スマートフォンやタブレットと連動させて遊ぶ次世代オモチャ、スマートトイ。専用アプリを用いることで今までにはないオモチャの楽しみ方が広がってきている。そんなハイテクオモチャを子供だけに遊ばせるのはもったいない! ということで、大人も楽しめる、いや大人こそ楽しみたい次世代ハイテクトイを紹介する連載、始めます。

製品名 メーカー 店頭価格 製品ページ
Sphero 2.0 Orbotix 15,000円前後 http://www.sphero.jp/
Sphero用アプリ iOS版(App Store)
Android版(Google Play)

「ラジコンしてぇ」って時、ない?

今でも年に数度、無性に「ラジコンしてぇ」って時が来る。

男子たるべきもの、いくつになっても童心を忘れずにいたいもの。そんな大人男子をいつだってワクワクさせるもの、それが「ラ・ジ・コ・ン」。かつてラジコンを買ってもらえずに、ミニ四駆で我慢していたあの頃。「エンペラー」のシャーシに穴を開け、スポンジタイヤに付け替えて我慢してたあの頃。

今こそビッグマネー叩きつけて、ラジコンを大人買いしたい。

そんな大人のラジコン欲を満たしてくれるのが今回の製品だ。iOSおよびAndroidスマートフォン/タブレットをコントローラーとして操作する、球体型ラジコン。その名も「Sphero 2.0」。製品名にカタカナのルビすらふられない、子供ガン無視、まさに大人のためのラジコン。ちなみにスフィーロと読む。スフィロと呼ぶよりは、スフィーロと伸ばしたほうがなんとなく大人っぽい。

アプリで操作する世界初のロボティックボール。正式名称はSphero2.0で、従来モデルよりも2倍速く、3倍明るくなっている

充電台とACアダプターが付属し、重心が偏っている部分を下にして充電台に乗せるとランプが点滅して充電が始まる

つかもうぜ!スフィーロボール

真っ白な球体が色とりどりに光るこの摩訶不思議なボールは、重量165g、半径74mmのサイズで、素材にはポリカーボネート製の頑丈なシェルを採用。部屋の壁や家具に多少当たってもへっちゃらで、さらには防水仕様となっているため、どんな冒険にも連れ出せるタフなやつだ。スマホやタブレットのBluetoothで接続し、「Sphero」の専用アプリで自由自在に操作する。もはやラジオコントロールどころか、スマホコントロールだが、大人なら細かいことは気にせずまずはアプリをダウンロード。

梱包材として使われているプラスチックはSpheroのジャンプ台としても使用できる

別売のオフィシャルカバーを付ければオフロードにも対応する

アプリはiOS用と、Android用があり、今回はiPhone用アプリケーションを利用

アプリを入れたら、今こそアドベンチャー

ボタンも何も付いていないこいつを目覚めさせるには、手で鷲掴みにして二度振ると、まるで息を吹き返したかのように青白く光りだす。次にスマホとBluetoothのペアリングすれば、「Sphero」の不思議な旅がすぐに始まる。

冒険に出る前にまずやるべきことが進行方向の調整だ。左下のボタンを押すと「Sphero」がきょろきょろとキョドりだし、白い光がこちら側を向いたら調整完了。操作する側の、いや、ご主人様の正確な位置を把握させることで、前後左右に自在と動かすことができる。その一連の動きがあまりに従順でまるでペットのように思えてくる。壁にぶつかってばかりのルンバとは大きな違いだ。

画面をタッチして、アナログスティックを動かすように操作できる。スマホの本体傾き操作に切り替えることもできる

左下のボタンを押すと進行方向の調整。ウサギとカメのバーで速度調整、右側のボタンでSpheroを光らせることも

胸ワクワクの機能がぎっしり

「Sphero」の動きは機敏だ。最大で秒速2メートル。しかも30メートルぐらい離れても動かすことができる。アプリを通じて速度を変えることもできれば、操作によってジグザグに動かすこともできるし、光らせて走らせることもできる。せかいでいっとーなスマートさだ。うちのルンバにも教えてやりたいが、掃除機が秒速2メートルで動いてもしょうがない。いやそもそも秒速2メートルで動かせても速すぎてコントロールできないだろうし、30メートル離れられても困る。むしろルンバは自動でドックに戻る機能があるので、そこは引き分けとさせていただきたい。

恐る恐るスマホで操作すると、案の定、初めはあまりに操作が難しく、ベッドの下に潜り込んだり、家具の裏に回りこんで操縦不能になることもある。しかし速度を落としたり、進行方向をその都度都度調整すると「Sphero」がペットのようになついてくる感じになる。いったん操作に慣れると、グリグリ動かせるのが病み付きになり、大人も夢中になることは間違いない。

Spheroの動き。スピードを調整すれば思い通り動かすことも

付属のジャンプ台を使用するが難しい

アプリで妖怪変化

この「Sphero」の本当の楽しさはスマホでコントロールするだけではない。新しいアプリをダウンロードすることでSpheroが違う玩具となって、遊びの可能性が広がるのだ。その目玉アプリが「Sharkey The Beaver」というもの。

このジャスティン・ビーバーみたいな名前のアプリは、AR技術を使ってバーチャルな3Dキャラクターを家の中で散歩させることができる。決してプレイボーイを育てるアプリではない。「Sphero」自体がもうペットのように見えてきたのに、このアプリはスマホのカメラにかざすことによって、「Sphero」が"本当に"バーチャルなペットに変身する。

アプリ「Sharkey The Beaver」。バーチャルなカップケーキを食べるとポイントが獲得でき、ボタンを押すと写真を撮ることもできる

RollingDead」というアプリは「Sphero」が火の玉戦士に変身し、地面から現われるバーチャルゾンビと戦えるゲーム。現実とバーチャルが融合する「Sphero」ならではの楽しいアプリだ。

アプリ「RollingDead」。「火の玉戦士」を移動させるとパワーが溜まり、ゾンビを撃破するファイアーボールを放つことができる。ゾンビを避けながらパワーをためるのが難しい

またその他にもスマホをエアスイングして、Spheroをカップに入れる「Sphero Golf 2.0」や、「Sphero」自体がゲームのコントローラーとなって遊ぶシューティング「Sphero Exile」といった新しいアプリが続々と登場するなど、「Sphero」を使った未来の遊びはまだまだ広がりを見せている。

Spheroをカップに入れる「Sphero Golf 2.0」

Sphero自体をゲームのコントローラーとして遊ぶシューティング「Sphero Exile」

Sphero用アプリ紹介ページ(英文) http://www.gosphero.com/games/


結論! 未来でありながら、ノスタルジーも感じられる

「ラジコンしてぇ」という気持ちで遊んでみたものの、行方不明になった「Sphero」を探すためにこっちが動かされることもしばしば。ただ、単に球を転がしているだけなのになぜこんなに楽しいのか。自分の手で操るというこの楽しさは、ただ走るだけのラジコンに夢中になっていたのと通じるものがある。

「Sphero」はアプリと連携して進化する画期的なオモチャではあるが、物理的に自分でコースを作ったり、ペットボトルを立ててスマホボーリングにしたり、あるいは猫じゃらしを付けてペットと遊んだりと、使う人の想像力を掻き立てる、そんな大人のトイでもあるのだ。

壁にぶつかってばかりでもかわいいうちのルンバ……もスマートトイか?