飯田橋にある「梅酒ダイニング明星」は株式会社リバネスが運営している梅酒バーです。社会と最先端科学をつなぐ、という事業に取り組んでいる株式会社リバネスの梅酒バーには、なんと「植物工場」があるそうです。株式会社リバネスの興味深い取り組みを地域開発事業部の塚田周平さんにうかがいました。

―塚田さん、本日はよろしくおねがいします。さっそくですが、こちらの梅酒バーに入ってまず眼につくこの植物、どうしてここにあるのでしょう?

弊社はここで梅酒バーを経営しながら、植物工場のプロモーションも行っているんです。

―植物工場のプロモーションですか…興味深いです! まずは株式会社リバネスについて詳しく聞かせてもらってもいいですか?

株式会社リバネスは、12年前に理系大学院生が立ち上げた会社です。子供たちの理科離れを食い止めようと、学校に出張して実験教室を開き最先端の科学を教えるという活動がその始まりでしたね。

そこから、メディア事業や研究開発など、理系ならではの専門性を活かしたさまざまな事業を展開してきました。「わかりやすく伝える」ことを基本に、社会と最先端科学をつないでいくことに取り組んでいます。

―理系の学識と社会との接続、実に重要なテーマですね!

農学を専攻していた私は室内で工業的に生産する植物をもっと広めていきたい、という思いがありました。しかし、生産してもそれを消費するマーケットがなかったのです。マーケットがないのであれば作れば良いのですが、そのためには多くの人に野菜の工業生産という事業を知ってもらわなければいけませんね。

そこでお店の中に植物工場を置く、という店産店消という試みを始めたんです。ここの梅酒バーでは植物工場で生産した野菜のサラダを提供しているんですよ。

―なるほど、それでお店の中に植物工場があるのですか!

塚田さん:そうですね。お店の中にあるのはお客様が育てている野菜なんですよ。さらに大型の植物工場は別の場所でもっと大規模に行なっています。

―梅酒バーの中で自分が育てた野菜を食べられるんですね。

そうなんです。こちらの従業員は理系のスタッフが多く、医食農に関するイベントをやったり、農学の質問を気軽に受けたりと、学びのコミュニケーションができる場でもあるんです。

―お客様に工業的に生産した野菜を提供するだけでなく、自社の事業をプロモーションする場にもなっている、それがリバネスの梅酒バーなんですね。今回は「数学レシピ」ということで、数学との関わりもお聞かせ願いたいのですが。

実は私自身は数学が苦手だったんですよ(笑)。でも世の中の現象に様々な疑問をもつようになったとき、数学のおもしろさに目覚めましたね。弊社には多くの理系出身者がいますが、専攻分野がバラバラでも共通言語はやはり数学です。数字で見せればちゃんと相手を納得させられますしね。

たとえば、植物にあてる光源の種類や成長過程を統計的に分析するときなどに数学は関わってきますね。

―高校でも統計は必修になりましたしね。やはり、多くの人が使っているという意味で社会で役立つ数学の筆頭であると言えますね。

あとはイメージとしての数字のわかりやすさですかね。ここの梅酒、100種類が100分間飲み放題で1000円にしているんです。このような数字の連続はわかりやすく人にアピールできますよね。

―最後にわかりやすい例えをありがとうございます。塚田さん、お忙しい中どうもありがとうございました!

塚田さんのおっしゃる、様々な専門分野をつなぐための共通言語としての数学というのは、とても重要なキーワードのように思えました。先端技術の屋台骨を数学が支えているんですね。植物工場をプロモーションする場所として梅酒バーを作るというセンスにも驚かされます。塚田さん、社会と先端技術をつなぐ数学のお話をありがとうございました!

今回のインタビュイー

塚田 周平(つかだ しゅうへい)
1980年 京都市生まれ。
東京大学 大学院農学生命科学研究科応用生命科学専攻博士課程修了。株式会社リバネス地域開発事業部にて、植物工場事業、および地域人材育成事業を担当。

梅酒ダイニング明星
住所:東京都新宿区揚場町2-27 MIT飯田橋ビル3階
TEL & FAX:03-6457-5141
営業時間:11:30~14:30/18:00~23:00(日曜日は定休)

植物工場ラボ
株式会社リバネス

このテキストは、(公財)日本数学検定協会の運営する数学検定ファンサイトの「数学探偵が行く!」のコンテンツを再編集したものです。

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