成しておきましょう。

2つめは文字列値「InfoTip」で指定するプロパティ情報の内容。「System」で定義された項目は多岐にわたるため、すべてを紹介できませんが、ファイル属性を示す「System.FileAttributes」などはファイル管理を厳密に行うユーザーには有用となります。

なお、本チューニングを破棄する場合はHKEY_CLASSES_ROOT\lnkfileキーの文字列値「InfoTip」を削除し、レジストリファイルを復元するか、HKEY_CLASSES_ROOT.lnk\ShellEx{00021500-0000-0000-C000-000000000046}キーを再作成してください。「(既定)」のデータは「{00021401-0000-0000-C000-000000000046}」に変更します。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus)