今回は、三相電源を利用する場合の電力の負荷バランスについてお話します。

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負荷バランスを取る理由は?

複雑な数学を使用しなくても、三相システムでは負荷バランスが取れていることが望ましいと言えば十分でしょう。システムのバランスがずれているほど多くの問題が発生します。一例として、UPS(無停電電源装置)の寿命はバランスの取れていないシステムに左右されることがあります。

1つの回路(サーバラック)でバランスが取れていないだけでは大きな影響はありませんが、分電盤の回路の大半または、すべてでバランスが取れていないと、分電盤につながる主幹回路のバランスが崩れて、上流のUPSの障害につながることがあります。また、負荷バランスが取れていなければ効率性の問題も生じます。

現在、ラックでの負荷バランスは、どのように行われているのか?

ラック内の負荷バランスを取るために、機器の電力供給の負荷を3つの位相、すなわちL1/L2、L2/L3、L3/L1に分散させます。これは、最初のサーバ(またはスイッチ/ルータ)をL1/L2のアウトレットへ、次のサーバをL2/L3へ、その次のサーバをL3/L1へ接続して、それを繰り返すことにより行われます。目標は、3相の各相において、できる限り均等な数/負荷を達成することです。

この方法の場合、すぐに配線の悪夢に直面する可能性があります。大半のラックの三相PDU(Power Distribution Unit:電源コンセントバー)は、アウトレットの位相の配置が直線であり、各相に1バンクずつ、3つのバンク(アウトレット群)構成となっています。

例えば、36アウトレットのPDUの場合、アウトレット1~12はL1/L2、13~24はL2/L3、そして25~36はL3/L1にあります。

このような負荷バランスの方法を使用してラック下部の位置から機器を積み始めると、搭載する3つ目の機器はPDUの上部3分の1のアウトレットへ接続することになり、ラック上部に配置される搭載順が最後の機器はPDUの下部のアウトレットへ接続する必要があるかもしれません。つまり、ケーブルの交差が多く発生します。

このような配線と負荷バランスの課題にどのように対処できるのか?

インテリジェントPDUの3相モデルでは、アウトレット群を互い違いに配列することによりケーブルの問題を回避するアーキテクチャが採用されているものもあり、その場合は少なくとも6個のバンク(アウトレット群)に分かれています。先ほどの36アウトレットのPDUの場合、アウトレット1~6がL1/L2、7~12がL2/L3、13~18がL3/L1となり、アウトレット19~24に関してはL1/L2に戻ります(下記の図を参照)。

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このようなインテリジェントに設計されたアーキテクチャにより、信頼性が向上するとともに導入が簡単になります。ラックの上部の機器をPDUの下部のアウトレットに接続する必要はなく、下部の機器をPDUの最上部へ接続する必要がなくなります。

結論

このように位相間を交互に配置されたPDUを使用することで、簡単かつ効率的にラック内の負荷バランスを取ることができます。

この方法により、IT機器の設置作業が簡素化され、三相間のバランスを取って電力ヘッドルームを十分に確保できます。また、ケーブルと機器の接続状況を簡単に把握できるため、メンテナンスや交換中に間違って別の機器のプラグを抜いてしまう可能性を減らすことにつながり、その結果としてダウンタイムの低減にもつながります。

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