本連載「ゼロから始める! ヤマハルータでつくるVPN」では、3つのネットワーク機器を使い、中堅・中小規模の企業においてよく使われているタイプのVPNネットワーク環境を一から構築していきます。構築する手順を紹介する中で、発生しやすいトラブルの対処法なども随時紹介していきます。

さて、本連載でVPNを構築するにあたって利用する機器は以下です。

  • ギガアクセスVPNルーター RTX1210
  • スマートL2スイッチ WX2200
  • 無線LANアクセスポイントWLX302

これらの機器を用いることで、以下のように、VPNを構築して離れた拠点のLANを接続することができます。今回は、「ギガアクセスVPNルーター RTX1210」を使って、最小限のLAN環境を作るところから始めましょう。

VPNを構築して離れた拠点のLANを接続することが可能

ギガアクセスVPNルーター RTX1210 とは

「ギガアクセスVPNルーター RTX1210」は、中小規模拠点向けのVPNルータです。従来のコンソールでの設定のほかに、Webブラウザを使った設定ができることで、導入のハードルが低くなっています。

LANポートは3ポート搭載されており、ポート単位で別々のLANを構成したり、リンクアグリゲーション機能を使って冗長構成を組んだりすることができます。ちなみに、LAN1ポートは8ポートのスイッチングハブとなっています。

ギガアクセスVPNルーター RTX1210

すべてのLANポートがギガビットイーサネットに対応しているので、ルーティング性能(スループット)は最大2.0Gbit/s(双方向)、VPN(IPsec)スループットも最大1.5Gbit/s(双方向)を達成しているなど、通信は非常に高速です。

また、デジタル回線のほか、データ通信端末を接続してモバイルインターネット接続を利用できるなど、さまざまなネットワークに対応していることも特徴の1つです。

RTX1210との接続

早速、小さなLAN環境を構築してみましょう。まずは、RTX1210をPCから操作できるようにするために、機器をケーブル接続します。以下が、具体的な作業です。

(1) RTX1210のLAN1ポートの1番ポートとPCをLANケーブル(図で白のケーブル)で接続します。

(2)RTX1210のLAN2ポートとONUのポートをLANケーブル(図で青のケーブル)で接続します。

LAN1ポートの1番ポートはPCと、LAN2ポートはONUのポートと接続する

RTX1210 WebGUIへアクセス

機器を接続できたら、RTX1210の電源を入れます。RTX1210の設定画面であるWebGUIにアクセスしてみましょう。

RTX1210の工場出荷時におけるLAN1のIPアドレスは「192.168.100.1」 です。また、RTX1210は、工場出荷状態でDCHPサーバが設定されています。よって、PCでIPアドレスが自動取得になっている場合は、RTX1210からIPアドレスが払い出されます。以下が、具体的な作業になります。

(1)Webブラウザを起動し、アドレスに「http://192.168.100.1/」と入力します。

(2)ユーザー名とパスワードを入力するプロンプトが表示されます。初回は、ユーザー名とパスワードが空欄のままでログインできるので、そのままログインします。

(3)ダッシュボード画面が表示されます。ダッシュボード画面に表示されるそれぞれの情報はガジェットと呼ばれ、右上の設定ボタンから設定を変更することができます。SYSLOGの表示は便利です。

RTX1210のWebGUI

(4)「かんたん設定」の「基本設定」で、最初に必要な設定を行っておきましょう。具体的には、最低でも管理パスワードを設定し、日付と時刻の設定でNTPを設定したほうがよいでしょう。

インターネットへの接続

機器の接続を完了し、WebGUIのアクセスが済んだら、以下の手順でインターネットへ接続します。

(1)「かんたん設定」から「プロバイダー接続」ボタンをクリックして、「プロバイダー接続」画面から設定を行います。

(2)「新規」ボタンをクリックすると、「インターフェースの選択」画面が表示されるので、WAN側のケーブルを接続しているLAN2を選択します。選択すると、回線の自動判別が始まります。回線自動判別機能は、LAN2またはLAN3ポートにブロードバンド回線を接続した場合のみ機能します。

回線自動判別に失敗した場合は、「PPPoE接続」または 「DHCP接続」を手動で選択しましょう。

(3)自動判別された回線がPPPoE接続の場合は、プロバイダーから提供されたユーザーID、パスワードを入力して続行します。DNS、フィルターはデフォルト設定のまま、次へボタンを押します。

DHCP接続の場合も、プロバイダーから指定されたWAN側のIPアドレスを設定します。

(4)「設定内容の確認」画面が表示されるので、問題がなければ「設定の確定」ボタンをクリックします。

ここまでの作業でインターネットに接続するための設定は完了しました。PCのWebブラウザを使って、インターネット接続の確認をしてみましょう。

今回は、RTX1210を使って、最小限のLAN環境を構築しました。次回も引き続き、RTX1210を使い、IPSecVPNの設定をして、インターネットを介した拠点間での通信を可能にする設定をしましょう。