「Windows 10ミニTips」は各回の作成時点で最新のWindows 10環境を使用しています。

前回に続いて、Windows 10の「Windows Update」を最適な設定にするために、各設定項目の内容について説明しよう。

「複数の場所から更新する」とは?

Windows 10のアップデートシステムにおいて、過去と比べてもっとも変化が生じているのは、「複数の場所から更新する」という項目だ。更新プログラムの配信を最適化するために組み込まれた機能だが、更新プログラムをダウンロードしたPCは、「ネットワーク的に近い」PCへと更新プログラムのキャッシュを送信し、これからアップデートする場合は逆に他のPCから更新プログラムを受信する。

「Win」+「I」キーを押すなどして「設定」を起動し、「更新とセキュリティ」→「Windows Update」とクリック/タップで開く

「詳細オプション」が開いたら、「更新プログラムの提供方法を選ぶ」をクリック/タップする

こちらで「複数の場所から更新する」自体のオン/オフや、取得&配信範囲を選択できる

一見するとセキュリティ的な不安を覚えるかもしれないが、Microsoftは「Windows Updateと同じ検証方法を用いているため問題はない」と説明している。ローカルキャッシュは細かく分割され、必要に応じて配信もしくは受信する仕組みだ。さらに、インストール前にもファイルの信頼性チェックを行っているという。

ネットワークに詳しい方なら、P2P(Pear to Pear)のBitTorrentを連想すると分かりやすいだろう。P2Pの実装は今に始まったことではなく、Windows Vista以降、グループウェアの「Groove 2007」はP2P技術を用いている。

更新プログラムの配信側に回ったPCは、必然的に一定のI/O負荷とネットワークトラフィックが発生するが、筆者は今のところ負荷を実感するような場面に出くわしていない。また、タブレットなど外出先でインターネットに接続するとき、従量制課金接続を選択していても、Windows Updateは自動実行される。ただし、ローカルキャッシュの配信は行われないので安心してほしい。

取得&配信範囲はどちらを選択すべきか

「複数の場所から更新する」設定のポイントは、「ローカルネットワーク上のPC」「ローカルネットワーク上のPCとインターネット上のPC」のどちらを選択するのが賢いか、という点だ。Windows 10 HomeとWindows 10 Proの既定値は後者となり、必然的に外部のWindows 10搭載PCに対して、更新プログラムのキャッシュデータ取得&配信を行っている。

例えば、複数台のWindows 10搭載PCを併用している場合、いずれの設定を選択しても更新プログラムのダウンロードは高速化する可能性は高いだろう。だが、Windows 10搭載PCが2~3台程度であれば、取得&配信範囲をLAN内に限定し、1台の場合は本機能自体を無効にしてもさほど大きな差は生じない。

外部トラフィックを軽減させたい場合は「ローカルネットワーク上のPC」をクリック/タップする

セキュリティ的不安を覚える場合はスイッチをクリックして「オフ」に切り替えれば、更新プログラムを他のPCから取得&配信する仕組みは無効にできる

なぜならWindows Updateの更新プログラムは、大手CDNのAkamai Technologiesから配信している。そのためAkamaiが帯域を大幅に絞らない限り、他のPCからキャッシュデータを取得するより高速だ。このように、Windows 10搭載PCのパフォーマンスや、お使いのネットワーク環境に応じてオプションを選択することで、快適な更新環境となるだろう。

阿久津良和(Cactus)