キャンプでつながる人材の「絆」

専門講座の講師を務めた2人は「講師をやってほしい」と依頼を受けた際、驚きと共に「仕事と両立できるかな?」という一瞬の悩みもあったが、かつて自分がキャンプから得たものをフィードバックするチャンスだと考えて引き受けたという。

「自分自身、キャンプに参加してから進路の考え方などが大きく変わりました。おかげで今、とても楽しく仕事ができています」とは庄司氏の弁だ。美濃氏も「キャンプに参加して人生が変わったと言う人がいますが、私はまさにそれ。キャンプに参加していなかったら、これほどいろんなことに挑戦できるチャンスはなかったかもしれません」と語る。「社会人になった今、同じように『チャンスの扉』を学生に提供していきたい」というのが共通の思いだ。

ネットワークレイヤとアプリケーションレイヤ、それぞれの土台について解説した2人は、チューターや勉強会での発表経験はあるものの、いわゆる講師役は初めての経験。時間配分には気を遣ったというが、いずれも堂々たる講義ぶりを見せた。「受講者として参加するのも楽しかったですが、講師にはまた別の楽しさがあります。特に、自分の説明で受講者が『わかった!』という明るい顔になるのは、講師冥利に尽きました」と庄司氏は笑顔で振り返る。

両氏の目線は、既に次のステージへと向けられている。今回の経験を踏まえ、「次は僕じゃないと話せないことを話したい」(庄司氏)、「普段の業務でやっているセキュリティ監視やログの見方を伝えてみるのも面白いな」(美濃氏)と、さまざまなアイデアを巡らせているようだ。

冒頭の佳山氏の言によれば、セキュリティエンジニアがダークサイドに落ちない理由の1つには「技術者としての誇りやリスペクト、自分を育ててくれた人たちへの感謝」があるという。「技術を生かし、技術者として活躍するなかで仲間を作り、講師やチューターたちのように周りにつなげ、協力していってほしい」――そんな先人たちの思いが、受講者にも伝わったのではないだろうか。

専門講座をやりきった参加者と講師、チューターたち