唐突だが、半年ほどにわたってお付き合いいただいた本連載「TechNetの歩き方」は、今回が最終回ということになった。最後はタイトルに相応しくきれいに締めくくろうということで、これまで連載で取り上げてきた内容を基にして、「TechNet Onlineをこう活用する」という観点から総まとめを行ってみたい。

Scene 1 : 製品・テクノロジーについて知りたい

TechNet Onlineでは、製品・テクノロジーごとに「TechCenter」を設けており、これがさまざまな情報源にアクセスするための窓口になっている。

最初はTechCenterの一覧を列挙しようかと考えたのだが、数が多すぎて収拾がつかなくなりそうだったので、TechNet Onlineのサイトマップを参照していただきたい。ここから個々のTechCenterにジャンプできるようになっている(一部、英語版のTechCenterに対するリンクも含む)。

TechCenterによって内容には多少の相違があるが、基本的には当該製品に関する情報源、サポート技術情報、セキュリティ修正プログラムを初めとする各種ソフトウェアのダウンロード、体験版のダウンロード、バーチャルラボ、ホワイトペーパーを初めとする各種技術文書、といった具合に、さまざまな情報源をまとめた形になっている。つまり製品情報のポータルだ。

TechNet Onlineのサイトマップ。トップページで目的のコンテンツを見つけるのに苦労したら、こちらにアクセスしてみよう。ただし、更新情報・最新情報を知るにはトップページやRSSフィードの利用が欠かせない。

特に「製品について知りたい」という場合、スペックや機能だけでなく、実際に動かしてみたい場合が多いだろう。そこで利用できる方法は、以下のように複数存在する。

体験版

実際に製品を動作させたり、パフォーマンスの検証を行ったりしたいのであれば、体験版がよい。利用可能な期間が限定されているが、必要な実験・検証を行うのに十分な余裕はあるはずだ。ただし、基本的には製品版と同じものを動作させることになるので、どんな機能でも試せる代わりに、実験用のコンピュータを手元に用意しなければならない。

バーチャルラボ

現物のコンピュータがなくても、自分が試してみたい、知りたいと思っている機能に合致するものがあれば、実際に製品を操作するのと同じ状況を体験できるバーチャルラボは、有用性が高い存在といえる。ただし、特定の機能に限定されることと、シナリオが最初から固定されている点に注意する必要がある。

また、バーチャルラボは、あくまでバーチャルなものだから、パフォーマンスの検証にはならない。バーチャルラボが威力を発揮するのは、「○○機能の概要や操作手順について知りたい」といった、学習に近い用途だろう。もっとも、それに対応するバーチャルラボがなければ使えないが、英語版まで対象を広げれば、希望のものが見つかるかもしれない。

VHDダウンロード

場合によっては、Hyper-Vで動作させる仮想マシンの「*.VHD」ファイルをダウンロードできる。ファイルのサイズが大きくなってしまうが、いちいちセットアップや環境構築を行わなくても直ちに実行できる利点があるので、忙しいシステム管理者にとっては案外と重宝する存在だ。

Scene 2 : 困ったときは

あまり嬉しくない話だが、実際にマイクロソフトのサーバ製品などを運用していて、トラブルに見舞われることも皆無とはいえない。また、設定の仕方が分からない、設定はできたがパフォーマンスが出ない、もっと効率の良い設定の仕方はないか、といった類の「困ったとき」も存在するだろう。そういった場面で利用可能なりソースとしては、以下のものがある。

サポート技術情報検索

キーワード、トピックごとのID番号、イベントIDまたはエラーコードと、3種類の手がかりを用いて、膨大な分量のサポート技術情報を検索できる。もっとも使用頻度が高いのはキーワード検索だろう。TechNet Onlineのトップページだけでなく、TechCenterに検索ボックスを用意してある場合もある。

実は、bingを初めとする検索サイトを利用してマイクロソフト製品に関する技術情報を捜すと、TechNet Onlineのコンテンツ、特にサポート技術情報がひっかかることが少なくない。それであれば、最初からサポート技術情報を検索する方が手っ取り早い。これだけ充実した情報を誰でもアクセスできる形で公開しているメーカーは、そう多くない。

TechNetライブラリ

設定の手順やコツなどについて知りたい場合には、サポート技術情報だけでなく、TechNetライブラリも調べてみたい。特定のテーマについて筋道を立てて知りたい場合には、こちらの方が役に立つだろう。

また、ソフトウェア開発が関わってくる場合には、TechNetライブラリだけでなく、MSDN OnlineのMSDNライブラリも調べてみたい。特にサーバ製品の場合、ユーザー側で何らかの開発作業を伴う場合が少なくないので、MSDN Onlineの存在は無視できない。

なお、TechNetサブスクリプション会員であれば、Web上で提供されているオンライン版のTechNetライブラリだけでなく、メディアの形で提供されるTechNetライブラリも利用できる。更新頻度が低い難点はあるが、オフライン環境で使える利点もある。状況に応じて賢く使い分けたい。

フォーラム

サポート技術情報やTechNetライブラリは、自分が知りたいと思う情報が載っていなければ役に立たない(当たり前である)。まずはそちらを当たってみて、それでも問題を解決できない場合には、最後の手段として各TechCenterからリンクされている製品ごとの「フォーラム」を利用する方法もある。いってみればユーザー同士の互助みたいなものだから、自分と同じ問題に遭遇して、それを先に解決できた人がいれば助けてもらえる可能性がある。

ただし、答える方はあくまでボランティアである。節度を持って、マナーを弁えた上で利用したい。

Scene 3 :スキルを上げたい・効率化したい

すでに、ひととおりの運用経験はある。でも、さらにスキルを上げて業務の効率化を図りたい。そんなときにも、TechNet Onlineが役に立つ。

これもTechCenterからリンクされているリソースのひとつだが、セミナー情報や関連書籍情報といったものは、スキルアップの手段を捜すときに役に立ってくれるだろう。セミナーなどに出席して学習したい・情報を得たいと思っても、それがいつ、どこで開催されているか分からなければ困ってしまう。

また、多くの人が直面しそうな課題に対する解決策、あるいは技術的な情報を知る手段ということであれば、TechNetマガジンも押さえておきたい。自分が知りたいと思っているテーマに合致する記事が載っていれば、重宝な存在だ。

そして、効率化ということになると頼りになる存在が、スクリプトセンターだろう。筆者の口癖「同じことを三回やったら自動化を考える」ではないが、毎日のように行う定型作業を自動化することは、管理者の仕事を楽にする第一歩である。WSH(Windows Scripting Host)のスクリプトだけでなく、最近ではWindows PowerShell関連の情報も充実してきているので、「定型作業を楽にしたいと思ったら、まずスクリプトセンター」は基本である。

サブスクリプションの構成変更

ところで、本連載を掲載している間に、TechNetサブスクリプションのラインナップが変わったので、それについて簡単に触れておこう。

従来は、「TechNet Plus」と「TechNet Plus Direct」の2種類で、後者はメディアキットの送付がない分だけ安価、という違いだった。現在は、「TechNet Professional(メディアオプション付き)」「TechNet Professional」「TechNet Standard」の三本立てとなっている。

ひらたくいうと、「TechNet Plus」に相当するのが「TechNet Professional(メディアオプション付き)」、「TechNet Plus Direct」に相当するのが「TechNet Professional」で、さらに安価な下位バージョンとして「TechNet Standard」が加わった形だ。

以下の比較表を見ると分かるが、Enterprise製品とDynamics製品を対象から除き、さらにテクニカルサポートインシデントと書籍の割引特典を省くことで低価格化を図っている。Enterprise製品やDynamics製品に縁がない中小企業のシステム管理者、あるいは個人・SOHOレベルでは、「TechNet Standard」の存在価値が大きいのではないだろうか。

2010年6月現在の、TechNetサブスクリプションの比較表。看板を架け替えただけでなく、安価な「TechNet Standard」が加わったのがニュースだ。

おわりに

企業のシステム管理・運用担当者、マイクロソフト式にいうと「ITプロフェッショナル」の仕事は、業務の内容が多岐にわたる上に、さまざまな種類の作業が発生する。そして、突発的な事態への対処も求められる、難しい仕事だ。だが、それだけに効率よくこなすことができれば気持ちがいい。

先日、地球に戻ってきた「はやぶさ」の話ではないが、何か問題や課題が発生したときでも慌てずに、事前に仕込んで置いた情報を出して「そんなこともあろうかと思って…」とやれたら、気持ちいいと思わないだろうか?

というのは冗談だが、マイクロソフト製品を使用している企業のシステム管理者を、さまざまな形で助けてくれるのがTechNet Online、あるいはTechNetサブスクリプションといった仕組みなのは間違いない。せっかく存在するものなのだから、問題解決・負担の軽減・スキルアップなどのために、おおいに活用しようではないか。

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TechNet Plus サブスクリプションは、情報システムの評価、導入、運用、管理を支援する IT プロフェッショナルのための年間購読サービスで、マイクロソフトの最新技術リソースや、製品評価版のソフトウェアやベータ版をダウンロードして評価目的で利用できます。

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ご提供: マイクロソフト

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