スマートフォンやタブレットと連動させて遊ぶ次世代オモチャ、スマートトイ。専用アプリを用いることで今までにはないオモチャの楽しみ方が広がってきている。そんなハイテクオモチャを子供だけに遊ばせるのはもったいない! ということで、大人も楽しめる、いや大人こそ楽しみたい次世代ハイテクトイを紹介する連載、始めます。

第9回 販売価格
スマホ de チェキ 税込17,500円前後 製品ページ
スマホ de チェキ用アプリ App Store / Google Play


これは何? 謎の白い物体

これは今年の2月に発売され、この年末年始にかけて口コミで売れ行きを伸ばしているという、とある製品。電池で駆動するコンパクトな物体で、本体上部の口からフイルムのようなものを吐き出すのだとか。

FUJIFILM instaxと書かれた白い物体。本体サイズは101.6mm×42mm×122.5mmで、色はメタリックパール。シンプルなデザインで持ち運びしやすそうだが……

一体これは何なのか、この製品を個別に初体験した者たちの証言を以下にまとめてみた。

■証言1:「これは写真の美白加工が楽しめるプリンタよ」
これはそうね、きっと持ち運べるプリクラみたいなものじゃないかな。PCにつなげて写真を簡単に印刷できる機器みたいな。美肌に加工されてる写真なら、カタチとして残しておきたいもの。女子会ではきっと重宝されるわ。
■証言2:「SNS専用プリンタだね、うん」
わかるよーわかるよー、でもどっちかつーと、SNSの写真をプリントするものっしょ。俺がFacebookに上げてたパーリーの写真が何枚もプリントされててさー。写真をリアルでシェアできるって、まじやばばっしょ。
■証言3:「違うよ。コンパクトコピー機よ」
てかまじ意味わかんないー。あたしが見たのは同じ写真が何枚もあったんだけど。多分、記念写真用のコピー機じゃない? そもそもこの本体にカメラとか付いてないし。誰かが撮った写真をコピーして、みんなに配る? 誕生日とか? 結婚式とか?
■証言4:「プリントする写真付き手紙だぉ」
写真? コピー? それならメールすればいいぉ。これは、きっとメッセージプリントだぉ。贈りたい写真にメッセージ添えて渡すの。手紙的な? アナログな的な? 大事な人との記念日に使うのもいいかもだぉ。

使ったモノは明らかに同じなのに、人によって証言が違う。一体どれが真実なのか……。

トイカメラがスマート化?

今回の製品は、パリピのバイブスをアゲるスマートトイだ。

「パリピ」とは、パリっとしたピーナッツのことではない。そもそもピーナッツを食べる擬音は"カリッ"とかもしれないし、"ポリポリ"かもしれないし、しかも食べ過ぎるとニキビができるかもしれない。

そうではなく「パリピ」とはパーティピープルの略で、飲んで騒いでクラブ行くっしょみたいな人たちだ(自分調べ。ちなみに画像検索結果はこちら)。きっとパーティで柿ピーを食べているんだろう。そんなパリピをノリノリにさせる(バイブスをアゲる)アイテムとして、昔から根強い人気を誇るのが、インスタントカメラ「チェキ」シリーズだ。

スマホで撮影した写真がチェキプリントできるスマホ用の小型プリンタ。チェキらしい、やや白飛びしたふんわりとした風合いでプリントされる。真っ白なフイルムにジワジワと写真が浮かび上がってくるまでの時間がもどかしくもあり、ワクワクする楽しいひととき

撮った写真がすぐに印刷され、その場ですぐにシェアできるプリント機能付きのインスタントカメラ。SNSやデジタル全盛のこの時代、逆にアナログ的な楽しさが受けている。

結婚式や同窓会、そしてパーティなどではチェキで撮った写真をその場で友達と交換したり、メッセージを書いて贈るなど、パーティの雰囲気を盛り上げるツールとして人気が高い。中には「チェキで撮る」という特別感を利用して、好きな人の写真を撮ったり、二人で一緒に映ったりと、恋のワンチャンあるでこれ的な使い方もされている(自分調べ)。

しかし今はスマホ全盛の時代。このトイカメラも時代のニーズにあわせて進化した。それがこの「スマホ de チェキ」だ。

本体上部にフイルムの残り枚数と、電池残量がLEDで表示される。ちなみにCR2リチウム電池2本、及びACアダプターでも駆動する

トイカメラがスマホと連携するスマートトイカメラに進化した、と思ったら違った。チェキカメラ本体にスマホ連携機能を付けるという進化ではなく、スマホと連携するチェキのWi-Fiプリンタ版だ。つまりカメラはスマホのものを使用しつつ、撮った写真をプリンタに転送することで、「その場で楽しめる」チェキならではの味が残されている。

本体で写真を撮ってプリントするのではなく、スマホで撮った写真を専用のフイルムに印刷する小型プリンタ。専用アプリ「スマホ de チェキ」(iOS/Android両対応)から操作する

これぞ「チェキ」! スマホ写真がその場でプリント

本体の電源を立ちあげ、スマホのWi-Fi設定画面からプリンタのアクセスポイントに接続。あとは専用アプリを立ち上げ、「写真を選択」をタップし、「接続してプリントする」をタップすれば、約16秒で印刷される。

初めにスマホのWi-Fi設定画面で本体のアクセスポイントに接続する

「再プリント」で同じ写真を複数枚印刷することもできたり、写真にテキストを書き込んでのプリント、SNSにアップした写真をコメント付きでプリントなど、デジタルの強みを存分に活かした機能も搭載されている

アプリで写真加工、メッセージも

スマホで撮影した写真をそのままプリントするだけではなく、アプリを使って写真を加工できるのも便利。テンプレートからフレームを選んだり、写真にフィルターをかけたり、テキストを入れてメッセージを書くこともできる。誕生日や贈り物に添えるメッセージカードとしての役割も果たしてくれる。

写真の加工は「Intelligence Filter」「モノトーン」「セピア」の3種類。少し物足りない気もするが、あらかじめ別のアプリで加工してプリントしても良し。写真の周りにフレームを入れたり、テキストを入れることも可能。フレームやテキストも写真と同じようにややかすれた感じで印刷されるので違和感もない
(編注:なに写真でパリピ気取ってるんですか……)

一発撮りを楽しむチェキのワンチャン感も大事だが、フイルムがもったいない。撮り直しができるスマホ写真で一番のお気に入りをフイルムに印刷したい、過去にSNSにあげたお気に入りの一枚をプリントしたい、そんなスマホ連携をうまく活かした立派なスマートトイだ。

使い方によって一眼レフで撮った写真データをスマホに入れてそれをプリントするというテクニックもある。ただし、デジカメで撮ったようなパキッとした画ではなく、あくまでチェキならではのふわっとした味のある発色になる。

専用のフイルム「インスタントカラーフィルム instax mini」は10枚2セットで約1400円程度と、一枚あたりのプリントコストは安くはない。無駄なプリントがなくなるという点でもスマホ de チェキは注目されている。ただしパーティなどではみんなからプリントを頼まれる可能性があるため、フイルムは多めに用意しておくことを忘れずに

何気なく撮った写真でも、なんとなくオシャレな写真に仕上がるのがチェキフィルムの良さ。遠い昔にとった銀塩写真の風合いもあり、思い出としてカタチに残すには最適のアイテムだ。インスタントカメラでオシャレ・ピーポーを気取るのもいいが、スマホで撮って、さっとプリントするというスマートカメラ女子・男子のほうが注目度が高いかもしれない

結論! 年末年始にヒーローになれる便利グッズ

忘年会にクリスマス、新年会に同窓会……確かにパリピならずとも、この季節は人が集まるシーンが待ち構えている。実際にこのスマホ de チェキを持っていくだけで、パーリーのヒーローになれる可能性を秘めている。

スマホで撮った写真がその場でプリントされるサプライズ、それは知らない人にはまるでマジックに見えるに違いない。さらにチェキやインスタントカメラを知らない世代にとっては、白いフイルムに画像が浮かび上がってくること自体が驚きの体験になるだろう。

これまでのスマートトイストーリーで紹介してきた製品は、どこか使う人を選ぶ、モノ好きな人が最先端感を楽しむものが多かった。しかし今回はパーティピープルに限らず、どんな人にも刺さりそうなスマートトイだ。それがあるだけでみんなが楽しめる、みんなの笑顔がこぼれる、「トイ」の原点を考えさせられるモノ。年末年始に使うだけではなく、クリスマスのプレゼントにもよろこばれるアイテムだ。

オマケ:その後、パリピのバイブス

■証言5:「つーか、これスマホの写真をプリントするものだし」
とりま(とりあえずまあ)、みんな間違いであり正解ってとこかな。実は君たちが言ってたこと、このスマホ de チェキで全部できるんだよねー。これぜーんぶ、スマホで撮った写真をこのプリンタにWi-Fiで送ってるんだよ。正解はスマホに連携するプリンタ版チェキってところかな。

女「えーすごーい! スマホから飛ばしてるの? じゃ写真、一緒に撮ろうよー」
男「いいね! (ツーショットゲットー)」
女「ねーねー、それならこの写真もプリントしたいんだけど」
男「いーよー。じゃ写真をLINEで送ってー。(LINE IDゲットー)」
女「あたしもスマホ de チェキ、欲しいんだけど!」
男「じゃ今度の日曜日、一緒に買い行こう(デート口実ゲットー)」

クリスマス前に恋のワンチャンあるでこれ。