こんにちは、阿久津です。Windows OSにおける中途半端というか、有用ながらも使用頻度が少ない機能のひとつに、CD/DVD書き込み機能があります。Windows XPにはISO(ISO 9660)形式によるCD-R/RW書き込み機能が備わっていましたが、サードパーティ製ライティングエンジンが仇(あだ)となり、市販のCD/DVD書き込みソフトとバッティングする場面もありました。

Windows Vistaでは機能を拡張し、パケットライト方式をサポート。ダイアログの説明にあるとおり、USBメモリのようにドラッグ&ドロップでファイルを追加・削除できるため、使い勝手は大幅に向上しました。これはUDF(Universal Disk Format)でCD/DVD-Rを初期化するためです。もともとWindows XPでもバージョン1.02/1.5/2.00/2.01の読み込みはサポートされていましたが、Windows Vistaではバージョン1.02/1.5/2.00/2.01/2.5の読み書きとバージョン2.6の読み込みをサポートしました。

しかしWindows Vistaでは、ISO形式による書き込みを「マスタ」、パケットライト方式による書き込みを「ライブファイルシステム」と称しているため、PC初心者にはわかりやすくとも、コンピュータに精通しているユーザーには逆にわかりにくくなっています(図1~3)。

図1: Windows Vistaにブランク(空)のCD/DVDメディアを挿入しますと、ディスクの初期化をうながされます

図2: フォーマットとしては事実上、ライブファイルシステムを選択することになります

図3: フォーマット時にはUDFのバージョンも選択可能。既定値はバージョン2.01となります

考え方が古いのかもしれませんが、汎用性に乏しいフォーマットでデータを書き出すことに不安を覚える筆者としては、UDF形式を使う気になれません。これまで書き連ねてきた仕事のデータは皆ISO形式でバックアップしています。もっとも、Windows VistaにおけるCD/DVD書き込み機能が必要な方もおられるでしょう。そこで今回は、何らかの理由でCD/DVD書き込み機能が無効になった方向けのトラブルシューティングを紹介します。

そもそも、Windows OSのCD/DVD書き込み機能はバックナンバーでも述べたように、DWORD値「NoCDBurning」で制御可能です。同レジストリ値が存在し、データ値が「1」になっていますと、CD/DVDドライブのプロパティダイアログにある<書き込み>タブが表示されません(図4)。

図4: DWORD値「NoCDBurning」が設定されている場合、<書き込み>タブが非表示になり、CD/DVD書き込み機能が使えません

DWORD値「NoCDBurning」は、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Explorerキーもしくは、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Explorerキーで設定しますが、同設定を行なっていないにもかかわらず、図4のように<書き込み>タブが表示されない場合は、以下の手順を確認してみましょう。

  1. <スタート>メニュー→クイック検索に「regedit」と入力して[Enter]キーを押す。
  2. HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ CD Burning \ Drives \ Volume{GUID}までキーをたどって開く。
  3. 右ペインにあるDWORD値「IsImapiDataBurnSupported」をダブルクリック。
  4. 値のデータが「0」になっている場合は「1」に変更する。
  5. レジストリエディタを終了し、Windows Vistaを再起動する。
※直接入力の際は、バックスラッシュ(\)前後のスペースを取り除いてください。

これで設定完了です。まずステップ2のGUID(Globally Unique Identifier : グローバル一意識別子)は、Windows OSがCD/DVDドライブに割り当てられた疑似乱数。複数のCD/DVDドライブがあるときは、複数のVolume{GUID}が並ぶため、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ CD Burning \ StagingInfoキーにある同じVolume{GUID}キーを開き、DWORD「DriveNumber」を確認してください。同データ値は10進数でドライブ文字と対になっていますので、画面の例にあるように「5」であれば「Fドライブ」となります(図5)。

図5: どのCD/DVDドライブかわからないときは、StagingInfo \ Volume{GUID}キーにあるDWORD値「DriveNumber」のデータ値を確認しましょう。「0」からはじまる同数値が「5」の場合は「Fドライブ」となります

DWORD値「IsImapiDataBurnSupported」は、名前からもわかるように、データ書き込み機能の有無を制御する値。データ値が「1」の場合は書き込み機能が有効になり、「0」の場合は無効となります。つまり、何らかの理由で同データ値が書き換わった場合、再度有効にすることでCD/DVD書き込み機能が復活する、ということです。トラブルに見舞われた方は是非ご確認ください。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)